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home>環境について>環境関連情報>化学物質規制・管理>水銀に関する水俣条約が発効

水銀に関する水俣条約が発効

2017-09-20

~水銀の採掘、輸出入、使用が制限~

はじめに

経済産業省は「平成29年(2017年)5月18日付けで、『水銀に関する水俣条約』の締約国数が我が国を含めて50ヶ国に達し、規定の発効要件が満たされたため、本条約は本年(2017年)8月16日に発効することになりました」と、水銀に関する水俣条約が発効したことを発表しました。これを受けて、新聞やTVなどのマスコミもこれを一斉に報じました。

これにより、我が国の国内法である「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」(以下「水銀汚染防止法」という)の制定と関係法令の改正が行われ、一部を除き2017年8月16日に水銀条約と同時に発効しました。

水銀に関する水俣条約の概要については、本コラムでも以前に解説しましたが、今回の発効を機にレビューを行いたいと思います。

 

水銀の毒性

水銀は天然に産出される化学物質で、カドミウム、六価クロム及び鉛とともに、RoHS指令においても既に使用が制限されている物質ですが、「金属でありながら常温で液体」という特異な性質を有しているため、蛍光灯、温度計、接点、化学物質生成のための触媒など、我々の生活に長い間様々な恩恵をもたらして来ました。また、一方で水銀化合物は強い毒性を有しており、防腐剤や防虫剤などの農薬として広く使用されて来ました。金属としての水銀は単独では毒性を有しませんが、水銀は自然界においても微生物などの働きにより容易に有機物と反応して有機水銀となり、水俣病に代表されるように強い毒性を有する物質に変化します。例えば、金属水銀の蒸気を吸い込んだ場合は、肺から吸収され血中でヘモグロビンや血清アルブミンと結合して毒性を示します。

1970年代にイラクでは、メチル水銀で消毒した小麦の種を食用に流用したパンによって、有機水銀中毒で400人以上が死亡する事件が起きました。

メチル水銀は中枢神経に対して強い毒性を示し、日本で起きた水俣病(熊本県八代海)や第二水俣病(新潟県阿賀野川流域)は工場排水に含まれていた有機水銀中毒事故で、世界最大規模の健康被害を発生させました。

また、現在でも南米やアフリカなどの途上国において、金鉱における金の取り出しに大量の水銀が使用されており、労働者の健康に及ぼす影響が危惧されています。

このため、今回の水俣条約は、この世界最大の水銀による健康被害が起こった水俣の地が条約採択の地に選ばれ、2013年10月に熊本市・水俣市で開催された外交会議において「水銀に関する水俣条約」(Minamata Convention on Mercury)が採択されました。

 

水銀の主な用途と環境への排出

世界における水銀の利用を図1に示しますが、金採掘のための使用や、化学工業における触媒としての用途が半分以上(合計:3,798 トン/年(2005年))を占めています。

特に、塩化ビニルモノマー製造工程と塩素アルカリ工業における触媒としての利用が全体の33%、南米やアフリカでの金採掘での利用が21%を占めています。

世界の排出状況を図2に示します。

2010年の世界各地域の排出状況を見ると、アジア地域の排出量が多く、全体の約半分を占めています。次いで、アフリカ、中南米と途上国が多くを占めています。

排出源別では、金採掘(37%)、化石燃料燃焼(25%)、非鉄金属精錬(10%)の順になっています。

我が国における水銀の使用状況を図3に示します。過去においては塩素アルカリ製造、塩化ビニルモノマー製造の触媒などの大量に使用されていましたが、昭和49年(1974年)頃から、急速に使用量が減少し現在ではほとんど使用されていません。

 

条約採択までの経緯(出典:環境省)

国連環境計画(UNEP)は、2001年に地球規模の水銀汚染に係る防止活動を開始し、翌2002年には、人への影響や汚染実態をまとめた報告書(世界水銀アセスメント)を公表しました。その後、2009年2月に開催された第25回UNEP管理理事会では、水銀によるリスク削減のための法的拘束力のある文書(条約)を制定し、そのための政府間交渉委員会(INC : Intergovernmental Negotiating Committee)を設置し、2010年に交渉を開始、2013年までにとりまとめを目指すことが合意されました。

