MENU
CLOSE
HOMEHOME
工業会情報
  • 工業会情報トップ
  • 当会の組織概要
  • 会長挨拶
  • 定款
  • 競争法コンプライアンス規程
  • 企業行動憲章
  • 役員名簿
  • 2016年度事業報告書等
  • 2017年度事業報告書等
会員企業紹介
  • 会員企業紹介トップ
  • 正会員企業紹介
  • 賛助会員企業紹介
  • 会員企業商標一覧
  • 会員の技術・製品情報
  • ISO認証取得会員
バルブメーカー検索 統計 会員向け

サイトマップ|English

一般社団法人 日本バルブ工業会 JAPAN VALVE MANUFACTURERS'ASSOCIATION

サイトマップ|English

  • HOME
  • 工業会情報
  • 会員企業紹介
  • バルブメーカー検索
  • 統計
  • 会員向け
home>環境について>環境関連情報>地球温暖化>2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #22

2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #22

2021-05-13


~グリーン、ブルー、イエロー・・・水素に色があるの?~

はじめに

2050年のカーボンニュートラルに向けて、二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーとして太陽光や風力などによる電力とともに期待されている水素は、無味無臭、無色透明な気体ですが、最近「グリーン水素」「ブルー水素」「イエロー水素」など色分けされて呼ばれるようになってきています。

子供の頃、学校で「水を電気分解すると水素と酸素になる」と習ったことを思い出しますが、たしかに水素を使った燃料電池自体は水素と酸素が反応して水とエネルギーが生成されるため、二酸化炭素を排出しませんが、水を電気分解するために使われる電気が石炭や石油を燃やす火力発電によって作られたとしたら、水素はクリーンエネルギーとは呼べません。また、実際、現在工業用途で使用されている水素の99%は化石燃料、特に天然ガスに含まれるメタンなどの炭化水素を高温の水蒸気と反応させて水素を発生させているもので、この際に二酸化炭素が生成されてしまいます。

太陽光や風力による電気をエネルギーとして使うことは地球温暖化防止のために有用ですが、航空機や大型船舶、あるいは、製鉄や化学工業などの大出力を必要とする場合のエネルギーとしては水素のような高エネルギー源が必要となります。

そこで、各国において「いかにクリーンで安価な水素を製造するのか」といった研究開発・実証において熾烈な競争が行われています。

今回は、本来無色透明な水素が製造方法によって色分けされている現状の種々の水素製造方法、今後の課題などについてお伝えしたいと思います。

一般的な水素の製造方法

教科書的に水素は水の電気分解により酸素とともに生成されます(図1)。この反応は可逆反応ですので、即ち水素と酸素が反応する事によりエネルギーと水が生成されます(図2)。

図1 一般的な水素製造方法(種々資料から筆者が作成)

図2 水の電気分解による水素生成と水素と酸素の反応(筆者作成)

その他にも水素を製造する方法は図1に示すように石炭を蒸し焼きする方法や、石油や天然ガスに含まれるメタン、エタン、プロパンなどの炭化水素を水蒸気によって分解して水素を得る方法がありますが、そのプロセスにおいて大量の二酸化炭素が発生しますので、これを大気中に放出して生成した水素ではクリーンなエネルギーとは呼べません。

しかし、水素を生成する過程において二酸化炭素が発生しても、これを回収して少ないエネルギーで固定出来れば次善の方法と言えます。

このように一口に水素といっても、その製造方法によって環境影響がさまざまに異なるため、最近では図3にあるように、色分けした呼び名を用いながら、製造方法と環境負荷の関連が示されるようになっています。

図3 水素製造方法と環境影響の違いによる色付け
(出典:JOGMEC資料を筆者がアレンジ)

水素製造の現状

現在世界全体で工業用に生産されている水素は、99%が天然ガスを原料として生産されている「グレー水素」と言われています。
2050年のカーボンニュートラルへ向けた水素エネルギー製造には、主に二つのシナリオが考えられています(その他の色の水素製造はあまり検討されていません)。

シナリオ1 グリーン水素
再生可能エネルギー電力(風力、太陽光、水力、地熱、波力、バイオマスなど)を利用 ⇒ 水を電気分解してグリーン水素を得る。

シナリオ2 ブルー水素
化石燃料エネルギーを分解して水素と二酸化炭素を製造 ⇒ 副次的に生成した二酸化炭素を回収・固定・貯留または再利用することでブルー水素を得る。

