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home>環境関連情報>「プラスチックごみ」による深刻な環境汚染の拡大

「プラスチックごみ」による深刻な環境汚染の拡大

2018-10-25

はじめに

2018年6月7日付け日経ビジネスはNational Geographicのニュースを引用して、「餓死したクジラ、胃にビニール袋80枚~プラスチックごみが約8kgも、救助しても餌食べられず、タイ~」と題するショッキングな記事を紹介しました。それによると、マレーシアの国境に近いタイの運河で衰弱したゴンドウクジラが発見されましたが、泳ぐことが困難で呼吸も苦しそうな様子だったため、救助隊が救助に当たりましたが5枚のビニール袋を吐き出し、救助後5日目に死亡したそうです。解剖の結果、胃の中から80枚のレジ袋など8kg近いプラスチックごみが出てきたそうです。このプラスチックごみが胃に詰まりエサを食べられなくなったようです。

その他にも、最近アザラシやウミガメなどプラスチックごみが原因で死亡するニュースを多く見るようになってきました。

National Geographicの同記事では「世界の海には、毎年800万トンを超えるプラスチックごみが流れ出ている」としており、環境省は「世界経済フォーラムの報告書(2016年)The New Plastics Economy: Rethinking the future of plastics”2016.Jan.word economic forumによると、2050年までに海洋中に存在するプラスチックの量(重量ベース)が魚の量を超過すると予測される」と警鐘を鳴らしています。

本コラムでは2016年6月17付けで「マイクロプラスチックによる海洋汚染~増え続ける見えないゴミの問題点とは~」について書いていますが、ここ数年で海洋生物に及ぼす大きなプラスチックごみの問題が急浮上してきており、企業の自主対策として飲食店のプラスチック製ストローの廃止や、レジ袋の有料化などの動きも出てきています。

プラスチックは利便性が高いため、今後も10~15年先まではその生産量は増加傾向が続くと言われていますが、プラスチックごみの再資源化率は10%にも満たないと言われています。プラスチックごみが効率良く回収されて正しく処理されれば、多少の問題は解決されるかも知れませんが、現状では多量のプラスチックごみは環境中へ放出されてしまっています。プラスチックは環境中で完全に分解されるまでには数千年の時が必要とされています。特に海洋中に流出したプラスチックごみは、地球温暖化に次ぐ第二の脅威とも言われていますので、今回は海洋流出プラスチックごみを中心に使用済みプラスチックの現状について述べてみたいと思います。

プラスチックごみの行方

先般の台風25号は関東地方にも被害をもたらしましたが、筆者の家の前を流れる小さい川を30分ほど眺めていましたところ、多くのPETボトルやレジ袋、ポリバケツ、発泡スチロールの容器、カラーコーン、果ては大型のプラスチック製パレットまでが流れてきました。それ以前に、多摩川の河川敷を歩いてみましたが、レジ袋、スナック菓子等のポリ袋、ポリバケツ、プラスチック製のヒモやロープ、ビニール傘、テニスボール、カップラーメンの容器など実に多くのプラスチックごみが見受けられました。排水溝や小さな河川であっても、そこに投棄されたプラスチックごみは大きな川に合流し、やがては海洋に流れ出てしまいます。

図1 川や河川敷に捨てられたプラスチックごみ(撮影はすべて筆者)

これら、陸地から海洋に流出したプラスチックごみの一部は浜辺に打上げられますが、大半は海洋を漂っていると推定されます。

図2 海岸に漂着した大量のプラスチックごみ(出典:環境省)

図3 陸上から海洋に流出したプラスチックごみ発生量(2010年推計)の分布と発生国ランキング
(出典:環境省/Jambeckら:Plastic waste inputs from land into the ocean, Science(2015))

以上の結果から、海洋プラスチックごみの発生国上位にはアジア諸国が多く含まれており、筆者が自分の目で見みて感じた我が国のプラスチックごみの量から想像するに、上位5位までの国の河川状況はすさまじいものと想像されます。

プラスチックごみによる問題と解決のロードマップ

国連環境計画(UNEP)は2018年6月5日付けで「使い捨てプラスチックに関して持続可能なロードマップ」と題する報告書を公表して、海洋プラスチックごみ削減のための方向性を示しました。これによると、
(1)プラスチックの利便性は否定できませんので、今後も10年、15年とプラスチックの生産量は増加傾向を示すと思われます。
(2)プラスチックを製造、使用、管理する方法を再考しない限り、私たちはすでに発生しているプラスチックごみの量に対処できません。
(3)プラスチックごみの発生量を削減するには使い捨てプラスチックを減らすことです。なぜなら、容器包装などに使われる使い捨てプラスチックがプラスチックごみの半分を占めているからです。
(4)現在世界のプラスチックごみ90億トン(プラスチックが生産され始めてから今日まで)のうち、リサイクルされている比率はわずか9%しかなく、他は埋め立てと環境中に放出されます。プラスチック生産に使用される石油の量は全消費量の20%にも達します。
(5)プラスチックが自然界で完全に分解されるまでには数千年かかります。
(6)使い捨てのプラスチックは、たばこのフィルター、飲料用ボトルと蓋、食品包装袋、レジ袋、プラスチック製蓋、ストローと攪拌用のスティック、その他のビニール袋、発泡スチロール製トレーなどです。
(7)プラスチックごみが正しく処分されずに、環境中に放出された場合
・ビニール袋は水路を閉塞し、自然災害を悪化させる可能性があります。
・ビニール袋は下水道を詰まらせ、蚊や害虫の繁殖場所を提供することにより、マラリアのような蚊やダニなどの媒介による伝染病を増加させる可能性があります。
・プラスチックの袋は主に数百種類の水生動物が誤って摂取した場合、気道や胃を閉塞させてしまいます。
・プラスチックの製造中に添加された毒性化学物質が動物組織に移行し、最終的にヒトの食物連鎖に入ります。
・貧困国ではプラスチックごみを燃料として燃やしますが、有毒ガスが発生することもあります。
(8)経済面の損失においても、アジア太平洋地域の散乱したプラスチックを観光、漁業、海運などのために処理する費用は毎年13億ドル、欧州でも海岸や砂浜の漂着プラスチックごみ処理に毎年6.3億ユーロの経費がかかっており、さらにプラスチックに起因する世界の海洋生態系への経済的損害は、毎年少なくとも130億ドルに達するとされています。
(9)以上のように、健康面及び経済面からこのロードマップに従った行動を行うことは明白です。