第1回の政府間交渉委員会(INC1)は2010年に開催され、2013年1月にジュネーブ(スイス)で開催された政府間交渉委員会第5回会合(INC5)において、国際的な水銀条約に関する条文案が合意され、条約の名称が「水銀に関する水俣条約」に決定されました。

そして、同年10月7日から11日まで、熊本市及び水俣市で水銀に関する水俣条約の外交会議及びその準備会合が開催され、60か国以上の閣僚級を含む約140か国・地域の政府関係者の他、国際機関、NGO等、1,000人以上が出席し、水銀に関する水俣条約が全会一致で採択され、92ヶ国(含むEU)が条約への署名を行いました。

この条約は50ヶ国が締結後、90日で発効することになっています。

条約の概要

条約の主な項目は表1の通りです。

水俣条約は、水銀の採掘、製造、使用、廃棄、環境への排出について制限を設けています。

○水銀供給源と貿易の制限(第3条)
・鉱山からの水銀の産出について、新規鉱山開発は各締約国での条約発効後に禁止。既存の鉱山からの産出は各締約国での条約発効から15年以内に禁止。
・水銀の貿易(金属水銀が対象)について、水銀の輸出は、1)条約上で認められた用途、2)環境上適正な保管(第10条)に限定。(水銀廃棄物の貿易については第11条で規定)
・水銀の輸出に当たっては、輸入国の書面による事前同意が必要。

○水銀添加製品の制限(4条・6条)
・電池、スイッチ・リレー、一定含有量以上の一般照明用蛍光ランプ、石鹸、化粧品、殺虫剤、血圧計、体温計などの水銀含有製品(附属書A、一部例外あり)について、2020年までに製造、輸出、輸入を原則禁止。(年限については、第6条に基づき、国によって必要な場合、最大10年間まで延長可)
・歯科用アマルガムについて、使用等を削減。
・禁止された水銀含有製品の製品中への組み込みの抑制、水銀を利用した新製品の製造・販売の抑制、事務局へ附属書Aに掲載する水銀含有製品の情報の提案などを行う。
・締約国会議(COP)は条約発効後5年以内に附属書Aのレビューを実施。

○対象製品リスト(附属書A、4条関連)
・水銀を使用する製品の製造・輸入・輸出を禁止
電池、スイッチ及びリレー、一定含有量以上の一般照明用蛍光ランプ、一般照明用高圧水銀ランプ•、液晶ディスプレイ用の冷陰極蛍光ランプや外部電極蛍光ランプ、石鹸及び化粧品、農薬、殺虫剤及び局所消毒剤、非電化の計測機器(気圧計、湿度計、圧力計、体温計、血圧計)※但し、一部は除外
・水銀を使用する製品の使用を削減
歯科用アマルガム※但し、一部除外

○水銀又は水銀化合物を使用する製造プロセス(5条・6条)
・塩素アルカリ工業及びアセトアルデヒド製造施設を対象に、製造プロセスにおける水銀の使用を禁止。(それぞれ2025年、2018年まで。ただし、年限については、国によって必要な場合、最大10年間まで延長可。)
・塩化ビニルモノマー、ポリウレタンなどの製造プロセスでの水銀使用を削減。
・上記対象プロセス(附属書Bに記載)の既存施設での対策及び新規施設での水銀利用禁止、新規のプロセスにおける水銀利用の抑制、事務局へ附属書Bに掲載するプロセスの提案などを行う。
・COPは、条約発効後5年以内に附属書Bのレビューの実施。

○人力小規模金採掘(ASGM)(7条)
・使用・環境中への放出を削減、可能であれば廃絶のため行動。
・国内のASGMがわずかでない(more than insignificant)と判断する締約国は、国家行動計画を策定・実施するとともに、3年ごとにレビューを実施。
・国家行動計画に含まれるべき事項(附属書C)
目的と削減目標、廃絶に向けた行動、基礎(ベースライン)となる水銀の使用量の推計値、排出削減や貿易管理、高感受性集団の保護などのための方策など