どのシナリオで行くかは「今後のコスト次第」
a)製造時の効率、設備償却 ⇒ 生成した水素の分離・生成法、設備の構造など
b)利用効率(生産・貯蔵、輸送、その他) ⇒ 特にどのように貯蔵するか、どのように輸送するか
c)エネルギー変換効率 ⇒ 燃料電池の方式・効率
d)生成後の副生成物との分離効率(水素と酸素、水素と二酸化炭素、不純物など) ⇒ 膜分離など
e)二酸化炭素の回収・固定・貯留・再資源化コスト ⇒ 海底・地中貯留、再資源方法
f)その他 ⇒ 人工光合成など

図4 2050年カーボンニュートラルに向けたエネルギー転換イメージ(出典:種々資料から筆者作成)

水素をエネルギー利用する際の課題

<技術面>
(1)水素利用における安全を担保するための安価なインフラの開発・整備
水素は酸素と反応して爆発しやすい気体であり、ある意味取扱いを一歩誤ると大きな事故につながる可能性があるため、大量の水素を生産、貯蔵、輸送、利用する場合には安全なインフラ整備が重要であり、いかに安全で安価なものにするかが課題

(2)化石燃料を原料として水素を製造する場合に発生する二酸化炭素の処理方法の開発・整備
現在工業用として生産されている水素の99%は天然ガスと水蒸気を反応させる方法が持ちられているが、副生成物として二酸化炭素が生成する。この二酸化炭素を安価で確実な方法で回収・貯留・固定する、または再利用する方法が種々検討されているが、理想とするコストにまだ到達していない。

<コスト>
水素を実際にクリーンなエネルギーとして利用できるか否かは全てコストに負うところが大きい。

表1 経済産業省/資源エネルギー庁が試算したCO2フリー水素のコスト
(出典:経済産業省/資源エネルギー庁)

  2017年(実績) 2030年(予測) 目標値 参考(天然ガス)
量(万t/年) 0.02 30 1,000 8.500
価格(円/Nm3) ~100 30 20 16

 

価格は生産量に負うところが多く、どれだけ普及するかが重要なファクターになると言える。

IEA(国際エネルギー機関)の水素生産量の予測を図5に示す。

図5 2010年から2030年の低炭素水素生産量(単位は百万t/年)
(出典:IEA国際エネルギー機関)

その他、水素製造コストに関するデータを図6~図8と表2に示す。

図6 再生可能エネルギー及び化石燃料による水素製造コスト(2018年/2050年)
(出典:IRENA国際再生可能エネルギー機関)

表2 現状における製造法別水素の価格
(出典:日経新聞/ブルームバーグNEF資料を筆者が加工)

  製造方法 二酸化炭素 1㎏当りコスト
グレー水素 化石燃料+高温水蒸気 ⇒ H2+CO2 大気中に放出 1~2 US$
ブルー水素 回収・貯留または再利用 2~3 US$
グリー水素 水+再生可能エネルギー ⇒ H2+O2 発生なし 2~9 US$

 

図7 ブルー水素とグリーン水素のコスト低減予測
(出典:日経新聞/ブルームバーグNEF)

図8 水素エネルギーの大規模使用による世界平均の水素コスト予測
(出典:ブルームバーグNFT)

今のところ、CO2フリー水素のコストについては、上述のように各国・各機関などにより色々な試算がありますが、Fuel Cell Worksが2021年4月7日付けNewsにおいて世界的な調査機関であるブルームバーグNEFの記事を引用して「グリーン水素は2050年までに天然ガスよりも安くなる軌道に乗っている」と報じています。
以下、要旨を紹介します。

(1)グリーン水素は天然ガスよりも安くなる可能性がある
スケールアップが続くと仮定すると、モデル化した28の市場にうち15で、再生可能エネルギーからの「グリーン水素」は2050年までに天然ガスよりも安くなるはずです(エネルギー換算ベース)。これらの市場は2019年に世界のGDPの1/3を占めました。
(2)グリーン水素によって切り取られたブルー水素
モデル化した全ての市場でグリーン水素はブルー水素(化石燃料から炭素回収貯留(CCS)を伴う)やCCSを伴わないグレー水素よりも安くなる。
(3)85%のコスト削減が実現:再生可能電力からグリーン水素を製造するコストは現在から2050年までに最大85%削減され、ほとんどのモデル化された市場で2050年までに1US$/kg (US$7.4 MMBtu)未満のコストになります。
(4)コスト低減の背景となる安いソーラー:上記のコストは、以前の2030年の予測よりも13%低く、以前の2050年の予測よりも17%低くなっています。太陽光発電のコスト低下が主要な推進力になります。現在太陽光発電の電力は、自動製造の増加、原料のシリコンと銀の消費量の削減、太陽電池の発電効率向上、両面パネル使用による歩留まり向上などにより、わずか2年前に考えていたより2050年には40%安くなると考えられています。

