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home>環境について>環境関連情報>化学物質規制・管理>アメリカにおける法体系と環境法規制 #1

アメリカにおける法体系と環境法規制 #1

2018-11-26

~カリフォルニア州法Proposition 65の改正~

はじめに

海外における環境法規制、特に有害化学物質に関する規制情報はEUにおけるRoHS指令やREACH規則等が中心で、改正関係の情報もほぼリアルタイムで入って来ますが、米国からの情報は余り入って来ません。しかし、アメリカにおいても種々の環境法規制については、EUと同等以上の厳しい規制が行われています。

本コラムでも過去において、2010年12月20日付け「世界の環境法規制#2 米国~幼児と妊婦の保護が優先~」、及び2017年6月23日付け「米国の有害化学物質規制の最新動向~連邦法TSCA、州法プロポジション65改正等~等で米国の状況を紹介していますが、情報はあまり多くはないのが現状です。

今回は、2016年8月30日に施行規則が改正され、2018年8月30日より施行されたカリフォルニア州法である「プロポジション65」に基づく「新しい警告ラベル」の貼付義務が、カリフォルニア州環境健康ハザード評価局(OEHHA: The Office of Environmental Health Hazard Assessment)より公表されましたので、これを機会に本コラムでも逐次、アメリカの環境関連情報をお伝えして行きたいと思います。

今回は、アメリカにおける法体系及びカルフォルニア州法である「プロポジション65」の説明と今回の改正概要について説明したいと思います。

アメリカにおける法体系(連邦法、州法、判例)

アメリカにおける法体系の最上位にあるのは、全ての国や地域と同じく「憲法」ですが、中央政府が施行した連邦法よりも各州政府が施行した州法の方が上位概念に来る場合や、EUや日本のようにしっかりした文章の法律がなく、過去の判例の積み上げで判断される「判例主義」などの違いがあることをまずは理解する必要があります。

まず連邦法ですが、基本的には、
(1)国の安全保障、通商関連(諸外国や各州間との外交や通商を規制すること)
(2)知的財産法(著作者および発明者に一定期間それぞれの著作および発明に対し独占的権利を保障することによって学術および技芸の進歩を促進すること)
(3)破産法など
に限られています。
その他については合衆国憲法に違反しない範囲において、各州は独自の州憲法や州法を制定することができます。
従って、むしろ連邦法よりも州法が優先する場合があるということをまずは理解する必要があります。

米国における主な環境関連法には以下のものがあります。
(1)有害物質規制(TSCA: Toxic Substance Control Act):連邦法
(2)スーパーファンド法:連邦法
(3)ODSラベリング規則:連邦法
(4)プロポジション65:カリフォルニア州法
(5)その他
しかし、近年、有害化学物質規制(TSCA: The Toxic Substances Control Act)については、安全保障上の問題であるとしてEPA(米国環境保護庁)が権限を強め、現在全面的な改正作業を進めています。このTSCA改正については、次回以降機会を見て本コラムで取り上げて行きたいと思いますが、今回はカリフォルニア州法であるプロポジション65及び今回の改正について解説します。

カリフォルニア州法プロポジション65とは

カリフォルニア州法プロポジション65(正式名称=Health and Safety Code: CHAPTER 6.6. Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act:「1986年安全飲料水および有害物質施行法」(安全衛生規則第6.6章25249.5項から25249.13項まで)) は、1986年に有権者による環境投票活動によって採択され、1987年に発効しました。内容は飲料水の安全性確保と消費者に対する有害物質(発がん性、先天性異常の原因物質及びその他の生殖毒性)の暴露から市民を守ることを目的としています。

【適用】

プロポジション65(以下「CA Prop 65」といいます)の適用を受けるのはカリフォルニア州で事業を行っている人及び企業にあって、特定の化学物質を含む製品を有する場合には「CA Prop 65」の要件が課されます。リストで指定された化学物質を含有する製品がカリフォルニア州内で販売または配布される場合は、全ての曝露リスクおよび/または表示に対する要求事項を満たさなければなりません。

【適用要件】

「CA Prop 65」では、州知事が、カリフォルニア州が決定した発がん物質および/または生殖毒性物質であることが知られている化学物質のリストを公表するよう要求しています。このリストは毎年更新され、この法律の要件に従う化学物質を指定します。2018年10月26日時点で、リストには約900種類の化学物質が登録されておりオンラインで閲覧することが可能です。

