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home>環境について>環境関連情報>化学物質規制・管理>米国の有害化学物質規制の最新動向

米国の有害化学物質規制の最新動向

2017-06-23

~連邦法TSCA、州法プロポジション65改正等~

 

はじめに

RoHS指令やREACH規則などに代表される、EUにおける有害化学物質規制に関する情報は頻繁に入ってきますが、米国における情報はあまり入ってきません。しかし、実際には米国において有害化学物質はEU同様に厳しく管理されています。ただし、米国の場合は連邦法と州法での規制が存在するため、これを解釈しようとすると難解な部分もあり、企業などにとっては戸惑うことが多いといえます。

米国における有害化学物質の規制に、1976年に初めて連邦法として制定された「工業化学物質の製造及び使用を規制するための主要な法律」(TSCA=Toxic Substances Control Act:有毒物質規制法) があります。制定から40年余り改正されず、実情に合わない点が多数生じてしまったことから抜本的な見直しが行われ、2016年6月22日にLCSA (The Frank R. Lautenberg Chemical Safety for the 21st Century Act:フランク・ローテンバーグ21世紀の化学物質安全法)として大幅な改正が行われました。

また、カリフォルニア州法として1986年に初めて制定されたPropsition65(Health and Safety Code:CHAPTER 6.6. Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act)があります。このProposition65は安全な飲料水と有害物質に対する法規制で、発がん性、生殖毒性を引き起こす化学物質は“List”と呼ばれる一覧に収載されます。そして、このリストは少なくとも年に1回は修正し再発行することを義務づけられています。収載物質にはCAS番号が付され識別できるようになっています。

LCSAの改正に関しては本コラムにおいても過去、「世界の環境法規制#2 米国 ~幼児と妊婦の保護が優先~」(2011年12月20日付)、「米国の有害物質規制法(TSCA)の改正・実施強化(その1)」(2011年1月26日付)、「米国の有害物質規制法(TSCA)の改正・実施強化(その2)」(2011年2月18日付)など、改正の方向性については触れていますが、今回は改正TSCAであるLCSA及びProposition65の最新情報、及び、連邦法と州法の関係などについて触れてみたいと思います。

 

米国における連邦法と州法の関係

米国の法律を理解するためには、まず連邦法(Federal Law)と州法(State Low)の関係について理解する必要があります。日本における国と県の関係からすると、当然すべての連邦法は州法より優位と想像されますが、実際には州の権限は強く、連邦政府が連邦法で定めることができる事項は、国の安全保障、通商関連(諸外国や各州間との外交や通商を規制すること)、知的財産法(著作者および発明者に一定期間それぞれの著作および発明に対し独占的権利を保障することによって学術および技芸の進歩を促進すること)、破産法などに限られ、その他については合衆国憲法に違反しない範囲において、各州は独自の州憲法や州法を制定することができます。従って、むしろ連邦法よりも州法が優先する場合があります。

しかしながら、例えば商品のように州を越えて移動することがある場合に各州がバラバラの規制を行っては不都合が生じるため、商品に直接含有する有害物質や包装材料への重金属含有規制などは、各州共通化の方向で調整されています。

このため、カリフォルニア州法であるProposition65は、州法として継続して効力を発揮する一方で、連邦法である改正TSCAのLCSAによる規制が州法に優先する制限事項の記述があり、その調整はEPA(米国環境保護庁)が行うとしています。(EPAの権限強化と州法の制限事項)。

 

連邦法、改正TSCA「LCSA」の概略

米国下院と上院の双方で超党派の支持を得たこの新しい法律LCSAは、以下の4点を基本としています。

  1. 既存の化学物質についての評価はEPA(米国環境保護庁)が明確な執行可能期限を持つことが必須。

(EPAが期限を定めて有害化学物質をリスト化と評価優先順位の決定を行う。)

  1. 新しいリスクベースの安全基準。(評価方法、評価基準、評価判定などの決定)
  2. 化学情報の公衆の透明性を高める。
  3. EPAが新しい法律の下で責任を果たすための一貫した資金源を与える。

