MENU
CLOSE
HOMEHOME
工業会情報
  • 工業会情報トップ
  • 当会の組織概要
  • 会長挨拶
  • 定款
  • 競争法コンプライアンス規程
  • 企業行動憲章
  • 役員名簿
  • 2016年度事業報告書等
  • 2017年度事業報告書等
会員企業紹介
  • 会員企業紹介トップ
  • 正会員企業紹介
  • 賛助会員企業紹介
  • 会員企業商標一覧
  • 会員の技術・製品情報
  • ISO認証取得会員
バルブメーカー検索 統計 会員向け

サイトマップ|English

一般社団法人 日本バルブ工業会 JAPAN VALVE MANUFACTURERS'ASSOCIATION

サイトマップ|English

  • HOME
  • 工業会情報
  • 会員企業紹介
  • バルブメーカー検索
  • 統計
  • 会員向け
home>環境について>環境関連情報>化学物質規制・管理>米国TSCA(有害化学物質管理法)の概要

米国TSCA(有害化学物質管理法)の概要

2021-11-11

~TSCAの全容を理解する #1~

1. はじめに

海外における有害物質規制法としてはEUのREACH規則やRoHS指令が先進的であり、種々の情報も入手しやすく十分な対応も進んできていると思われます。一方、米国の有害物質規制法TSCA(Toxic Substance Control Act)については、断片的な情報が多く、なかなか全容が見えてきません。

たとえば、本コラム2021年9月11日付け「米国TSCAによる5種のPBT物質規制~TSCA第6条(h)項に基づく規制とは~」で述べた条項についても全条項の情報が少ないように思いますので、今回は、2016年6月22日にオバマ大統領が署名したことによって施行された改正有害物資規制法(以下、改正TSCA)の全容について解説したいと思います。

2. 米国の有害物質規制法

欧州のREACH規則や日本の化学物質審査規制法に比べ、米国における化学物質規制対策は大幅に遅れており、1976年に成立した旧TSCAは30年以上も改正されず、規制当局の権限が小さく、また従来から有害性が強いと言われ続けてきたアスベスト、ホルムアルデヒド、難燃剤など10物質に対しても規制ができない状況にありました。

このため、議会において超党派で議論が進められ、2016年に正式名「Frank R. Lautenberg Chemical Safety for the 21st Century Act、21世紀のためのフランクR. ローテンバーグ化学物質安全法」、通称「ローテンバーグ化学安全法」が成立しました。これによりEPA(米国環境保護庁)の権限が強化されるとともに、10種類の優先評価物質が定められました。

この改正TSCAについての解説はEPAのサイトにありますが、リンクが複雑で全容を把握することが困難な状況にあります。今回はEPAのサイトのリンクを深堀して、改正TSCAの全条項に辿り着きましたので、概要をお知らせしたいと思います。

3. 改正TSCA(ローテンバーグ化学安全法)の全容

旧TSCAは2016年に「21世紀のためのフランクR. ローテンバーグ化学物質安全法」によって全面改正され、その後も逐次改正が行われています。

図1  TSCAの大幅改正(筆者作成)

表1 2016年に改正されたTSCAと逐次改正された現状の条項対比

2016年の改正時
出典:(米国政府出版局)
2021年現状
出典(合衆国法典15 USCCh、53章有毒物質の管理)
第1条 簡単な項目、目次    
第1節 化学的安全性 第1節 有毒物質の管理
第2条 調査結果、方針および意図 第2601条 調査結果、ポリシー、および意図
第3条 定義 第2602条 定義
第4条 化学物質および混合物のテスト 第2603条 化学物質および混合物のテスト
第5条 製造および処理に関する通知 第2604条 製造および処理に関する通知
第6条 化学物質および混合物の優先順位付け、リスク評価及び規制、
<項目は省略>
第2605条 化学物質および混合物の優先順位付け、リスク評価及び規制

