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home>環境について>環境関連情報>地球温暖化>カーボンニュートラルへの道 #2

カーボンニュートラルへの道 #2

2022-07-11

~現状の把握と重点施策の立て方~

1.はじめに

世界中で脱炭素の流れが急速に進み、企業にとって環境に配慮した経営をさらに進めることが成長戦略であり、この流れに乗らないと、機関投資家や金融機関からソッポを向かれるだけではなく、突然取引先から取引量の削減や取引停止の要求がくる可能性さえあることを認識しておく必要があります。

これは、企業の温室効果ガス(以下「GHG」)排出量を算定する場合に、自社の事業活動による直接的な排出量(Scope1、Scope2)だけでなく、Scope3と呼ばれるサプライチェーンの排出量にも責任を持つことが求められてきているためです。

しかし、カーボンニュートラル(以下「CN」)に対応するには、何から始めるのか悩んでいる経営者の方々もまだ多いと思います。
2022年6月17日付けの本コラム「カーボンニュートラルへの道 #1~企業は具体的に何をすればよいのか~」において、CNへの第一歩は

(1)自社のGHG排出量の把握(見える化)
(2)重点的に対応すべきポイントの確認と実行 
(3)気候変動による自社事業の機会と脅威の分析

であると記しました。

今回は、(1)と(2)を具体的にどのように進めるかについて、公的機関が公開している資料、及び、これを実践している企業の事例などを交えながら、CNへの道を探って行きたいと思います。

2.CNへの初めの一歩 ~自社のGHG排出量の把握(見える化)~

GHGは排出量を直接測ることが困難であるため、計算によって求めます。

CO2排出量=活動量(生産量・使用量・焼却量など)×排出係数

排出係数とは、電力事業者が一定の電力を発電することによって排出するCO2量で

排出係数(kg-co2/kwh)=CO2排出量÷販売電力量

で示され、環境省のウェブサイトに電力事業者別・年度別に公開されています。

排出係数は各電力事業者が火力、原子力、水力、再エネなどを、どの程度の割合で発電を行ったかで毎年変化します。

次に、自社の事業活動においてどこが排出量のホットポイントであるかを知り、重点施策を決めるためには、各工程における排出量を把握する必要があります。

国際的な考え方としては、自社が企業活動により直接排出するGHGだけでなく、原料や部品調達、顧客への配送、顧客の商品利用、廃棄・再資源化などサプライチェーン全体を含めた排出量を計算することが主流になってきており、これをサプライチェーン排出量と呼びます(図1)。

図1が示すように、自社の事業所で燃料を燃やすことによって直接排出されるGHG(Scope1)や、火力発電などで発電した電力を消費することによって間接的に排出したGHGを(Scope2)については、事業所ごとの重油、天然ガス、軽油などのエネルギー購入量、電気使用量を集計することにより比較的容易に算出できると思われます。

具体的な算定方法は環境省のウェブサイト、温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度「報告書作成支援ツール」を参照してください。


図1 サプライチェーン排出量のイメージ(出典:環境省、2022年3月17日)

Scope3の排出量は自社の上流と下流で自社の事業活動に伴い間接的に排出されるGHGで、環境省では15のカテゴリーに分類しています。これは、事業規模が大きくなり、部品点数や製品種類、取引企業の数が多くなると初期設定が極めて大変な作業になるかと思われますが、環境省のウェブサイト「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム」に、計算のためのテンプレート及び具体的な計算例がEXCEL形式で公開されています。慣れないと面倒な気がしますが、一度初期入力を行ってしまえば、以降は数値を入力するだけでよくなると思います。また。初期段階においては、一挙に入力せずに主要な取引先や主力製品から始めてもよいかと思います。

3.サプライチェーン排出量を算定する意義とメリット

サプライチェーン排出量のうち、特にScope3に関する排出量算定には多くの労力が必要かと思われますが、どんな意義とメリットがあるのでしょうか。

Scope3も含めたサプライチェーン排出量を算定する最大の意義は、自社における排出量のホットスポットを発見し、重点施策を決定する点にあると言えます。
環境省の資料「2.なぜサプライチェーン排出量を算定するのか?」には、次の(1)~(3)のように記載されています。

(1)企業(事業内容)ごとに排出状況は様々であり、必要な削減対策も異なる

⇒サプライチェーン排出量の算定によりホットスポットを特定。環境対策の方向性を定めることができ、効率的に排出量が削減できる。
・企業(事業内容)ごとに排出量の大きいカテゴリーは異なる。
・自社のホットスポットを知ることが環境対策に取組む第一歩となる。
図2に、ある電機メーカーのサプライチェーン排出量をScope別、カテゴリー別(Scope3)に分析した結果が示されていますが、Scope1、2に比べScope3が全体の90%近くを占めており、特にカテゴリー11の「販売した製品の消費者使用時」、カテゴリー1の「購入した製品・サービス」、カテゴリー4「上流での(部品や原材料など)輸送・配送」にホットスポットがあることが判明します。その結果、次のように重点対策をとるようにしました。

<重点対策>

・製品の省エネ化、軽量化、コンパクト化
・輸送方法、輸送物の見直し


図2 ある電機メーカーのサプライチェーン排出量算定結果(出典:環境省)

(2)自社の排出量の削減には限界があり、それ以上の取組を行うことは困難である

⇒(サプライチェーン全体の排出量削減を目指すことで)サプライチェーン上の他事業者による排出削減も、自社の削減とみなされるため、他事業者との連携が促進され、自社だけでは難しかった削減も可能になります(図3、図4)。


