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home>環境関連情報>動物由来感染症について #6

動物由来感染症について #6

2020-05-14

~地球温暖化と感染症の増加~

はじめに

現在、2019年末に中国の武漢市で発生した新型コロナウイルス(SARS-coV-2)による感染症(VOVID-19)が世界中に広がり、多くの犠牲者が出ていますが、人類は歴史上において、微生物やウイルスによる感染症の流行を数多く経験してきました。

特に第一次世界大戦中の1918年に大流行したスペイン風邪は、現在流行中のSARS-coV-2と同種のコロナウイルスによるインフルエンザの一種ですが、世界中で5億人(当時の世界総人口は20~25億人)が感染し、2,000~5,000万人が亡くなったとされ、人類史上最悪の感染症だったといわれています。

我々の記憶に新しいところでは、2002~2003年に中国から発生したハクビシン由来とされるSARS(重症急性呼吸器症候群)、2009年~2010年の豚インフルエンザがヒトに感染して世界に拡大した新型インフルエンザ(米国で約12,000人が亡くなったと推定)、2012年~2014年にヒトコブラクダから人に感染したとされるMARS(中東呼吸器症候群)、2014年頃に西アフリカで大流行したエボラ出血熱(コウモリ、サル、豚などから感染したと推定)などが知られています。

いずれも、本来は動物が宿主で有ったウイルスが何らかの理由によって人に感染したと推定されています。例えば、(野生)動物に噛まれた、生肉を食べた、ノミやダニ、蚊などの媒介生物より感染したなどが考えられます。

近年、この動物由来の感染症が増加の傾向にあり、原因の一つに「地球温暖化」があげられていますが、どのような関連があるのか興味深いので解説したいと思います。


図1 地球温暖化と感染症増加(出典:環境省)

地球温暖化と感染症~いま、何がわかっているのか?~(環境省)

2007年に環境省が「地球温暖化と感染症~いま、何がわかっているのか?」と題するパンフレット及び解説書を公表していますので、今回はこのパンフレットの内容をご紹介します。

●感染症とは

細菌やウイルスが体内に侵入して感染する病気で、体液、食物や飲料水、蚊やダニなどの媒介動物を通して感染する。
一般的に感染しやすい条件は、
・病原体がヒトの体に侵入する機会が多い
・病原体の自然宿主や媒介する生物(媒介生物)が多い
・病原体が侵入しやすい居住空間や生活様式である
・公衆衛生の状態が良くない
※いくつかの感染症は「地球温暖化」との関連が示唆されています。現時点ではまだ何らかの影響がはっきり確認されたわけではありませんが、次の可能性が指摘されています。
・マラリアやデング熱など媒介動物「蚊」の分布や個体数の増加が関与している可能性
・ウエストナイルウイルスの様に自然宿主である「鳥類」の分布や渡り鳥の経路が変化する可能性
・感染症にかかる恐れのある地域や時期が拡大する可能性

●世界で議論されている温暖化の健康への影響~温暖化による感染症リスクの拡大

温暖化による洪水、干ばつ、山火事などの異常気象によって衛生環境が悪化、特に水害により汚染された水が原因となる水媒介性感染症は途上国などで深刻な問題となっている。
温暖化が進むと水温が上がって汚染の原因となる微生物が増加し悪影響が懸念される。
エルニーニョ現象が発生した1998年は世界各地でさまざまな感染症被害が増加した。

●自然生態系への影響~媒介動物などの分布が北上

夏季の気温上昇よりも冬季の低温上昇の方が昆虫などの分布に大きく影響する。
すでに人を刺したり噛んだり感染症を媒介するなどの「衛生害虫」が生息域を広げていることが確認。
たとえば、強い毒性を有するセアカゴケグモや猛毒なオオミツバツ、ヒアリなど海外から侵入し冬季の低温に弱いとされる生物分布が北上してきている。

●感染症と温暖化の関係~世界の例

日本には侵入していないが、世界各地でみられる感染症のうち、温暖化との関連の可能性が強く示唆されるものがある。
アフリカのリフトバレー熱は、感染した羊、ヤギなどを蚊が吸血し、その蚊に刺された人に感染。通常、感染蚊は多くないが、温暖化による雨量の増加により感染蚊が増加。
アメリカ大陸でみられるハンタウイルス肺炎症候群は、ネズミなどの「げっ歯類」のフンや尿中に排泄されたウイルスを人が吸い込むことで感染する。雨量増加によりネズミの餌が増加し結果としてネズミが増えて感染者が増加と推定。
コレラ菌は海水中のプランクトンと共生しており、海水温が上昇してプランクトンが増殖すると、コレラ菌も増加することが予想される。
バングラデシュや南米では、エルニーニョなどで海水温が上昇した年に多数のコレラ患者が発生した。
日本の近海でも、下痢や皮膚疾患などを起こすビブリオ・バルフィニカスという菌が検出される地域が、近年になって北上している。


図2 様々な感染症と感染経路例(出典:環境省)

