MENU
CLOSE
HOMEHOME
工業会情報
  • 工業会情報トップ
  • 当会の組織概要
  • 会長挨拶
  • 定款
  • 競争法コンプライアンス規程
  • 企業行動憲章
  • 役員名簿
  • 2016年度事業報告書等
  • 2017年度事業報告書等
会員企業紹介
  • 会員企業紹介トップ
  • 正会員企業紹介
  • 賛助会員企業紹介
  • 会員企業商標一覧
  • 会員の技術・製品情報
  • ISO認証取得会員
バルブメーカー検索 統計 会員向け

サイトマップ|English

一般社団法人 日本バルブ工業会 JAPAN VALVE MANUFACTURERS'ASSOCIATION

サイトマップ|English

  • HOME
  • 工業会情報
  • 会員企業紹介
  • バルブメーカー検索
  • 統計
  • 会員向け
home>環境について>環境関連情報>地球温暖化>2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #9

2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #9

2018-01-20

~「水素基本戦略」が決定~

 

はじめに

経済産業省は2017年12月26日付けで「『水素基本戦略』が決定されました」と発表しました。その目的に関しては「水素基本戦略は、2050年を視野に将来目指すべきビジョンであると同時に、その実現に向けた2030年までの行動計画です。基本戦略では、目標として、従来エネルギー(ガソリンやLNG等)と同等程度の水素コストの実現を掲げ、その実現に向け、水素の生産から利用まで、各省にまたがる政策群を共通目標の下に統合しました。基本戦略に基づき、カーボンフリーな水素を実現することで、水素を新しいエネルギーの選択肢として提示するとともに、日本の強みを活かし、日本が世界のカーボンフリー化を牽引していきます」と説明しています。

現状では水素を作る原材料として化石燃料を使用しているため、未だ温室効果ガス排出量の削減に寄与する割合は少ないと思われますが、「安価でクリーンなエネルギー」にするための戦略を策定したものと思われ、併せて2017年12月12日付けで水素ステーションの本格整備を目的とした新会社を2018年春に設立することも公表しました。

今回は、温室効果ガスの排出量削減に向けた水素エネルギー利用との関連性について、今回発表された「水素基本戦略」より読み解いてみたいと思います。

「水素基本戦略」制定の背景

2017年4月に開催された「第1回再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議」において、世界に先駆けて水素社会を実現すべく、政府一体となって取り組むための基本戦略を年内に策定するようとの指示を安倍総理から受け、関係府省庁が産学官の有識者で構成される水素・燃料電池戦略協議会において協議を行い、「第2回再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議」において、水素基本戦略が決定されました。

 

水素基本戦略の概要

パリ協定において、我国は温室効果ガスの排出量を2013年度比で2030年に26%削減、2050年までに80%削減することを約束草案に記しています。このような状況において、2050年を視野に入れ、将来目指すべき姿や目標として官民が共有すべき大きな方向性・ビジョンを示すものとして「水素基本戦略」が策定されたと冒頭で述べています。

 

1.我国のエネルギー需給を巡る構造的な課題

(1)我国のエネルギーに関するセキュリティー及び自給率

・我国の1次エネルギー供給の約94%は海外よりの化石燃料に依存しており、自動車の燃料の98%が石油系で、うち約87%を中東に依存するという極めて偏った依存状況にある。

・エネルギーの自給率はわずか6~7%と低く、OECD34ヶ国の中でも下から2番目という低水準にある。

(2)温室効果ガス排出量の削減

・2030年度、2013年度比26%減(2005年度比25.4%減)が目標。

・パリ協定を踏まえて、長期的には2050年までに80%の削減を目指している。

 

2.水素の意義と重要性

(1)エネルギーの供給・調達先を多様化することにより、供給・調達のリスクを根本から低減する

・水素は再生エネルギーを含めて多様なエネルギー源の製造・貯蔵・運搬が可能で、特定のエネルギーに依存しない多様な構造に変革することが可能。

(2)電力、運輸、熱・産業プロセスのあらゆる分野の低炭素化

・水素は利用時にCO2を排出しない。製造段階で発生するCO2はCCS(二酸化炭素の貯留)や再生可能エネルギーの活用で、トータルでCO2フリーのエネルギー源に出来る可能性がある。

・燃料または燃料電池との組合せであらゆる分野での究極的な低炭素化が可能。

(3) 3E+Sの観点からの意義

注)3E:Energy Security(安定供給)、Economic Efficiency(経済効率性の向上)、Environment(環境への適合)、S:Safety