  1. 規制の範囲
  2. リスク評価
  3. サブセッション(a)規則の公布
  4. 発効日
  5. ポリ塩化ビフェニル
  6. 水銀
  7. 適用除外
  8. 持続性、生体蓄積性、および毒性のある化学物質
  9. 最終的な機関の行動
  10. 定義
第7条 差し迫った危険 第2606条 差し迫った危険
第8条 情報の報告と保持 第2607条 情報の報告と保持
第9条 他の連邦法との関係 第2608条 他の連邦法との関係
    第2609条 情報の研究、開発、収集、普及、活用
    第2610条 検査と召喚(subpoenas)
    第2611条 輸出
    第2612条 米国の関税領域への参入
第10条 水銀の輸出    
第11条 機密情報 第2613条 機密情報
    第2614条 禁止行為
第12条 罰則 第2615条 罰則
第13条 州と連邦の関係    
    第2616条 特定の執行押収
    第2617条 強制排除(preemption)
第14条 司法審査 第2618条 司法審査
第15条 市民の民事訴訟 第2619条 市民の民事訴訟
    第2620条 市民による請願
    第2621条 国防に関する適用除外
    第2622条 従業員の保護
    第2623条 雇用の効果
第16条 研究 第2624条 研究
第17条 法の管理 第2625条 管理
    第2626条 試験方法の開発と評価
第18条 州の計画 第2627条 州の計画
    第2628条 予算の承認
    第2629条 年次報告
第19条 適合修正    
第20条 遡及性なし    
第21条 トレバーの法則    
第2節 地方の医療接続 第2節 アスベストの危険な緊急時の対応
第201条 簡単な項目    
第202条 熟練した看護施設のための通信サービス    
  <以下余白> 第2641条 議会の調査結果と目的
    第2642条 定義
    第2643条 EPA規制
    第2644条 EPAが規制を公布しなかった場合の要件
    第2645条 州知事への提出
    第2646条 請負業者および研究所の認定
    第2647条 執行
    第2648条 緊急時の権限
    第2649条 州および連邦法
    第2650条 アスベスト請負業者と地元の教育機関
    第2651条 公共の保護
    第2652条 アスベストオンブズマン
    第2653条 公共建築物中のアスベスト含有物質のEPA研究
    第2654条 執行規則
    第2655条 労働者の保護
    第2656条 トレーニング助成金
    第3節 屋内のラドンの削除 <条項省略>
    第4節 鉛曝露の削減
    第2681条 定義
    第2682条 鉛ベースの塗装行ためのトレーニングと認定
    第2683条 鉛の危険なレベルの特定
    第2684条 認可された州のプログラム
    第2685条 鉛の削減と測定
    第2686条 鉛曝露情報パンフレット
    第2687条 規則
    第2688条 連邦施設での鉛ベースの塗料の危険性の管理
    第2689条 禁止行為
    第2690条 他の連邦法との関係
    第2691条 行政手続に関する一般規定
    第2692条 予算の承認
    第5節 健康的な高性能な学校<条項省略>
    第6節 複合木材製品からのホルムアルデヒド基準
<条項省略>

2016年の改正時より、現時点まで種々の逐次改正がなされていますが、必ずしも条項番号に整合性がないために、わかりにくいと言えます。なお、EPAは2016年時の条項番号と現状米国法典の条項番号を併用しているようです。

たとえば、輸出入に関しては2016年改正時には条項がなかったため、現状の条番号(米国法典第2611条)を第12条、(米国法典2612条)を第13条と読み替えているように思えます。

4. 製造者にとっての重要な条項(出典:EPA)