具体的な動きとしては、次のものがあります。

(1)化学物質のリスク評価に向けた優先順位付け手続きに関する規則案

EPAが有害物質のリスク評価を行うに当たり、リスクが高いと判断される「高優先物質」とそれ以外の「低優先物質」の選定を早急に行う。

(2)化学物質のリスク評価手続きに関する規則案

EPAが有害化学物質に対してリスク評価を行う場合の、評価範囲、リスク評価、評価判定の流れなどを規定。これに従い、

・初期リスク評価対象として特別に指定された10物質(トリクロロエチレンなど)

・優先順位付けの結果「高優先物質」に指定された物質

・製造者より評価以来の有った物質

(3)個別物質のリスク低減措置に関する規則案

現時点では、特別に指定された10物質、高優先物質などのリスク評価は全て終了していない模様ですが、リスク評価によって「不当なリスクがある」と判断された物質については、リスク管理措置として特定用途で使用される物質の禁止措置を行う案が検討中です。

例として、以下が先行検討対象

・塗料剥離製品で使用されるジクロロメタンおよびN-メチルピロリドン

・蒸気洗浄による脱脂で使用されるトリクロロエチレン

・エアロゾルでの脱脂やドライクリーニング用途のリクロロエチレン

(4)TSCAインベントリーの届出(アクティブ・非アクティブ)要件規則案

改正TSCAでは「現状のTSCAインベントリー中の物質が「アクティブ」なのか「非アクティブ」なのかを決定・公表するため、製造・輸入者(必要ならば加工者)に対して、改正TSCA成立前日の2016年6月21日までの過去10年間の活動の届出を行うための規則を1年以内に制定することがEPAに義務付けられていました」。EPAの改正TSCAに関する最新情報はこちらで閲覧することができます。

 

カリフォルニア州法、Proposition65の改訂概略

Propsition65(Health and Safety Code:CHAPTER 6.6. Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act) は1986年に採択され、1987年に発効しました。内容は飲料水の安全性と消費者に対する有害物質の暴露に対する警告の2つから構成されています。

対象となる有害物質は「List」に記載され、毎年1回以上修正され公表されます(最新のListはこちらより閲覧できます)。約1,000物質が収載されています。

注1)Listing Mechanism:「AB」:信頼できる機関、「SQE」:州の有資格専門家、「FR」:正式に表示または識別される、「LC」:労働法による

注2)NSRL:発がん性物質の重大なリスクレベル、MADL:生殖毒性物質の最大許容用量レベル

 

1.飲料水の安全性に対して

“List”に収載された発がん性物質、生殖毒性物質が飲料水の水源に流入する可能性がある場合は、これを制限する。

2.有害化学物質の暴露前の警告

(1)消費者あるいは作業者が、”List”に収載された発がん性物質、生殖毒性物質によって「ばく露」される可能性がある場合は、事業者は事前に警告を行なわなければならない(警告の為のマークと文章を表示)。

(2)明確で正当な警告を与えることなく、”List”に収載された発がん性物質、生殖毒性物質により意図的に「ばく露」される事を制限する。

(3)「ばく露」とは物理的な体表面への接触、吸引、摂取などをいう。

2016年8月30日に施行規則が改正され(2018年8月30日施行)、消費者向け製品に対する「ばく露警告」、環境に対する「ばく露警告」、職業従事者に対する「ばく露警告」が要求され、該当する場合には以下のシンボルマークと警告文を表示する義務が生じています。

例)

   WARNING: This product can expose you to chemicals including [name of one or more chemicals known to cause cancer, name of one or more chemicals known to cause reproductive toxicity, or name of one or more chemicals known to cause both cancer and birth defects or other reproductive harm], which is [are] known to the State of California to cause cancer or birth defects or other reproductive harm.

For more information go to www.P65Warnings.ca.gov/furniture.