・水素社会の実現は手段であり、水素社会を実現することで3E+Sの達成を目指す。

(4)世界へ先駆けたイノベーションへの挑戦を通じた国際社会へ貢献する。

・日本の水素技術を海外展開し、世界の低炭素化を日本がリードする。

(5)産業振興・競争力強化

・日本の水素・燃料電池技術は世界最高水準であり国内外での積極展開により、新たな成長産業の一つにする。

(6)諸外国における水素の取組を先導

・グローバルな動向を常に把握し、日本が世界の水素社会実現のトップリーダーになる。

 

3.水素社会実現に向けた基本戦略

(1)低コストの水素利用を実現:海外未利用エネルギー/再生可能エネルギーの活用

・水素社会の実現には、水素の調達・供給コストの低減が不可欠。

・海外の安価な未利用エネルギーとCCSとの組合せ、または安価な再生可能エネルギー電気から水素を大量調達するアプローチを基本に、インフラとしての国際サプライチェーンの構築と同時並行で行う。

・2030年頃に商用規模のサプライチェーンを構築し、年間30万t程度の水素を調達。30円/Nm3程度の水素コストの実現を目指す。

・将来的に20円/Nm3程度までコストを低減。環境価値も含め、既存のエネルギーコストと同等の競争力実現を図る。

(2)国際的な水素サプライチェーンの開発

・効率的な水素の輸送・貯蔵を可能とするエネルギーキャリア技術を開発。

・液化水素サプライチェーン開発は、2030年頃の商用化に向けて2020年代半ばまでに商用化実証を実施。

・有機ハイドライドサプライチェーン開発は、2020年度までに基盤技術を確立し、2025年以降の商用化を目指す。

・エネルギーキャリアとしてのアンモニア活用は、直接燃焼時のNOx低減、可燃性劇物に係る安全性確保等の課題解決を進め、2020年代半ばまでのCO2フリーアンモニアの利用開始を目指す。

・CO2フリー水素を用いたメタネーションは普及方策を検討。

注)メタネーション:二酸化炭素を水素で還元して一酸化炭素(CO)を合成(逆シフト反応)、次いで一酸化炭素と水素から再びメタンを合成すること。

(3) 国内再生可能エネルギーの導入拡大と地方創生

①国内再生可能エネルギー由来水素の利用拡大

・再生可能エネルギー利用の拡大には、調整電源の確保とともに、余剰電力の貯蔵技術が必要。

・蓄電池では対応の難しい長周期の変動には、再生可能エネルギーを水素に換えエネルギーを貯蔵する「Power-to-gas技術」が有望。

・鍵はコスト低減。Power-to-gasの中核である水電解システムについて世界最高水準のコスト競争力を実現すべく、2020年までに5万円/kWを見通す技術を確立。

・2032年頃には商用化を、更に、将来的に再生可能エネルギーの導入状況に合わせて輸入水素並のコストを目指す。

②地域資源の活用及び地方創生

・未利用の地域資源(再生可能エネルギー、廃プラスチック、下水汚泥、副生水素等)の活用は、低炭素水素の利活用拡大のみならず、地域のエネルギー自給率の向上やBCP、新たな地域産業創出、再生可能エネルギーを中心とした分散型エネルギーシステム

の確立にも資するもの。

・課題は、地域の水素需要拡大、需給の最適化、設備の低コスト化、発電・原料調達コストの低減。

(4)電力分野での利用

・水素発電は、天然ガス火力発電等と同様、再生可能エネルギー導入拡大に必要となる調整電源・バックアップ電源としての役割大。

・また、水素を安定的かつ大量に消費する点でも有益。

・国際的な水素サプライチェーンとともに2030年頃の商用化を実現し、17円/kWhのコストを目指す。水素調達量として、年間30万t程度(発電容量で1GW)を目安にする。

・将来的には環境価値も含め、既存のLNG火力発電と同等のコスト競争力を目指す。水素調達量として、年間500万~1,000万t程度(発電容量で15~30GW)を目安にする。

・導入に当たっては経済性の確立、環境価値の評価等について、他の制度設計に係る議論を注視しつつ検討を進める。

・メタン、アンモニアはキャリアの直接利用が可能。 アンモニアについては2020年頃までの石炭混焼発電等での利用開始等を目指す。

(5)モビリティでの利用

・FCVは2020年までに4万台程度、2025年までに20万程度、2030年までに80万程度の普及を目指す。水素STは2020年度までに160箇所、2025年度までに320箇所の整備、2020年代後半までにST事業の自立化を目指す。