国際動向(特に海洋プラスチックごみについて)

自国で発生させ、陸地に留まっているプラスチックごみは当該国の問題ですが、海洋に流出したプラスチックごみは国際的な問題となりますので、現在以下のような動きがあります。

表1 海洋プラスチック問題に関する国際動向(出典:環境省)

持続可能な開発目標(SDGs)
(2015.9)

持続可能な開発目標(SDGs)のターゲットの1つとして「2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」が掲げられている。

G7

<G7伊勢志摩サミット(2016年5月)>
■首脳宣言において、資源効率性及び3Rに関する取組が、陸域を発生源とする海洋ごみ、特にプラスチックの発生抑制及び削減に寄与することも認識しつつ、海洋ごみに対処することを再確認。

<G7シャルルボワサミット(2018年6月)>
■G7全ての国が海洋環境の保全に関する「健全な海洋及び強靱な沿岸部コミュニティのためのシャルルボワ・ブループリント」を承認し、「海洋の知識を向上し、持続可能な海洋と漁業を促進し、強靱な沿岸及び沿岸コミュニティを支援し、海洋のプラスチック廃棄物や海洋ごみに対処」するとした。

■海洋プラスチック憲章(達成期限付きの数値目標等を含む)
欧州・カナダが署名、日本とアメリカは保留

国連環境総会(UNEA3)
(2017.12)

■「海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチック」に関する決議(resolution)が採択され、海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックに対処するための障害及びオプションを精査するための専門家グループ会合を招集することを決定。5月に第1回会合を開催

G20

<G20ハンブルクサミット(2017年7月)>
■G20サミットでは初めて海洋ごみが首脳宣言で取り上げられた。
■これまでのG7による取組を基礎としつつ、発生抑制、持続可能な廃棄物管理の構築、調査等の取組を盛り込んだイニシアチブ「海洋ごみに対するG20行動計画」の立ち上げに合意。

 

まとめ

(1) 繊維を含むプラスチックは1950年頃より工業的に大量生産され始め、現在までに累計で約90億トンに達すると言われています。

(2) 人類が消費する石油の20%がプラスチック生産に使われており、今なお全世界で年間約3億トンが生産され、今後10~15年はさらに増加すると言われています。

(3) 使用済みプラスチックのリサイクル率はわずか9%程度とされ、残りは埋立て、焼却、環境への放出とされていますが、プラスチックは自然環境中で完全に分解されるには数千年が必要とされています。

(4) 環境中へ放出されたプラスチックごみのうち、年間約800万トンが海洋に流出していると言われており、このままの状況が続けば2050年までに海洋中に存在するプラスチックの量(重量ベース)が魚の量を超過すると予測されています。

(5) プラスチックごみのうち、海洋に流出した場合、クジラ、アザラシ、ウミガメなどの海洋生物が誤って摂取したり身体に絡まったりするなど生命の危険を与え始めており、海の生態系を壊す危険性があるといわれています。

(6) 海洋流出プラスチックごみ問題は地球温暖化に続く「第二の脅威」として、国連やG7、G20などでも対策が話し合われていますが、経済的な問題も多く、対策が遅れています。

(7) プラスチックごみの半分は、たばこのフィルター、飲料用ボトルと蓋、食品包装袋、レジ袋、プラスチック製蓋、ストローと攪拌用のスティック、その他のビニール袋、発泡スチロール製トレーなどの使い捨て製品であり、まずはこれら使い捨てプラスチック製品を廃止するよう企業が努力する事が重要と言えます。

引用・参考資料

  • マイクロプラスチックによる海洋汚染~増え続ける見えないゴミの問題点とは~ (日本バルブ工業会、2016年6月17日)
  • “海を殺す”マイクロプラスチック汚染、日本周辺は「ホットスポット」にも (AbemaTimes、2018年6月19日)
  • プラスチック汚染対策のプラスチック憲章G7で日本署名せず (New from Nowhere、2018年6月11日)
  • 【動画】餓死したクジラ、胃にビニール袋80枚 プラスチックごみが約8キロも、救助しても餌食べられず、タイ (National Geographic/日経ビジネス、2018年6月7日)
  • 警告!動物たちの無言の訴えを聴いて! (Never まとめ)
  • New report offers global outlook on efforts to beat plastic pollution (国連環境計画UNEP、2018年6月5日)
  • <プラスチック危機>海流入、50年までに魚の総重量超え? (毎日新聞Web版、2018年7月15日)
  • 海洋プラスチック問題について (環境省、2018年7月)
  • The European Commission steps forward to reduce plastic pollution (European Environment Bureau、 2018年1月16日)
  • Biodegradable plastics will not solve plastic pollution, says the European Parliament (European Environment Bureau、2018年9月13日)
  • 番組制作サイドから見た海ゴミ問題 (環境省/NHK)
  • 「未来に残そう青い海」私たちの生活(ごみ)と海洋汚染 (海上保安庁、2018年6月1日)

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