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home>環境について>環境関連情報>化学物質規制・管理>「永遠の化学物質PFAS」の規制が世界的に強化 #2

「永遠の化学物質PFAS」の規制が世界的に強化 #2

2022-10-11

~4,700種類のPFASをどのように規制するのか #1~

1. はじめに

2021年4月19日付け本コラム「「永遠の化学物質PFAS」の規制が世界的に強化~企業が注意するべき事項~」において、PFOS (パーフルオロオクタンスルホン酸及びその塩類)やPFOA(パーフルオロオクタン酸及びその塩類)に代表されるPFAS(パー及びポリフルオロアルキル化合物)の物性、用途、毒性、規制などの概略について、述べました。

※注記:PFOS(Per-fluorooctane Sulfonic Acid)sやPFOA(Per-fluorooctanoic acid)の接頭語“Per”は日本語表記の場合「パー」または「ペル」の両方がありますが、本コラムでは「パー」に統一します。

PFOA、PFOSに代表されるPFASs(類)は炭素の主鎖にフッ素が結合し、化学的に極めて安定で自然界ではほとんど分解されない化学物質であるため、「永遠の化学物質」と呼ばれています。

一方で、70年もの長い間、多様な用途に使用されてきたPFASs(類)について、近年になりさまざまな毒性が明らかになり、難分解性で生体蓄積性の高い物質(POPs:Persistent Organic Pollutants「残留性有機汚染物質」)としてストックホルム条約(POPs条約)の対象物質にあげられ、その規制の範囲が広がる傾向にあります。

これに対応して、EU及び米国においても規制強化の動きが出てきています。
一口にPFASs(類)と言っても約4,700種類の化学物質群であり、定義に従えばPTFEやPFAなどのフッ素樹脂やフッ素樹脂エラストマーなども含まれます。

PTFEやPFAなどのフッ素樹脂やフッ素樹脂エラストマー自体の毒性は今のところ報告されていませんが、「その製造過程での使用(重合開始剤)や副生成物、熱加工時における分解物などが現在規制対象として検討されているPFASs(類)に含まれている可能性があるかも知れない」との情報が一部で囁かれています。このことは、当工業会にとっても重要な関心事であり、今後PFASs(類)の規制がどのように進められるのか注視していく必要があります。

そこで、ストックホルム条約、EUや米国などにおいて、4,700種類とも言われるPFASs(類)について、どのようにグルーピングし、どのような方向性で規制を行おうとしているのかについて、OECD(経済協力開発機構)、国連ストックホルム条約事務局、ECHA(欧州化学品庁)やEPA(米国環境保護庁)などが公表している公的な資料から、現状及び今後の規制の方向性について調査してみました。

下記(1)~(4)の調査結果の情報量が想像以上に多かったため、2回に分割して報告したいと思います。

(1)ストックホルム条約によるPFASs(類)規制動向
(2)EUにおけるPFASs(類)規制動向
(3)米国おけるPFASs(類)規制動向
(4)PFASs(類)のグルーピング
(5)まとめ

今回は、(1)ストックホルム条約関連、及び、(2)EU関連の情報を提供します。

2. ストックホルム条約におけるPFASs(類)の規制動向

ストックホルム条約では附属書A(廃絶)、附属書B(制限)、附属書C (非意図的生成) の3種類の規制を行っています。

2-1.現状、既に確定しているPFASs(類)に対する規制(2022年9月末現在)

3種類のPFASs(類)が規制対象として附属書に収載済です。

表1 ストックホルム条約附属書(抜粋)(出典:POPs条約エウブサイト)

附属書A(廃絶)

締約国は、附属書 A に記載されている化学物質の製造と使用を排除するための措置を講じなければなりません。特定の免除は、附属書 A に記載されており、それらに登録した締約国にのみ適用されます。

・PFOA及びその塩類
・その他25物質(群)
全26物質(群)

附属書B(制限)

締約国は、附属書に記載されている適用可能な目的および/または特定の免除に照らして、附属書B に記載されている化学物質の生産と使用を制限するための措置を講じる必要があります。

