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環境関連情報

環境産業の市場規模・雇用規模等について

2014年版推計結果

情報発信日:2016-10-24

はじめに

環境省は環境産業の市場規模・雇用規模等の推計結果をまとめ「環境産業の市場規模・雇用規模に関する報告書」を毎年公表していますが、今般、環境省は2016年7月29日付けで、「2014年版の推計結果をまとめたので、公表します」と発表しました。

本コラムにおいても、2012年7月19日付け「2012環境産業の市場規模」と題して、環境省が過去に推計した2008〜2010年度の環境産業の市場規模について述べています。

本コラムでは、環境省が今回発表した資料について解説するとともに、パリ協定の採択や温室効果ガス排出国1位・2位の中国とアメリカが早々とパリ協定の批准を宣言したことなどから、環境産業規模がどのように推移しているかについても述べてみたいと思います。

環境産業の市場規模・雇用規模等の推計結果<2014年度版>

※以下、主に環境省総合環境政策局環境計画課より依頼を受けた環境産業市場規模検討会が2016年3月に作成した報告書(環境省総合環境政策局環境計画課が2016年7月29日付けで発表)である「環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」を基に、概要を示すものです。

(1)はじめに

現在、環境問題における最も重要な3つの課題は、1つ目が「温室効果ガス排出量増大による気象変動の問題」、2つ目が「エネルギーや資源の枯渇を防ぎつつ持続的な経済成長を目指す循環型社会構築の問題」、3つ目が「生物多様性の保全問題」と言われていますが、冒頭にも書きました通り、2015年のCOP21においてパリ協定が採択され、温室効果ガス排出国の第1位と第2位の中国、アメリカが早々とパリ協定の批准を宣言したことと循環型社会構築が急がれることなどから、再生可能エネルギー分野をはじめとして成長しつつある環境産業は、環境負荷低減のみならず、経済成長にも大きな貢献をし始めています。

本報告書においては、以下の4点について述べられています。

① 国内の環境市場規模の推計(2000〜2014年)
② 国内の環境関連雇用規模の推移(2000〜2014年)
③ 国内の環境関連輸出入額の推計
④ 国内の付加価値額・経済波及額の推計

(2)国内の環境産業の市場規模の推計結果

図1 国内の環境産業の市場規模(推計)推移 (出典:環境省)

2013年度における国内の環境産業規模(推計値)は、全体で105兆4,133億円と過去最大となりました。これは前年比1.3%増、2000年の約1.8倍となりました。

内訳では、廃棄物処理・資源有効活用が45兆8,334億円(43.5%)、地球温暖化対策が37兆7,116億円(35.8%)、残りが環境汚染防止13兆6,053億円(12.9%)、自然環境保全8兆2,630億円(7.8%)です。

図2 全産業に占める環境産業の市場規模(出典:環境省)

全産業に占める環境産業の市場規模の割合は、2000年に6.2%であったのが2014年には11.1%に増加し、環境産業が我国の経済成長に与える影響は増大しています。

図3 分野別①<環境汚染防止分野>(出典:環境省)

当該分野の市場規模は公共事業の減少などにより、2000年から2004年まで減少傾向でしたが、2005年以降、石油業界各社で「サルファーフリーのガソリンと軽油」の一斉供給が始まったことから「化学物質汚染防止」分野が急増し、市場規模全体を押し上げました。

図4 分野別②<地球温暖化防止分野> (出典:環境省)

地球温暖化防止対策の進展に伴い、当該分野全体は増加傾向が継続しています。2004年以降の「低燃費・排出認定車」、「ハイブリッド自動車」等の「低燃費自動車」の成長、2012年以降の再生可能エネルギー市場での「クリーンエネルギー利用」が分野全体を押し上げています。

図5 分野別③<廃棄物処理・資源有効利用分野>(出典:環境省)

この分野の市場規模は4分野の中で最も大きく、2008年まで増加しましたが、2009年の景気後退により落ち込みましたが、それ以降再度増加傾向になり、「リサイクル素材」は2000年に比べ約1.4倍に成長しました。