○大気への排出(8条)
・石炭火力発電所、石炭焚産業用ボイラー、非鉄金属精錬施設、廃棄物焼却施設、セメント生産施設(附属書D)を対象に、排出削減対策を実施。
・新設施設:各締約国での条約発効から5年以内にBAT(利用可能な最良の技術)/BEP(環境のための最良の慣行)を義務付け。
・既存施設:各締約国での条約発効から10年以内に①排出管理目標、②排出限度値、③BAT/BEP、④水銀の排出管理に効果のある複数汚染物質管理戦略、⑤代替的措置から1つ以上を実施。
・各国が自国内の対象排出源の排出インベントリを作成。
・COPで、BAT/BEP等に関するガイダンスを採択。

○水・土壌への放出(9条)
・本条は他の条項で対処されていない放出源が対象。
・各国が放出削減の対象となる放出源を特定。
・新規・既存施設とも、①放出限度値、②BAT/BEP、③水銀の放出管理に効果のある複数汚染物質管理戦略、④代替的措置から1つ以上を実施。
・各国が自国内の対象放出源の放出インベントリを作成。
・COPで、BAT/BEP等に関するガイダンスを採択。

○暫定的保管、水銀廃棄物、汚染地(10~12条)
・水銀・水銀化合物の暫定的保管は、COPで作成されるガイドライン等に従って、環境上適正に実施。
・水銀廃棄物は、バーゼル条約に基づくガイドラインを考慮し、またCOPが定める必須条件に基づいて、環境上適正に管理。
・汚染サイトは、COPで策定されるガイダンスに基づいて管理。締約国は汚染サイトの同定と評価のための戦略の構築に努める。

<以下略>

以上のように、この条約は、水銀及び水銀化合物の人為的排出から人の健康及び環境を保護することを目的としており、採掘から流通、使用、廃棄に至る水銀のライフサイクルにわたる適正な管理と排出の削減を定めるものです。

まとめ

・経済産業省は「平成29年(2017年) 5月18日付けで、『水銀に関する水俣条約』の締約国数が我が国を含めて50ヶ国に達し、規定の発効要件が満たされたため、本条約は本年 (2017年) 8月16日に発効することになりました。」と、水銀に関する水俣条約が発効したことを発表しました。

・国内法である「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」(以下「水銀汚染防止法」という。)が制定、及び関係法令の改正が行われ一部を除き2017年8月16日に水銀条約と同時に発効しました。

・この条約は、水銀及び水銀化合物の人為的排出から人の健康及び環境を保護することを目的としており、採掘から流通、使用、廃棄に至る水銀のライフサイクルにわたる適正な管理と排出の削減を定めるものです。

・水銀は金属でありながら常温で液体という特異な性質を有する物質であり、古くから顔料、農薬、蛍光灯、温度計、接点、化学物質生成のための触媒など我々の生活に長い間様々な恩恵をもたらして来ました。水銀は単体では強い毒性は有していませんが、簡単に有機物と結合し強い毒性を示します。例えば、水銀の蒸気を吸い込んだ場合、体内でヘモグロビンや血清アルブミンなどと結合し中枢神経に対する強い毒性を示します。日本で起きた水俣病(熊本県八代海)や第二水俣病(新潟県阿賀野川流域)は工場排水に含まれていた有機水銀中毒によるもので、世界最大の健康被害を発生させました。今回の水俣条約発効により、二度と悲惨な水銀中毒事故が起きないことを期待したいと思います。

 

引用・参考資料

・水銀に関する水俣条約の発効が決定しました (経済産業省、2017年8月16日)
・特定の水銀、水銀化合物及び水銀使用製品の輸出入管理 (経済産業省、2017年8月16日)
・水銀に関する水俣条約の概要 (環境省)
・「水銀に関する水俣条約」の概要<PDF> (環境省、2013年9月)
・水俣条約について (環境省)
・水銀汚染のない世界へ 水俣条約を発効 (朝日新聞デジタル、2017年8月16日)
・水俣条約発効 水銀輸出入を原則禁止 (web毎日新聞、2017年8月16日)

注意

・無断で本情報を二次使用すること及び転載することを禁じます。
・本情報は不確実な情報が含まれる可能性がありますので、本情報を利用される場合は参考文献及び引用先の情報も合わせてご覧のうえ、自己の責任において判断をお願いします。

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