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home>環境について>環境関連情報>地球温暖化>2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #4

2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #4

2017-05-22

経済産業省「CO2フリー水素ワーキンググループ報告書」を公表

はじめに

経済産業省は2017年3月3日付けで「水素・燃料電池戦略協議会の下に開催されたCO2フリー水素ワーキンググループにおいて、将来的なCO2フリー水素の利活用拡大に向け、昨年5月から議論を続けてまいりました。この度、現状の課題等を整理するとともに、今後の取組の方向性を記載した『CO2フリー水素ワーキンググループ報告書』を取りまとめました」と発表しました。

政府はパリ協定に基づく2030年温室効果ガス排出量26%削減のため、太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入を加速させています。しかし、再生可能エネルギーは自然現象に基づくため、安定供給が難しくベースロード電源にはなり難い欠点があり、計画的に発電量を調整出来るCO2フリーエネルギー源の開発が必要となっています。

このような状況において化石燃料に替わるべきベースロード電源として「水素エネルギー」の利用拡大が検討されています。水素自体は利用時CO2フリーですが、現状では水素を生成する過程で未だ多くのCO2が発生するため、これらの問題点を解決し、将来「CO2の排出が少ない水素供給構造」を構築する必要があり、本報告書ではその道筋が示されたものといえます。

今回は、当該報告書の内容について概要を述べます。

「CO2フリー水素ワーキンググループの目的」

2016年11月に「2020年以降の温室効果ガス排出削減等のための新たな国際的枠組みであるパリ協定」が発効し、我が国も第1回締約国会議会期中に批准を済ませ、2030年までに温室効果ガス26%削減を掲げています。

この目標達成のためには、省エネ、化石エネルギーから再生可能エネルギーや新エネルギーへの転換、CO2固定化・貯留技術の開発などが検討されていますが、風力や太陽光による再生エネルギーは自然現象任せのため、計画的な発電量の調整が難しい欠点があります。

このような状況において、水素エネルギーが注目されています。水素は利用段階ではCO2を排出せず、燃料電池技術の活用により将来地球温暖化対策に大きく貢献し得る可能性が高いエネルギー源と期待されています。しかし、現段階において、水素の多くは化石燃料を分解して生成するため、水素の製造段階ではCO2が発生し、地球温暖化への対応を考えた場合には、十分とはいえません。

このため、将来水素エネルギーを活用するためには、CO2固定化・貯留技術との組合せや、不安定な再生可能エネルギーを使って水素を生成貯留するなど、CO2フリー水素を生成する技術の開発が重要となり、当該ワーキンググループにおいて、これを検討し方向性を示したものと位置づけられます。

報告書の概要

当該WGでは図1に示すように、水素・燃料電池ロードマップを3つのフェーズに分け、第1フェーズ(2020〜2040年)は水素の利用の拡大、第2フェーズ(2020〜2030年)で水素発電の本格的な導入、第3フェーズ(2040年目標)でトータルCO2フリー水素供給システムの確立を目指そうとしていいます。

図1 水素・燃料電池ロードマップ概要(出典:資源エネルギー庁/第1回CO2フリー水素WG資料)

図1 水素・燃料電池ロードマップ概要(出典:資源エネルギー庁/第1回CO2フリー水素WG資料)

CO2フリー水素を目指すには、いくつかの方向性があります。

一つ目は、出来るだけCO2を発生させずに水素を作る方法を突き詰める方向性。
二つ目は、水素生成時に発生するCO2を低エネルギーで回収し固定化・貯留する方法(CCS)を突き詰める方向性です。

◆「出来るだけCO2を発生させずに水素を作る方向性」

水素を作る方法としては図2に示すようにいくつかの方法があります。

図2 水素の製造方法(出典:資源エネルギー庁/第1回CO2フリー水素WG資料)

図2 水素の製造方法(出典:資源エネルギー庁/第1回CO2フリー水素WG資料)

(1)水を高温で処理すると水素と酸素に分解され、水素を得ることが出来ます。

通常、高温を得るためには化石燃料を燃やしますので、CO2フリーにはなりません。他の高温を得る方法としては原子炉の廃熱を利用する方法がありますが、事故による放射能汚染問題があります。苛性ソーダなどの化学品製造時の副生成物や鉄鋼業における排ガスなどから回収することが出来ますが、量的な確保には限度がありますし、CO2フリー水素ではありません。

(2)水に電気を通電し水素と酸素に分解し、水素を得ることが出来ます。

どのようにして作られた電気を利用するかによりますが、火力発電所で作られた電気を用いればCO2フリーになりませんし、原子炉で作られた電気を使えば、事故による放射能汚染問題が解決しません。