図6 分野別④ <自然環境保全分野> (出典:環境省)

当該分野の市場規模は2002年から2007年にかけて増加しましたが、それ以降はほぼ横ばいで推移。農水省が認定促進を行うエコファーマーを含む「持続可能な農林水産業」分野が2010年に掛けて増加、その他「緑化・水辺再生」分野が2011年を底に増加傾向です。

(3) 国内の環境産業雇用規模

図7 国内の環境産業雇用規模推移 (出典:環境省)

国内の環境産業雇用規模は、2014年に全体で約256万人と過去最大になりました(前年比1.6%増、20007年の約1.4倍)。

分野別では、廃棄物処理・資源有効利用が134万人で52.4%、地球温暖化防止が59万人で23.2%、自然環境保護が50万人で19.5%、環境汚染防止が12万人で4.8%でした。

図8 分野別①<環境汚染防止分野> (出典:環境省)

当該分野は、漸減傾向のあり、特に下水排水処理関係の投資が一段落したため減少傾向、環境経営支援関係は労働集約型の産業が多いため、全体に占める割合は増加傾向。

図9 分野別③<地球温暖化防止分野> (出典:環境省)

分野全体の雇用規模は、市場規模同ように増加傾向にあり、特に2013年には「再生可能エネルギー」の成長、「クリーンエネルギー利用」の拡大により2012年から2014年の2年間で約10万人が増加。

図10 分野別③ <廃棄物処理・資源有効利用分野> (出典:環境省)

分野全体の雇用規模は、微増ながら緩やかな増加傾向が続いています。廃棄物処理・リサイクルは1人当たりの売上高が小さい傾向にあるため、雇用麺では全体の増加に寄与しています。

図11 分野別④<自然環境保全分野> (出典:環境省)

分野全体の雇用規模は2010年頃まで概ね増加傾向でしたが、以降減少傾向です。内訳としては、農水省が認定推進しているエコファーマーを含む「持続可能な農林水産業」の寄与が大きい。

(4) 環境産業における輸出入

図12 環境産業における輸出 (出典:環境省)

図13 環境産業における輸入 (出典:環境省)

環境産業における輸出額は2004年以降増加、2009年世界的な景気の減速の影響を受けましたが、それ以降は増加に転じ、2014年には全体で16.7兆円を記録。地球温暖化防止目的の低燃費車やハイブリッド車が大きく寄与。

輸入額でも景気減速の影響で2009年に落ち込んだがそれ以降は増加に転じ、2014年には全体で3.3兆円となりました。輸入においてもクリーンエネルギー利用関係を含む地球温暖化防止対策分野の割合が増加。

(5) 国内の付加価値額・経済波及額の推計

※省略

まとめ

(1)2013年度における国内の環境産業規模(推計値)は、全体で105兆4,133億円と過去最大となりました。これは前年比1.3%増、2000年の約1.8倍となりました。内訳では、廃棄物処理・資源有効活用が45兆8,334億円(43.5%)、地球温暖化対策が37兆7,116億円(35.8%)、残りが環境汚染防止13兆6,053億円(12.9%)、自然環境保全8兆2,630億円(7.8%)です。

(2)国内の環境産業雇用規模は、2014年に全体で約256万人と過去最大になりました(前年比1.6%増、20007年の約1.4倍)。分野別では、廃棄物処理・資源有効利用が134万人で52.4%、地球温暖化防止が59万人で23.2%、自然環境保護が50万人で19.5%、環境汚染防止が12万人で4.8%でした。

(3)全産業に占める環境産業の市場規模の割合は、2000年に6.2%であったのが2014年には11.1%に増加し、環境産業が我国の経済成長に与える影響は増大しています。

(4)パリ協定の実効に向けて、今後は地球温暖化防止関係の産業が急速に拡大する事が見込まれます。

引用・参考資料

注意

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