●日本国内の感染症

日本国内では、日本脳炎を媒介するコガタアカイエ蚊が、夏季の気温が高い年に活動が活発になることが知られている。日本脳炎はワクチン接種の効果により感染者は少数だが、媒介蚊の生息域が拡大するとともに活動の活発化が懸念される。
マラリアやデング熱は熱帯地方の感染症と思われがちであるが、過去において日本でもマラリアやデング熱が流行した時期がある。直近では2015年に海外渡航歴がないにも関らず都内の公園などで蚊に刺された人がデング熱に感染した。デング熱を媒介する「ヒトスジシマ蚊の分布は年平均気温が11℃の地域」と一致しており、その生息域が年々北上している。

●様々な感染症対策

異常気象被害 温暖化の影響で集中豪雨などによる洪水が発生しやすくなり、飲料水や生活環境の汚染による感染症が発生しやすくなる。
⇒緊急時に備えた適切な消毒作業が行える仕組み、機材、薬剤の備え
学校での環境教育 子供が集団生活する学校では感染症が発生すると集団感染する可能性が高くなる。
⇒正しい手洗いやウガイのやり方、体系的な衛生教育の実施
家庭での取組 温暖化により蚊やダニなどの媒介動物が増殖する。
⇒身の回りに媒介動物を繁殖させない環境作り。海外旅行の際の防虫剤などの携帯。
政府の取組 海外からの新規感染症の持ち込みの増加。
⇒入国時の予防、水際での防疫、治療。今回の新型コロナウイルス感染症では機能せず
世界の先進的な取 国際的な人的交流が頻繁に行われているため、地域的な感染症が瞬時に世界に拡大する。
⇒世界的、国内での情報ネットワーク構築など、全ての住民の行動による協力体制を取る。


図3 地球温暖化のもたらす地域ごとの感染症(出典:環境省/WHO)

まとめ

(1)新型コロナウイルスの陰に隠れて、同じ人獣共通感染症のインフルエンザ(季節性インフルエンザ及び新型インフルエンザ)の話題はあまり報道されないが、日本では2016年に1,463人、2017年に2,569人、2018年に3,325人と死者が増加傾向にあり、2019年は1月~9月だけで3,000人以上が亡くなっています。CDC(米国の疾病予防管理センター)によると、アメリカでは今シーズン(2020年2月1日までの集計。以降は新型コロナウイルス感染症拡大によりインフルエンザとの識別が困難)で2,200~3,100万人が感染し12,000~30,000人が死亡したと推定しています(数値に開きがあるのはインフルエンザの感染を完全に把握することが困難であるため)。過去においては、2017年~2018年のシーズンに大流行が起こり、6万人以上の死者が出たとしています。
(2)地球温暖化と感染症との関係はまだハッキリとした関係は確認されていませんが、気温や降水量などが変化すると感染症を媒介する動物が増加したり、生息域が拡大したりする可能性が高まります。
(3)新型コロナウイルスや新型インフルエンザ等は人獣共通感染症(ズーノーシス)です。このことは人間と動物の両方がかかる感染症である以上、宿主である動物が全滅しない限り、地球上からこれらの感染症を絶滅することは不可能に近いと考えられます。
(4)地球温暖化と感染症の関係はまだ確認できていませんが、近年新しく出現した多くの新型感染症は人獣共通の感染症が多く、年々死者数が増加傾向にあります。もし地球温暖化と感染症の関係が明らかになったら、その時点では「手遅れ」になる可能性が高いといえますので、現在大流行している新型コロナウイルスに向き合い、一人一人が今までの生活習慣や行動様式を考え直す必要があると思います。

引用・参考資料

  • 死に至る12の病”、温暖化の影響か (ナショナルジオグラフィック、2008年10月7日)
  • 地球温暖化と感染症~いま、何が判っているのか?パンフレット (環境省、2007年3月8日)
  • 地球温暖化と感染症-いま、何がわかっているのか? パンフレット概要 (環境省、2007年3月8日)
  • 感染症への地球温暖化影響 (国立感染症研究所ウイルス第一部)
  • 地球温暖化で伝染病が増大? (WIRED、2002年10月3日)
  • 史上最悪のパンデミックだったスペイン風邪の大流行 (JBpress、2020年4月25日)
  • 2009年新型インフルエンザの世界的流行 (ウィキペディア)
  • 重症急性呼吸器症候群 (ウィキペディア)
  • 中東呼吸器症候群 (ウィキペディア)
  • エボラ出血熱 (ウィキペディア)
  • なんと1日50人以上「インフル死者」が日本で急増する不気味 (president online、2020年2月18日)
  • 死者1万人超、アメリカで「インフル猛威」のなぜ 2年前はなんと6万人以上が亡くなっていた (東洋経済、2020年2月14日)
  • コロナがエボラと同じ「人獣共通」だから怖い訳~天然痘のように撲滅できず消えてもまた姿現す (東洋経済、2020年5月7日)
  • 人獣共通感染症 (国立感染症研究所)
  • 動物由来感染症 (国立感染症研究所)
  • Influenza (Flu) (CDC: Centers for Disease Control and Prevention アメリカ疾病予防管理センター)

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