(3)油田やガス田からの随伴ガスから水素を分離する方法により得る方法があります。

随伴ガスにはCO2も含まれますし、水素分離にはエネルギーが必要であり、CO2フリーとはいえません。

1. エネルギー貯蔵技術(Power-to-gas)とは

以上のような状況から現在着目されているのが「エネルギー貯蔵技術(Power-to-gas)」と呼ばれる考え方です。「エネルギー貯蔵技術(Power-to-gas)」とは再生可能エネルギーを用いて水を電気分解して水素を作り、これを蓄電池のようにエネルギーとして貯蔵し、必要な時に再度燃料電池によって電気に再変換するという考え方です。

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは自然現象を利用しているため、日照時間や天候、あるいは季節などに左右され、不必要に過剰な発電を行ったり、反対に必要な発電量が確保出来なかったりといった難点があるため、現状では再生可能エネルギーを制御するための中央給電指令所(Control Center of Renewable Energies : CECRE)が設置され発電設備のリアルタイム監視、出力予測、直接/間接の出力制御を行っています。

水素は、蓄電池やスーパーキャパシターなど他のエネルギー貯蔵手段と比較すると、長期間・大容量のエネルギー貯蔵方法として、優位性があり、またガスパイプラインやタンクローリーなど電力系統を経ずに輸送も可能というメリットも持ち合わせています。こうした特性を活かして、季節や気候、地域などによる電力受給バランスを取り、再生可能エネルギーの不安定という欠点を補う方法として期待が高まっています。

2. 色々な水の電気分解方法

エネルギー貯蔵技術(Power-to-gas)は様々な機器や設備によって構成されます。このシステムの中心に位置するのが水を電気分解する水電解装置ですが、その方式により効率が異なり、今後の研究課題になります。

図3 種々水電解装置の模式図(出典:エネルギー庁/第1回CO2フリー水素WG資料/旭化成)

図3 種々水電解装置の模式図(出典:エネルギー庁/第1回CO2フリー水素WG資料/旭化成)

現在実用段階にあるものは、アルカリ水電解及び固体高分子水電解(PEM)だそうですが、将来的には現在開発検討されている高温水蒸気電解(SOEC)等が期待されているようです。

表1 エネルギー貯蔵技術としてのPower-to-gasと蓄電池の長短所比較(出典:資源エネルギー庁/第1回CO2フリー水素WG資料)

表1 エネルギー貯蔵技術としてのPower-to-gasと蓄電池の長短所比較
(出典:資源エネルギー庁/第1回CO2フリー水素WG資料)

Power-to-gasと蓄電池を比較すると、Power-to-gasは貯蔵時のエネルギーロスが少なく、大規模かつ長期間のエネルギー貯蔵が可能という長所がある反面、蓄電池に比べ貯蔵したエネルギーを再度電気に変換する場合に応答速度が遅いという欠点があります。逆に、蓄電池は貯蔵したエネルギーを再度電気に変換する場合、応答速度が速く、変換効率は高いなどの長所を有しますが、エネルギー密度が低い、自己放電によるロス、リサイクル寿命が短い、コストなどの面で劣っています。

このような観点から、双方の長所短所を補うように組合せて利用するのが懸命な方法といえそうで

3. 水素の貯蔵方法

電気エネルギーと比較し、水素は輸送の自由度が大きいというメリットがあります。このため、比較的地方で多く作られた再生可能エネルギーを水素に変換し、需要の多い都市部で消費するパターンが考えらえます。この場合、水素を出来るだけ大量かつ安全で経済的に輸送する方法の開発が必要になります。以下、現在検討されている貯蔵方式を示します。

①液体水素

水素ガスを-253℃に冷却することで液化し貯蔵・輸送する方式。気体の約1/800の体積になるため、貯蔵・輸送には便利ですが、超低温を作るために現状では大きなエネルギーを必要とするため、高効率化が課題。

②有機ハイドライド

水素をトルエン等と反応させてメチルシクロヘキサン等の有機化合物として化学的に吸着させる方法。気体状態の約1/500の体積にすることが可能。常温・常圧でガソリンと同じ第一石油類として取り扱える長所を有する反面、再度トルエンと水素を分離するプロセスでトルエンなどの有機化合物が混入する点が課題。

③圧縮水素

水素をコンプレッサーで圧縮し(例えば20MPaで圧縮すると約1/200の体積)貯蔵・輸送する方式。気体のままなので、利用する場合に簡単であり現時点では広く普及しています。但し、①②の方法と比較すると体積当たりの密度が低いため輸送コスト面で劣る欠点があります。

④水素のパイプライン輸送

パイプラインによる水素輸送はエネルギーロスが少なく、また安定的な輸送が可能であると考えられ、欧州や米国では既に総延長2,000kmを超える工業用水素パイプラインネトワークが整備されており、我が国ではまだ広域的なパイプラインは存在しませんが、今後パイプラインによる輸送が有力な手段となる可能性もありますが、地震の多い我が国では、どのような安全対策を取るかが課題と思えます。