・そのため、規制改革、技術開発、官民一体による水素ステーションの戦略的整備を三位一体で推進。

・再生可能エネルギー由来水素ステーションは、ステーションの最適配置の観点から商用水素ステーション整備と連携を密にする。

・FCバスは、2020年度までに100台程度、2030年度までに1200台程度の導入を目指す。

・FCフォークリフトは、2020年度までに500台程度、2030年度までに1万台程度の導入を目指す。

・FCトラックの開発・商用化等も目指す。

・小型船舶のFC化を進める。

(6)産業プロセス・熱利用での水素活用の可能性

・CO2フリー水素は、(a)電化が困難なエネルギー利用分野において燃料として利用することで、また、(b)工業用途で使用されている化石燃料由来の水素を代替することで、低炭素化を図ることが可能。

・将来的にはCO2フリー水素による産業分野等の低炭素化を図る。

(7)燃料電池技術活用

・エネファームは2020年頃までにPEFC(固体高分子形燃料電池)80万円、SOFC(固体酸化物形燃料電池)100万円の価格を実現し、自立的普及を図る。

・集合住宅や寒冷地、欧州等の熱需要の大きい地域の市場などを開拓する。

・2030年以降は、CO2フリー水素を燃料とする純水素燃料電池コージェネ導入拡大を図る。

(8)革新的技術活用

・2050年を見据えた革新的技術開発として、高効率な水電解などの水素製造技術、低コスト・高効率なエネルギーキャリア、高信頼性・低コストの燃料電池等の開発が必要。

・関係府省庁が連携してシームレスに実施。

(9)国際展開(標準化等)

・国際的な枠組みを活用しつつ、国際標準化の取組を主導。技術開発や関係機関との連携を図る。

(10)国民の理解促進、地域連携

・水素の安全性に対する理解、水素利用の意義について国民全体での認識共有が必要。そのため、国は地方自治体や事業者とも連携しながら、適切に情報発信。

・「燃料電池自動車等の普及促進に係る自治体連絡会議」や各地域での協議会等の場を積極的に活用し、国・地方自治体間及び各地方自治体間での情報共有等を図る。

図1 水素基本戦略のシナリオ(出典:経済産業省)

 

まとめ

水素エネルギーや燃料電池に関する戦略は2014年に初めて策定され、以降2016年に改訂、2017年12月にパリ協定を意識した方向で再度改訂が行われました。

我国のエネルギー受給率は食料自給率同様に先進国では極めて低く、安定性を欠く状態が長く続いています。

このような状況において、水素は水を分解する事によって無尽蔵に作り出すことができ、また温室効果ガスを排出しないクリーンなエネルギーでもあります。

現状では、水素は化石燃料から生成するため未だクリーンなエネルギーではありませんが、再生可能エネルギーの貯蔵、CO2フリー水素の開発によって、我国のエネルギー供給の安定化とCO2排出量削減の両方を解決できる可能性のある手段として基本的な戦略がまとめられたと言えます。

引用・参考資料

  • 「水素基本戦略」が決定されました (経済産業省、2017年12月26日)
  • 水素基本戦略(概略) (経済産業省、2017年12月26日)
  • 水素ステーションの本格整備を目的とした新会社を2018年春に設立~11社が新会社設立に合意し、契約を締結~ (経済産業省、2017年12月12日)
  • 「水素・燃料電池戦略ロードマップ改訂版」をとりまとめました (経済産業省、2016年3月22日)
  • 「水素・燃料電池戦略ロードマップ」をとりまとめました (経済産業省、2014年6月24日)

注意

  • 無断で本情報を二次使用すること及び転載することを禁じます。
  • 本情報は不確実な情報が含まれる可能性がありますので、本情報を利用される場合は参考文献及び引用先の情報も合わせてご覧のうえ、自己の責任において判断をお願いします。
  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

地球温暖化(環境関連情報)

  • 2022
  • 2021
  • 2020
  • 2019
  • 2018
  • 2017
  • 2016
  • 2015
  • 2014
  • 2013
  • 2012
  • 2011
  • 2009
  • 2008
  • 2006
  • 2005
  • 2003
ページトップ

個人情報保護方針|特定個人情報の適正な取扱いに関する基本方針

一般社団法人日本バルブ工業会

〒105-0011 東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館510 アクセス地図  TEL: 03-3434-1811

Copyright © Japan Valve Manufacturers' Association. All rights reserved