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環境関連情報

REACH規則における高懸念物質(SVHC) #3

認可対象候補物質は84物質が収載(2012年10月末現在)

情報発信日:2012-11-21

はじめに

2011年3月22日付けの本コラム「REACH規則における高懸念物質#2」において、欧州化学品庁 (ECHA: European Chemical Agency)のCandidate List tableに収載された高懸念物質 (SVHC:Substances of Very High Concern )は第4次登録までの46物質でしたが、それ以降も登録された物質の収載数は増加し続けており、2012年10月末現在において収載数は40種類増加し、収載済み数だけでも倍増。さらに登録が検討されている物質は54種類と、近々登録収載されると予想される分も含めると約3倍の137種類の化学物質が対象になってきています。最終的には300種類から3,000種類程にも達するのではと言われています。

今回は、REACH規則における高懸念物質についての復習と、前回のコラムで紹介した以降の第5次から第7次登録までの高懸念物質 (SVHC)のリストについて、欧州化学品庁のデータを基に紹介したいと思います。

 

REACH規則における高懸念物質について(再掲載)

EUにおける総合的な化学物質管理規制であるREACH規則におけるSVHC物質とは同規則の附属書XIV (Candidate List)に収載されたSubstances of Very High Concern (高懸念物質)であり、欧州に輸出する、または、欧州域内で生産する製品の構成部品である成形品中に少なくとも1種類以上の高懸念物質 (SVHC)を含み、その濃度が0.1重量%以上の場合には、成形品の供給者は欧州化学品庁 (ECHA)に届出を行うとともに、サプライチェーン下流の顧客が利用可能な「成形品を安全に使用するための十分な情報」を、顧客(消費者)から要求を受けた場合には、45日以内に提供する義務を負います。

ただし、その生産量または輸入量が1トン/年未満の場合、または、他の業者が同一用途について既に登録している場合は免除。

従って、EU域内に自社製品を輸出する場合には附属書XIV (Candidate List)に収載された物質の含有/非含有を把握し、含有している場合には欧州化学品庁に届出の義務があるか否かを確認し、必要に応じて届出を行う必要があります。

「含有しているかどうか判らない」はもはや通りません。含有していないなら「含有していない」、含有しているなら「含有していることを届け出る」ことが明確に求められます。

 

附属書XIV (Candidate List)に収載されているSVHC物質の詳細(2012年10月末現在)

2011年3月22日付けの本コラムでは、2008年10月28日に登録された第1次15物質から、2010年12月15日に登録された8物質までの46物質と、2011年11月時点で追加候補物質となっていた7物質を紹介しましたが、その後に登録が抹消されたり、再登録されたりと変更がいくつかありますので、ECHA (欧州化学品庁)のホームページよりデータを直接引用した最新情報を紹介します。

以下、ECHAの最新データを引用して掲載します。

第1次附属書ⅩⅣ(Candidate List)収載物質
(2008年10月28日収載14物質)

第2次附属書ⅩⅣ(Candidate List)収載物質
(2010年1月13日収載12物質 & 2010年3月20日収載1物質)

第3次附属書ⅩⅣ(Candidate List)収載物質
(2010年6月18日収載8物質)

第4次附属書ⅩⅣ(Candidate List)収載物質
(2010年12月15日収載8物質)

第5次附属書ⅩⅣ(Candidate List)収載物質
(2011年6月20日収載8物質)

第6次附属書ⅩⅣ(Candidate List)収載物質
(2011年12月19日収載20物質)

第7次附属書ⅩⅣ(Candidate List)収載物質
(2012年6月18日収載12物質)

 

まとめ

上記のほかに、2012年9月末現在では追加候補物質が54種類リストアップされていましたが、10月18日にパブリックコンサルテーションの受付を終了した模様で、現在はECHAのHPから削除されたようです。しかし第4次収載以降は毎年、6月と12月に追加登録が行われていますので、追加候補物質については12月に収載されると予想されます。本件の情報については正式収載を待って、本コラムで紹介したいと思います。

最近収載される物質を見ますと、主原料ではなく、主原料や主素材に添加される物質や、製造の過程で使用される補助資材などに使用される物質が増えてきていますので、注意が必要です。このため、大手の企業では調達基準などを作成して、これらのSVHC物質がサプライチェーンを通じて自社に入り込まない様に防御を固めてきていますので、会員企業の調達部門においても、より上流のサプライヤーに対しても同様の処置を取れるように備える必要があるかと思います。

引用・参考資料

注意

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