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環境関連情報

バルブ産業ビジョン2007と環境活動

バルブと環境配慮設計

情報発信日:2007-09-18

バルブ産業ビジョン2007とは

2007年度の自動車売上げにおいて、トヨタ自動車が自動車産業発祥の国であるアメリカのゼネラルモータースを抜くことが確実になったと報道されました。一方、国内においては、自動車や電気電子産業などわが国の基幹産業を支える鋳造、鍛造、プレス、金型などの素形材産業は、「ものづくり」の基本であるにもかかわらず中小企業が多く、昨今の「楽をしてお金を稼ぐことが格好良い」とするような風潮のなかで衰退の傾向を見せ始めています。

しかしながら、これら素形材産業が衰退してはわが国の基幹産業は一日として成り立ちません。このような状況において、わが国の将来に向けての「ものづくり」の足腰再強化政策として、経済産業省素形材産業室が「素形材産業ビジョン」を策定しました。

バルブ産業自体は必ずしも素形材とはいえませんが、鋳造、鍛造、プレス、金型など素形材産業ときわめて近いところに位置しているともいえます。

これらの状況を踏まえ、日本バルブ工業会では経済産業省による「素形材産業ビジョン」を受けて、わが国のバルブ業界の将来ビジョンを策定すべく、運営委員会ならびに新たに設置された経営ワーキンググループ、技術ワーキンググループのもと、「高品質・高性能志向」「公正な取引慣行」「産業財産権・ブランドの保持・防衛」「ものづくりの人材確保」の4項目を柱とした内容で構成された「バルブ産業ビジョン2007 -日本ブランドの恒久的な地位確立を目指して-」を2007年3月に取りまとめました。

バルブ産業ビジョンにおける環境との関わり

経済産業省の策定した「素形材ビジョン」には方向性として以下の8項目があります。

  1. 技術・技能を活かした攻めの経営
  2. 健全な取引慣行の定着
  3. 産業集積を利用した競争力強化
  4. 積極的な海外戦略の展開
  5. 同業/異業との積極的な連携
  6. 多様なニーズへの挑戦
  7. 息の長い人材育成
  8. 素形材産業に国民の目を振り向かせるために

日本バルブ工業会では、9番目の項目として「環境と安全」を独自に提案し、

9. 安全・環境に配慮したバルブ産業の発展

としました。

ものづくりと環境

ものづくりと環境を考えるにあたっては2つの側面があると思われます。

1番目は従来からいわれている「工場でものづくりを行う場合」の産業廃棄物減量、排水・排気のクリーン化、炭酸ガス放出量削減、VOC(揮発性有機化合物)の削減などにおける環境問題です。おもに「環境報告書」などにおいて報告されているのを多く見かけます。

2番目は最近「『ゆりかご』から『ゆりかご』まで」といわれるように、製品の設計段階から製品の生産時点、製品が使われる状況、製品の寿命が尽きてリサイクルされるまでのすべてにおいて、環境を考える必要が求められてきています。

もはや、環境に配慮せずに企業活動はできない状況にあるといっても過言ではないと思います。

中国などの途上国では、経済至上主義のもとで環境に配慮しないものづくりが実施されているといわれていますが、国内外ともに環境規制は今後ますます強まる方向にあるといえます。同時にグリーン調達を行う企業も増えて「環境に配慮しない企業からは物品を調達しない」という流れができつつあります。

バルブ産業における環境配慮

では、何を基準に「環境に配慮した、環境に優しい製品づくり」といえるのでしょうか?
たとえば、紙やPETボトルのリサイクルは資源保護という観点では環境に優しいかもしれませんが、再生には新品原料を使うよりも数倍のエネルギーが使われますので、エネルギー枯渇問題や炭酸ガス放出という観点からは必ずしも環境に優しいとはいえません。

欧州での環境配慮設計の主眼は「省エネルギー」にあります。「化石エネルギーは一度使ってしまえば炭酸ガスと水になってしまい再生はしない」というのが根拠です。

わが国における環境配慮設計の主眼は「省資源」「リサイクル」「再利用」など、いわゆる3Rを中心にした考えで、ほとんどの資源を輸入に頼っている国情を表したものと思われます。

バルブ産業ビジョンにおいては「バルブの環境配慮設計基準」と「工業会としての環境目標の設定」などを検討することになっています。

有害物質の不使用や温室効果ガス放出量削減などは当然のこととしても、「エネルギー優先か?」「資源優先か?」は大変むずかしい問題です。

まずは会員企業へのアンケート調査を行いコンセンサスを得たうえで、「バルブ産業における環境問題」に対して工業会として今後どのように取組んで行くかを考えて行きたいと思いますので、その節にはご協力をお願いいたします。

参考文献及び引用先

注意

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