図4 欧米における水素ガスパイプライン敷設事例(出典:資源エネルギー庁/第1回CO2フリー水素WG資料)

図4 欧米における水素ガスパイプライン敷設事例(出典:資源エネルギー庁/第1回CO2フリー水素WG資料)

図5 水素のサプラーチェーン全体イメージ(出典:資源エネルギー庁/第1回CO2フリー水素WG資料)

図5 水素のサプラーチェーン全体イメージ(出典:資源エネルギー庁/第1回CO2フリー水素WG資料)

◆「水素生成時に発生するCO2を低エネルギーで回収し固定化・貯留する方法(CCS)」

CO2フリー水素社会を実現するためのもう一つの方向性は、低エネルギーでCO2を回収固定化・貯留するCCS技術の活用があげられます。

CCS (Carbon dioxide Capture and Storage) とは、工場や製鉄、発電所等のCO2を大規模に排出する施設からCO2が大気に拡散する前に回収し、地下や海底下へ貯留する技術で、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:国連気候変動に関する政府間パネル)やIEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関) 等が推奨する地球温暖化対策として期待される有効な技術の一つであり、水素を生成する際に発生するCO2を実質的にゼロにしようとする考えです。

現在、全世界で構想中のものも含め45件の大規模CCSプロジェクトが進行しており、我が国でも北海道苫小牧市において、操業能力の獲得や安全性の確立、コスト低減などを目的とした大規模CCS実証施設が2016年4月より運転を初めています。現状では、分離回収設備の投資稼働に係るコストが約3,000〜4,200円台/t-CO2と高いことが課題ですが、将来的には1,000円台/t-CO2を目標にした技術開発が進められて行くようです。

図5 水素のサプラーチェーン全体イメージ(出典:資源エネルギー庁/第1回CO2フリー水素WG資料)

図6 CCSのイメージ図(出典:資源エネルギー庁/第1回CO2フリー水素WG資料)

図7 褐炭ガス化技術とCCSを組合せたCO2フリー水素製造イメージ(出典:資源エネルギー庁/第1回CO2フリー水素WG資料)

図7 褐炭ガス化技術とCCSを組合せたCO2フリー水素製造イメージ
(出典:資源エネルギー庁/第1回CO2フリー水素WG資料)

まとめ

地球温暖化対策として、水素の利用はCO2排出量削減のための有効エネルギーの一つとして期待されています。確かに、水素は利用段階ではCO2を排出しないCO2フリーエネルギー源といえますが、現状では製造や貯蔵・輸送の段階まで含めたライフサイクルで見た場合、現状における水素は化石燃料由来であり、トータルで見ればCO2フリーエネルギーとはいえません。そこで、自然現象を利用するため、出力が不安定な風力や太陽光による再生可能エネルギーを用いて水素を生成し、必要時に燃料電池などで再変換する方法や水素生成時に発生するCO2を回収・貯留するCCS技術と組合せる方法などが検討されています。

現状では効率やコストの問題が大きく、さらなる技術開発が必要ではありますが、水素をCO2フリーエネルギーとして利用する道筋が今回示されたといえます。

引用・参考資料

  • 「CO2フリー水素ワーキンググループ報告書」を取りまとめました (経済産業省、2017年3月7日)
  • CO2フリー水素ワーキンググループ報告書 (水素・燃料電池戦略協議会CO2フリー水素ワーキンググループ、2017年3月7日)
  • 2030年温室効果ガス排出量26%削減に向けて #1〜迫られる究極の省エネ〜 (日本バルブ工業会、2016年1月26日)
  • 2030年温室効果ガス排出量26%削減に向けて #2〜再生可能エネルギーの現状と今後 #1(世界編)〜 (日本バルブ工業会、2016年2月26日)
  • 2030年温室効果ガス排出量26%削減に向けて #3〜再生可能エネルギーの現状と今後 #2(国内編)〜 
    (日本バルブ工業会、2016年3月23日)
  • 2030年温室効果ガス排出量26%削減に向けて #4〜CCS(二酸化炭素の固定化・貯留技術)の現状と今後〜 (日本バルブ工業会、2016年4月22日)
  • 2030年温室効果ガス排出量26%削減に向けて #5〜民間企業はどう対策するべきか〜 (日本バルブ工業会、2016年5月20日)
  • 2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #1〜パリ協定から始めるアクション50-80 〜地球の未来のための11の取組〜 について〜 (日本バルブ工業会2016年9月26日)
  • 2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #2〜「パリ協定」2016年11月に発効か?日本は出遅れ〜 (日本バルブ工業会、2016年10月24日)
  • 2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #3〜地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正〜 (日本バルブ工業会、2016年11月25日)

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