・PFOS及びその塩類
・PFOSF(パーフルオロオクタンスルホニルフルオリド)
・その他1物質
全3物質(群)

附属書C (非意図的生成)

締約国は、継続的な最小化と、可能であれば最終的な排除を目標として、附属書 C に記載されている化学物質の意図しない放出を減らすための措置を講じなければなりません。

全7物質(群)

2-2.現在、審議・調査が行われているPFASs(類)

2種類のPFASsの規制が審議・調査対象です。

(1)長鎖パーフルオロカルボン酸(PFCA)

2022年1月24日から28日まで開催されたPOPRC(POPs条約の検討委員会)にて長鎖パーフルオロカルボン酸(PFCA) の危険性に関する詳細調査を行う事を決定。長鎖PFCA(C9~C14)とは、以下の物質を示します。

略称(炭素数) 名称

CAS RN

PFNA (C=9) パーフルオロノナン酸 375-95-1
PFDA (C=10) パーフルオロデカン酸 335-76-2
PFUnDA (C=11) パーフルオロウンデカン酸 2058-94-8
PFDoDA (C=12) パーフルオロドデカン酸 307-55-1
PFTrDA (C=13) パーフルオロトリデカン酸 72629-94-8
PFTDA (C=14) パーフルオロテトラデカン酸 376-06-7

※主な用途はPFOSやPFOAと同様の界面活性剤です。

 (2)パーフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)

2022年2022年6月6日から6月17日までジュネーブで開催された第10回POPs締約国会議においてパーフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)およびその147の塩類と関連化合物を、免除条件なしに「ストックホルム条約」の附属書A(廃絶)リストに収載することに合意しました。

3. EUにおけるPFASs(類)の規制動向

以下、ECHAのウエブサイトより抜粋し引用します。

世界とEUにおけるPFASs(類)規制の履歴

(1)2009 年以降、PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸およびその誘導体)は、ストックホルム条約の対処となり、その使用が禁止されています。 PFOSは、EU の残留性有機汚染物質(POPs)規制の下で、すでに 10 年以上EUでは制限されています。
(2)さらに、ストックホルム条約は、PFOA(パーフルオロオクタン酸)、その塩、及び、PFOA 関連化合物の規制を行っています。2020 年7月4日以降、PFOA は EUのPOPs 規則の下で禁止されています。
(3)PFHxS(パーフルオロヘキサンスルホン酸)、その塩および関連化合物、並びに長鎖PFCA (C9-14)は、ストックホルム条約に含まれ、その結果、世界的に廃止されることが検討されています。

REACH規則によるPFASs規制

(1)長鎖PFCA(C9-14)(パーフルオロカルボン酸、C9-14)、その塩および前駆体は、欧州委員会が下した決定に従い、2023 年2月以降、EU/EEAで制限されます。
(2)PFHxS(パーフルオロヘキサンスルホン酸)、その塩および関連物質に対する制限が提案。ECHA の科学委員会は、2020年6月に制限を支持する意見を表明。現在、EU 加盟国との意思決定のために欧州委員会に提出。
(3)PFHxA(ウンデカフルオロヘキサン酸)、その塩および関連物質に対するさらなる制限が提案。2021年 12 月に ECHA の科学委員会によっても支持され、欧州委員会EU 諸国とともに、今後制限について決定します。
(4)オランダ、ドイツ、ノルウェー、デンマーク、スウェーデンは、2019年12月に環境理事会で行われた声明を支持して、幅広い PFAS の使用をカバーする制限提案を準備中。2023年1月に ECHA に提案を提出する予定。
(5)ECHA は 2022年1月に、泡消火剤に使用されるPFASs(類)の制限案を提出。この提案に関する協議は、2022年3月23日~9月23 日まで開催。REACH規則の制限物質としてPFASの発泡消火剤への使用禁止提案審議開始。