図3 サプライチェーンの1社が排出量削減した時のイメージ(出典:環境省)


図4 サプライチェーン排出量で考えるとビジネスチャンスの創出も(出典:環境省)

(3)CSR情報開示(サプライチェーン排出量の開示を求める動きが拡大、算定・削減は社会的ニーズ)

⇒ESG投資の呼び込みなど、資金調達の上でも対応が必要です。
・世界的に、サプライチェーン排出量の算定・削減を求める外部環境が固まりつつあります。

<GHGプロトコルによる「Scope3「基準の策定>

⇒サプライチェーン排出量が、各社の勝手なルールで算定された時代から「グローバルスタンダード」が登場し、皆が同じルールで算定する時代に。
⇒企業評価、情報開示の世界でも、Scope3排出量の算定と開示は当たり前に。
TCFD(気象関連財務情報開示タスクフォース)の最終報告書でもサプライチェーン排出量の開示を推奨しています。その他CDP(Carbon Disclosure Project)やSBT(Science Based Targets)などの機関も、サプライチェーン排出量に関する情報開示を求めています。


図5 TCFDの推奨文書の一部(出典:TCFD)

4.情報開示事例

サプライチェーン排出量の算定・分析の実施、重点施策の決定、目標設定・実績報告などCNも含めた地球環境に配慮した経営を行い、その結果をステークホルダーに対してわかりやすく報告を行っていると筆者が感じた、カルビー株式会社の事例を紹介したいと思います。
同社はスナック菓子の国内最大手ですが、サスティナブル経営を前面に押し出しており、以下4つの柱を置いています。

(1)商品を通じた貢献 (食の安全・安心の確保、健やかさと多様なライフスタイルへの貢献)
(2)サプライチェーンを通じた貢献 (農業の持続可能性の向上、原料調達・物流の効率化と安定的な確保)
(3)地球環境・コミュニティへの貢献 (地球環境への配慮、人・地域社会・コミュニティとのつながりの深化)
(4)経営基盤の確立 (多様性を尊重した全員活躍の推進、コポレート・ガバナンスの強化)

CNに関しては、(3)で詳細に説明されています(図6)。


図6 自社の温室効果ガス排出量の分析・見える化(カルビー株式会社の資料を参考に筆者が作成)
※同社のウェブサイトでは具体的な名称や数値が入っていますので、興味がある方は直接ご覧ください。

重点方針の決定

カルビー(株)では、自社のGHG排出量の分析から、温室効果ガス排出量削減のための重点テーマとして次の(1)~(3)を決定しました。

(1)使用エネルギーの転換による削減

水力や太陽光といった再生可能エネルギー電源に由来するCO2フリー電力への切り替え、J-クレジット制度によるカーボンオフセット電力、非化石証書を付帯した電力の購入、その他近隣の他企業との協業で工場間一体省エネルギー事業に参画などで目標達成に挑むとしています。

(2)商品サイズ変更によるCO2削減

商品の包装を小型・軽量化して輸送によるCO2排出量を削減する。

(3)その他

・食品工業特有の食品ロスを削減するための賞味期限の延長化
・3Rの推進
・廃棄物総量うぃ削減
・石油由来プラスチック包材の削減

以上、サプライチェーン排出量を算定した結果から、重点施策の決定・目標設定を行い、最終的にCNに向けた目標を設定し、達成状況を開示しています。


図7 カーボンニュートラルへの目標の立て方例(カルビー株式会社の資料を参考に筆者が作成)

5.まとめ

(1)CNの取組の第一歩は、自社のGHG排出量を把握し、見える化を行う。
(2)自社のGHG排出量の把握は、サプライチェーンの上流・下流も含めたサプライチェーン排出量で算定することが国際的な流れで、現在最も支持されている機関であるTCFDやCDPなどでも推奨。
(3)自社の直接排出量(Scope1、Scope2)は温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度「報告書作成支援ツール」(環境省)に、自社の上流・下流のサプライチェーン排出量(Scope3)についてはグリーン・バリューチェーンプラットフォーム(環境省)に、計算のためのテンプレートや計算例がEXCEL形式で公開されています。
(4)Scope1、Scope2、 Scope3における排出量を算定し、最も排出量の多いホットスポットを見つけて、重点施策や目標設定に結びつける。
(5)CNに取組む企業は多いが、排出量算定、重点施策決定、目標設定、結果報告の流れを自社ウェブサイトにおいてわかりやすく説明している企業例として今回はカルビー株式会社の事例を紹介した。

引用・参考資料

  • 温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度 (環境省)
  • 温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度「報告書作成支援ツール」 (環境省)
  • 温室効果ガス削減への取り組みに欠かせないCO2排出量の計算方法 (アスエネ株式会社、2021年6月7日)
  • グリーン・バリューチェーンプラットフォーム (環境省)
  • サプライチェーン排出量算定の考え方 (環境省、2018年1月4日改訂)
  • なぜサプライチェーン排出量を算定するのか? (環境省、2022年3月18日)
  • サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン (ver.2.4) (環境省/経済産業省、2022年3月)
  • カーボンニュートラルへの道 #1~企業は具体的に何をすればよいのか~ (日本バルブ工業会、2022年6月17日)
  • カーボンニュートラルとは #1~誰が、いつまでに、何をしなくてはならないのか~ (日本バルブ工業会、2022年1月17日)
  • カーボンニュートラルとは #2~なぜ、カーボンニュートラルが必要か~ (日本バルブ工業会、2022年3月17日)

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