  • 第4条に基づき、リスクまたは懸念のある暴露が見つかった製造業者、輸入業者、および、加工業者に対して化学物質の試験を要求する。
  • 第5条に基づき、製造前に「新しい化学物質」の製造前通知を要求する。
  • 第5条に基づき、懸念物質への暴露または放出をもたらす可能性のある「重要な新規使用」を特定した場合、重要な新規使用規則(SNUR)を発行する。
  • 第6条(h)項に基づき、持続性、生体内蓄積性、および毒性(PBT)化学物質の規制を行う。
  • 第8条に基づき、83,000を超える化学物質を含むTSCAインベントリを維持する。新しい化学物質は商業的に製造または輸入されているため、リストに追加される。
  • 第8条に基づき、商業的に化学物質を製造、輸入、加工、および/または、配布する者による報告と記録管理を要求する。
  • 第8条(e)項に基づき、化学物質または混合物を製造(輸入を含む)、加工、または商業的に流通させ、そのような物質または混合物が傷害の実質的なリスクをもたらすという結論を合理的に裏付ける情報を入手する者に、EPAはそのような情報を適切に知らされている場合を除いて、直ちにEPAに通知するために健康または環境に関する情報を要求する。
  • EPAは第8条(e)項に基づき、すべての提出物と自主的な「For Your Information」(FYI)提出物を審査する。これは法律で義務付けられていないが、さまざまな理由で業界や公益団体から提出される。
  • 第12条(b)項(米国法典第2611条)および第13条(米国法典第2612条)に基づいて、化学物質の輸入または輸出を行う者に、認証報告および/またはその他の要件に準拠するよう要求する。

※米国での化学物質輸出入に関する詳細はImporting or Exporting Chemical Substances under TSCAを参照ください。

5. 改正TSCAに基づきEPAが管理対象としている化学物質(2021年10月末現在)

CAS RN、及び、主な用途などは独立行政法人製品評価技術基盤機構の化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)の情報 を参考に、表2にまとめました。

表2 改正TSCAに基づきEPAが管理対象としている化学物質一覧(出典:EPA)

管理対象化学物質 CAS RN 主な用途、備考
アスベスト、パート1:クリソタイルアスベスト 12001-29-5  
1-ブロモプロパン 106-94-5 医薬・農薬原料、REACH規則SVHC
1,4-ジオキサン 123-91-1 洗浄剤、合成皮革溶剤、反応用の溶剤、塩素系溶剤安定剤、医薬原料、REACH規則SVHC
四塩化炭素 56-23-5 フロンガス・農薬原料、化審法:第二種特定化学物質
CIピグメントバイオレット29(PV29) 81-33-4 顔料および建染染料(あまり汎用性なし)
環状脂肪族臭化物類(HBCD)
ヘキサブロモシクロドデカン
1,2,5,6,9,10-ヘキサブロモシクロドデカン
1,2,5,6-テトラブロモシクロオクタン
25637-99-4
3194-55-6
3194-57-8
樹脂用難燃剤
塩化メチレン 75-09-2 洗浄剤、金属脱脂、エアゾール噴射剤、塗料剥離剤ウレタンフォーム発泡助剤、繊維・フィルム溶剤、接着剤、安衛法、大気汚染、水質汚濁など
n-メチルピロリドン(NMP) 872-50-4 樹脂溶剤、アセチレン溶剤、MOS半導体製造用溶剤、化粧品基剤
パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質(PFAS)   焦げつき防止の調理器具、汚れをはじく衣類、食品接触材、洗剤、クリーニング製品、消火剤など
パークロロエチレン 127-18-4 ドライクリーニング溶剤、金属洗浄溶剤、電子工業用溶剤、代替フロン原料、国内各種規制物質
トリクロロエチレン(TCE) 79-01-6 金属洗浄剤、各種溶剤、フロンガス製造原料
以下<第6条(h)項に基づくPBT5物質物質>
デカブロモジフェニルエーテル(DecaBDE) 1163-19-5 繊維製品、ポリスチレン・ABS樹脂・ポリエステル等の難燃剤
フェノール、イソプロピル化リン酸塩(3:1)(PIP(3:1)) 68937-41-7 PVC等の難燃剤
2,4,6-トリス(tert-ブチル)フェノール(2,4,6-TTBP) 732-26-3 ガソリン、燃料油、潤滑油用の添加剤(酸化防止剤)
ヘキサクロロブタジエン(HCBD) 87-68-3 ゴム化合物を含む化学物質中間体、溶媒
ペンタクロロチオフェノール(PCTP) 133-49-3 ゴム部品の剛性率向上のための添加剤

 