以上述べてきたように、グリーン水素をエネルギーとして普及させるためには従来の化石燃料と同等以下までコスト低減を行う必要がありますが、「太陽光発電技術の革新的な発展によりその可能性が出てきた」と言えると、ここでは結論しておきたいと思います。

まとめ

(1)パリ協定の目標「2050年カーボンニュートラル」に向けて、現状の化石燃料から再生可能エネルギーへの転換が急がれる。
(2)有力な代替エネルギーとして太陽光発電、風力発電などがあるが、自然現象に負うため、火力や原子力発電のように電力需給バランスを取ることが難しい。また航空機や製鉄など大出力エネルギーを電力で賄うのが難しい。
(3)もう一つの代替エネルギーとして水素がある。水素はそのままガスとして燃焼させる利用のほか、燃料電池として電力に変換して使用することも可能。
(4)水素はエネルギーとして消費しても水が生成されるだけでクリーンなエネルギーと言える。
(5)現在、工業用の水素は99%が化石燃料(特に天然ガス)を分解して製造されるが、同時に副生成物として二酸化炭素が生成するため、クリーンエネルギーとは言えない。
(6)水素の生成にはいくつかの製造方法があるが、教科書的には水を電気分解することで生成するので、再生可能エネルギーによる電力で水の電気分解を行えばクリーンなエネルギーとなる。生産量が不安定な再生可能エネルギーを水素に変換して貯蔵・輸送が可能。
(7)水素は燃焼により大きなエネルギーを発生するので航空機・大型船舶の燃料や製鉄・化学工業のエネルギーなどにも利用可能。
(8)水素の製造にはいくつか方法があり、その製法によって、グリーン水素、ブルー水素、イエロー水素などの呼び名がある。どの方法で製造する水素が主流になるかは、コストとクリーン度による。現在各国で、製造・貯蔵・利用面などでコスト低減の方向性が模索され、実証装置・プラントが建設され検討が進んでいる。
(9)太陽光発電の革新的な進化により、再生可能電力により生産されるグリーン水素のコストが大幅に削減できる見通しが出てきた。

引用・参考資料

  • 「グリーン水素」へ東芝系など挑む 脱炭素の切り札に (日本経済新聞Web版、2021年4月2日)
  • グリーン水素・ブルー水素 (sustainable japan、2021年2月10日)
  • ロシア・欧州:石油ガス収入上のドル箱・欧州が進める脱炭素化(水素戦略及び国境炭素税導入)の動きとロシアの対応(発表された 2035 年までの長期エネルギー戦略を中心に) (JOGMEC独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、2020年9月2日)
  • 再生可能エネルギーの視点から見た水素 (IRENA国際再生エネルギー機関、2019年12月)
  • 水素、緑も青も総力戦 50年に全エネルギーの16%に第4の革命・カーボンゼロ Hを制する(1) (日本経済新聞Web版、2021年5月3日)
  • 水素製造とは 大部分は天然ガス由来 (日本経済新聞Web版、2021年2月26日)
  • Hydrogen Economy Outlook (Bloomberg NEF、2020年3月30日)
  • 今後の水素政策の検討の進め方について (経済産業省/資源エネルギー庁、2020年11月)
  • “Green Hydrogen is on Track to be Cheaper than natural gas by 2050” BEEF (Fuel Cell Works)

注意

  • 無断で本情報を二次使用すること及び転載することを禁じます。
  • 本情報は不確実な情報が含まれる可能性がありますので、本情報を利用される場合は参考文献及び引用先の情報も合わせてご覧のうえ、自己の責任において判断をお願いします。
  • 英文による引用・参考資料部分においては、英語の専門家でない筆者が仮和訳していますので、本情報を重要な場面で利用される場合は、引用先の原文を参考に自己責任にて判断願います。
  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

地球温暖化(環境関連情報)

  • 2022
  • 2021
  • 2020
  • 2019
  • 2018
  • 2017
  • 2016
  • 2015
  • 2014
  • 2013
  • 2012
  • 2011
  • 2009
  • 2008
  • 2006
  • 2005
  • 2003
ページトップ

個人情報保護方針|特定個人情報の適正な取扱いに関する基本方針

一般社団法人日本バルブ工業会

〒105-0011 東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館510 アクセス地図  TEL: 03-3434-1811

Copyright © Japan Valve Manufacturers' Association. All rights reserved