<新警告文>
  WARNING: This product contains a chemical known to the State of California to cause cancer.
<旧警告文>
出典:OEHHA:Office of Environmental Health Hazard Assessmentカリフォルニア州政府

 

<Proposition65の特徴>

(1)REACH規則やRoHS指令のような含有濃度規制ではなく、NSRL:発がん性物質の重大なリスクレベル、MADL:生殖毒性物質の最大許容用量レベルの数値が記載されています。

(2)事業者は、自社製品の使用状況から消費者に対する「ばく露」量を推定する必要があり、NSRLまたはMADL以上の「ばく露」が予測される場合には、警告マークと共に警告文を掲示する必要があります。

(3)この法律に違反した場合の罰則は、各々の違反に対して1日あたり2,500ドル以下の罰金が科せられ、さらに別の法律による罰則も付加される可能性があるようです。

 

まとめ

米国における有害化学物質の規制は、EUにおけるREACH規則やRoHS指令などに比べ話題に上ることが少なく、情報も潤沢には入ってこないように思われます。これには種々の事情があるようですが、実際には米国においてもEU同様に厳しい管理が行われています。ただし、米国は連邦法(Federal law)と州法(State law)があり、これらが別個の存在として適用され、どちらが優先されるのかわかりにくいなどの事情があることや、判例を重視する傾向があるなど企業の担当者として戸惑う部分があるように思われます。

有害化学物質規制に関する法律としては、連邦法として1976年に初めて制定された「工業化学物質の製造及び使用を規制するための主要な法律」TSCA (Toxic Substances Control Act:有毒物質規制法)がありますが、30年以上改正されずに来たため、実情に合わなくなり、2016年6月22日、40年ぶりにLCSA (The Frank R. Lautenberg Chemical Safety for the 21st Century Act:フランク・ローテンバーグ21世紀の化学物質安全法)として大幅な改正が行われました。

一般的に、米国においては安全保障、外交、通商、知的財産法、破産法など各州共通で定める必要がある事項を除き、憲法に違反しない限り、州政府が策定した州法が連邦法より優先されます。しかしながら、工業製品などに含有する有害化学物質は州を越えて国内を移動するため、各州が独自の規制を行うより連邦法として統一して規制するべきだという意見があり、改訂TSCAであるLCSAにおいては、EPA(米国環境保護庁)が主体となって、有害物質規制を行うように制度改革が成されました。

一方、カリフォルニア州法であるProposition65が化学物質規制法として存在し、発がん性物質と生殖毒性を有する約1,000物質が“List”に収載され、毎年1回修正が行われています。また、今回、“List”に収載された物質による閾値を超えた「ばく露」が予想される場合には、より詳しい警告マークと警告文書の添付が義務付けられました。

この場合、連邦法よりも州法の規制の方が厳しい場合には、州法が優先、州法より連邦方が厳しい場合には、連邦法が優先されます。

改正連邦法は、まだEPA(米国環境保護庁)での、リスク評価物質の優先度付け、リスク評価範囲、評価法、判定法、その他の作業が完了していないため、完全な施行にはまだ時間がかかりそうですが、ここ数年以内には実施に移される見込みですので、今後の動向を注視して行く必要性があるといえます。

引用・参考資料

・世界の環境法規制#2 米国 ~幼児と妊婦の保護が優先~ (日本バルブ工業会、2010年12月20日)

・米国の有害物質規制法(TSCA)の改正・実施強化(その1) (日本バルブ工業会、2011年1月26日)

・米国の有害物質規制法(TSCA)の改正・実施強化(その2) (日本バルブ工業会、2011年2月18日)

・カリフォルニア州法“プロポジション65(Prop65)”の動向 (J-Net21そこが知りたいREACH規則、2017年3月17日)

・Assessing and Managing Chemicals under TSCA The Frank R. Lautenberg Chemical Safety for the 21st Century Act (EPA: United States Environmental Protection Agency)

・カリフォルニア州法プロポジション65 LIST (2017年1月27日現在) (カリフォルニア州政府)

・The Proposition 65 List (Office of Environmental Health Hazard Assessment)

 

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