6. まとめ

(1)米国の化学物質規制法(TSCA:Toxic Substance Control Act)は1976年に「工業化学物質の製造と使用を規制するための主要な法律」として制定されたが、アスベストやPCBといった健康に害がありそうな物質の規制には有効でなかったため、2011年頃より大幅な改正検討が始まり、2016年に超党派による審議を経て「21世紀のためのフランクR.ローテンバーグ化学物質安全法」が成立し、大幅な改正が行われた。
(2)改正の要旨は、EPA(米国環境保護庁)に強い権限と予算を与え、化学物質の情報に対する公共の透明性を高め、リスクベースでの化学物質評価を行うこととした。
(3)商業的な目的で製造・使用される化学物質は全てインベントリへの登録が義務化され、これを既存物質と呼び、インベントリに収載のない物質は新規物質として、製造前にEPAに届出て審査を受ける必要がある。
(4)インベントリにフラグが付されている場合は、その指示に従うものとする。
(5)現在EPAがTSCAに従い管理対象化学物質としている物質は表2に示す。
(6)2016年に改正されたTSCAの全条項は米国第114回議会に示されており、全2節23条より構成されている。
(7)改正TSCAはその後、逐次改正されたようで、2021年10月末現在に合衆国法典15 USCCh、53章有毒物質の管理で確認した状況ではかなりの条項が付加されており、図1に対比を示した。
(8)2016年時点と現状では条項表記が異なっているが、EPAはこれを混在させて使用しているようであり、わかりにくい。また、TSCAの説明・解説はEPAのWebサイトにあるが、リンクが複雑でありTSCAの全容理解の障害になっている。
(9)今回、EPA webサイトの多くのリンク先を開いて内容を確認したが、全てではないので、さらに深堀し、重要な情報があれば逐次提供したい。

引用・参考資料

  • Full Text of the Frank R. Lautenberg Chemical Safety for the 21st Century Act (EPA)
  • The Frank R. Lautenberg Chemical Safety for the 21st Century Act (EPA)
  • Assessing and Managing Chemicals under TSCA (EPA)
  • Summary of the Toxic Substances Control Act (EPA)
  • One Hundred Fourteenth Congress of the United States of America AT THE SECOND SESSION (米国下院議会)
  • PUBLIC LAW 114–182—JUNE 22, 2016 FRANK R. LAUTENBERG CHEMICAL SAFETY FOR THE 21ST CENTURY ACT (合衆国政府出版局:Authenticated U.S. Government Information)
  • 15 USC Ch. 53: TOXIC SUBSTANCES CONTROL From Title 15—COMMERCE AND TRADE (合衆国法典)
  • 【アメリカ】化学物質規制強化法案が成立、環境保護庁が化学物質規制を制定する計画 (sustainable japan、2021年7月13日)
  • 米国TSCAによる5種のPBT物質規制~TSCA第5条(h)項に基づく規制とは~ (日本バルブ工業会、2021年9月11日)
  • 米国への化学物質規制に配慮した輸出への注意~TSCA規制対応の実務~ (日本バルブ工業会、2021年12月17日)
  • 米国の有害物質規制法(TSCA)の改正・実施強化(その1) (日本バルブ工業会、2011年1月26日)
  • 米国の有害物質規制法(TSCA)の改正・実施強化(その2) (日本バルブ工業会、2011年2月18日)

注意

  • 無断で本情報を二次使用すること及び転載することを禁じます。
  • 本情報は不確実な情報が含まれる可能性がありますので、本情報を利用される場合は参考文献及び引用先の情報も合わせてご覧のうえ、自己の責任において判断をお願いします。
  • 英文による引用・参考資料部分においては、英語の専門家でない筆者が仮和訳していますので、本情報を重要な場面で利用される場合は、引用先の原文を参考に自己責任にて判断願います。
  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

化学物質規制・管理(環境関連情報)

  • 2022
  • 2021
  • 2020
  • 2019
  • 2018
  • 2017
  • 2016
  • 2015
  • 2014
  • 2013
  • 2012
  • 2011
  • 2010
  • 2009
  • 2008
  • 2007
  • 2006
  • 2005
  • 2004
  • 2003
ページトップ

個人情報保護方針|特定個人情報の適正な取扱いに関する基本方針

一般社団法人日本バルブ工業会

〒105-0011 東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館510 アクセス地図  TEL: 03-3434-1811

Copyright © Japan Valve Manufacturers' Association. All rights reserved