REACH規則におけるSVHC候補物質

(1)多くの PFASs(類)がREACH の高懸念物質(SVHC)の候補リストに収載されています。
(2)2019年6月と2020年1月に2種類のPFASグループがSVHC候補になりました。
・HFPO-DA(2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロピオン酸、その塩、およびそのハロゲン化アシル):フッ素樹脂製造におけるPFOA代替の短鎖PFAS。この物質のアンモニウム塩は商品名GenX。
・PFBS(パーフルオロブタンスルホン酸)およびその塩、PFOS の代替品。

分類、表示および包装(CLP)規則

数種類のPFAS は、CLP 規則の下で、既に調和のとれた分類と表示が定められており、以下のとおり。
・PFOA(パーフルオロオクタン酸)
・APFO(ペンタデカフルオロオクタン酸アンモニウム)
・PFNA(パーフルオロノナン-1-オイック酸)及びそのナトリウム塩とアンモニウム塩
・PFDA(ノナデカフルオロデカン酸) およびそのナトリウム塩とアンモニウム塩

PFASグループの評価

(1)数か国のEU 加盟国、ECHA、および欧州委員会の非公式調整グループは、2014 年以来、ECHA の登録データベースに含まれる PFAS に関するデータをスクリーニングし、グループベースの規制作業を調整してきました。
(2)PFASを個別物質ごとに規制するよりグループ(物質群)として規制した方が効率的であるにもかかわらず、PFAS の数が非常に多いため、作業は最も緊急度の高い PFAS グループをカバーすることしかできませんでした。
(3)ECHAのデータベースには、EU市場にある数千の個別のPFAS の情報があります。これらをグループに分けてリスク評価するには時間が掛かりそうです。
(4)「持続可能性のためのEU の化学物質戦略」では、PFAS ポリシーを最前線と中心に据えています。 欧州委員会は、全てのPFASs(類)を段階的に廃止し、「エセンシャルユース(かけがえのない、社会にとって不可欠であることが証明された場合)」にのみ使用を許可することを約束しています。

飲料水の規制

2021年1月12日に発効した「飲料水指令の改訂」では、全てのPFASに対して0.5µg/l の制限が含まれています。これは、すべてのPFAS のグループ化アプローチと一致しています。

PFASs(類)と食品

2020年9月、欧州食品安全機関 (EFSA) は、体内に蓄積する主要なPFAS(パーフルオロアルキル物質)の新しい安全閾値を設定しました。対象物質はPFOA(パーフルオロオクタン酸)、PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸、PFNA(パーフルオロノナン酸)、PFHxS(パーフルオロヘキサンスルホン酸)

4. まとめ

ストックホルム条約(POPs条約)におけるPFASs(類)規制の2022年9月末現在の状況
(1)附属書A(製造・使用の禁止/廃絶)にPFOA及びその塩類が収載。
(2)さらに2022年6月に開催された第10回締約国会議において、パーフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)及びその147の塩類と関連化合物を免除条件なしに附属書Aに収載することで合意。
(3)PFOS及びその塩類及びPFOSF(パーフルオロオクタンスルホニルフルオリド)を附属書B(使用制限)に収載。
(4)2022年1月開催の委員会にて長鎖(n=9~14)パーフルオロカルボン酸(PFCA)6種類の詳細なリスク調査を行う事を決定。

EUにおけるPFASs(類)に関する規制状況及び今後の方向性

(1)PFASを個別物質ごとに規制するよりグループ(物質群)として規制した方が効率的であるにもかかわらず、PFAS の数が非常に多いため、作業は最も緊急度の高PFAS グループをカバーすることしかできていない。
(2)今後5年を目安に、REACH規則によるPFASs(類)の広範な規制案を提出する予定。
(3)「持続可能性のためのEU の化学物質戦略」では、PFAS ポリシーを最前線と中心に据えている。 欧州委員会は、全てのPFASs(類)を段階的に廃止し、「エセンシャルユース(かけがえのない、社会にとって不可欠であることが証明された場合)」にのみ使用を許可することを約束している。
(4)規制はREACH規則により、長鎖パーフルオロカルボン酸(PFCA)、PFHxS(パーフルオロヘキサンスルホン酸)及び塩類、PFHxA(ウンデカフルオロヘキサン酸及び塩類、PFASの発泡消火剤などを制限物質として決定または提案中。
(5)多くのPFASs(類)がSVHC候補物質としてリスト化。
(6)REACH規則でカバーできない飲料水水質については飲料水枠組指令、食品や容器包装などについては欧州食品安全機関にて閾値を定める作業が進んでいる。

感想

(1)ストックホルム条約におけるPFASs(類)の規制は、系統的に規制を行うよりは加盟国より提案の有ったPFASについて粛々と規制を行って行く印象。
(2)EUでは、最終的には全てのPFASs(類)を対象として段階的規制の範囲を広げ、最終的には全てを規制対象として検討する。但しエセンシャルユールが証明された用途は適用除外もある。個別の化合物で規制するより、グループとして規制したいが、グルーピングには時間が掛かりそうなので、当面は緊急性が高く、使用量が多い、また代替材料がある発泡消火剤や食品包装容器、衣類などに使用されているPFASs(類)を早急に規制する。2023年1月に規制骨子を提案し、今後5年を目安にREACH規則を適用してPFASs(類)に対する広範な規制案にこぎ着けたい。
(3)多くのPFASs(類)は酸やアルコールの構造を有し水に溶解し易い性質を有しており、河川や地下浸透、また、一部は空気中に浮遊し環境中に拡散され易いため規制が急がれている。

引用・参考資料

  • UN Stockholm Convention (POPs条約事務局)
  • Reconciling Terminology of thEUniverse of Per- and Polyfl uoroalkyl Substances: Recommendations and Practical Guidance Series on Risk Management No. 61 (OECD, 2021-07-05, access 2022-08-16)
  • Fact Cards of Major Groups of Per- and Polyfluoroalkyl Substances (PFASs)  Series on Risk Management No. 68 (OECD, 2022-01-18, access 2022-08-16)
  • Proposal to ban ‘forever chemicals’ in firefighting foams throughout the EU (ECHA, 2022-05, access 2022-08-16)
  • Perfluoralkylchemikalien (PFAS) (ECHA)
  • Scientific committees support further restrictions of PFAS (ECHA, 2021-12-9)
  • ECHA’s committees recommend restricting a subgroup of PFAS (ECHA, 2020-06-17)
  • REGULATION (EU) 2019/1021 OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCILof 20 June 2019on persistent organic pollutants (EU POPs) (EU官報、2019-06-20)
  • Commission Regulation (EU) 2021/1297 of 4 August 2021 amending Annex XVII to Regulation (EC) No 1907/2006 of the EUropean Parliament and of the Council as regards perfluorocarboxylic acids containing 9 to 14 carbon atoms in the chain (C9-C14 PFCAs), their salts and C9-C14 PFCA-related substances (Text with EEA relevance) (EU官報、2021-8-14)
  • SCHEER – Final Opinion on "Draft Environmental Quality Standards for Priority Substances under the Water Framework Directive" – PFAS (EU委員会、2022-8-18)
  • COMMISSION STAFF WORKING DOCUMENT Poly- and perfluoroalkyl substances (PFAS) (EU委員会、2020年10月14日)
  • Union Synthesis Report on the application of Regulation (EC) No 850/2004 on persistent organic pollutants (EU委員会、2022年9月16日)
  • POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)とは (経済産業省)
  • NITE-CHRIP(化学物質総合情報提供システム) (製品評価技術基盤機構、access 2022-08-16)
  • 環境規制について (日本フルオロケミカルプロダクツ協議会、access 2022-08-16)
  • EU・POPs規則の概要と直近の改正について (東京環境経営研究所、2022-04-15、access 2022-08-17)
  • Per- und Polyfluorierte Alkylsubstanzen (PFAS) (BfR: ドイツ連邦リスク評価研究所)
  • 食品安全情報(化学物質)No. 24/ 2020(2020. 11. 25)別添 (国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
  • 「永遠の化学物質PFAS」の規制が世界的に強化~企業が注意するべき事項~ (日本バルブ工業会、2021-04-19)

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