「CA Prop 65」は、リストに記載された全ての有害物質を含む製品の販売を禁止するものではありませんが、リストに記載されている化学物質が「リスクがある」と認定された量で含有する場合は製品に必要事項を記載したラベルを貼付することが必要です。

「CA Prop 65」では、リストに記載された化学物質が以下の4つのケースで、曝露が起こる場合について規定しています。
(1)飲料水へ流出する事による曝露
(2)環境に排出する事での曝露
(3)職場/職業での曝露
(4)消費者が製品を購入し使う事による曝露

「CA Prop 65」は10人以上の従業員を雇用する企業に適用され、人が検出可能な量の化学物質によって曝露される前に「明確かつ合理的な警告」を出すことを要求しています。この警告は消費者が製品(消費財)を購入し使用することにより受ける可能性のある潜在的なリスクに対して必要です。警告の目的は消費者が購入する製品やサービスに関して事前に情報を得て、自己の責任で購入判断を行い、有害化学物質による曝露から適切に身を守るための適切な行動が行えるようにするためと言えます。

「CA Prop 65」の改正「警告文の改正」

2018年8月30日より「CA Prop 65」で定める警告文の内容変更が行われました。
今回の変更では例えば、「消費者製品に関する新しい警告では、製品が化学物質を『含有している』というより、『CA Prop65』の化学物質に『暴露される可能性がある』」となります。

【警告文の記載内容】

◆警告を促す少なくとも1つの化学物質の名称
◆OEHHA(カリフォルニア州環境健康ハザード評価局)の新しい「CA Prop 65」警告ウェブサイトのインターネットアドレスには、リストされた化学物質の健康影響に関する追加情報と、それらの化学物質への暴露を低減または排除する方法が記載されています。
◆ほとんどの警告に関する三角形の黄色の警告シンボル
caution

【新しい警告システムのその他の特徴】

新しい警告規制
◆特定の種類の曝露、製品、および場所に関するより具体的な情報を提供する新しい「手直しした」警告を追加します。
◆インターネット経由で購入した製品のウェブサイト警告を提供
◆場合によっては英語以外の言語での警告を提供する
◆警告を出す際の製造業者と小売業者の役割と責任を明確にします。

【新しい警告と現在の警告との比較】
<典型的な従来の警告文例>
「WARNING:この製品には、カリフォルニア州で知られている癌を引き起こす化学物質が含まれています。」

<新しい警告文>の例

(1)発がん性物質に暴露する場合

caution WARNING: This product can expose you to chemicals including [name of one or more chemicals], which is [are] known to the State of California to cause cancer. For more information go to www.P65Warnings.ca.gov.
caution 警告:この製品は、カリフォルニア州でがんを引き起こすことが知られている[化学薬品の名称]を含む化学物質にあなたを曝す可能性があります。 詳細はwww.P65Warnings.ca.govをご覧ください。

(2)発がん性と生殖毒性の両方を示す化学物質に暴露する場合

caution Warning::“This product can expose you to chemicals including [name of one or more chemicals], which is [are] known to the State of California to cause cancer and birth defects or other reproductive harm. For more information go to www.P65Warnings.ca.gov.”
caution 警告:"この製品は、カリフォルニア州でがんや先天異常などの生殖障害を引き起こすことが知られている[化学物質の名称]などの化学物質にあなたを曝す可能性があります。 詳細はwww.P65Warnings.ca.govをご覧ください。

「CA Prop 65」でリスト化されている化学物質

「Ca Prop 65」においてリスト化されている化学物質は以下のいずれかの組織によって、発がん性または生殖毒性があると識別されている物質です。
・米国環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency)
・米国食品医薬品局(FDA, U.S. Food and Drug Administration)
・国立労働安全衛生研究所(National Institute of Occupational Safety and Health)
・国家毒性プログラム(the National Toxicology Program)
・国際がん研究機関(the International Agency for Research on Cancer)

「Ca Prop 65」で要求される警告表示

法律で定義されている有害化学物質に人が曝露する可能性があることを事業者が知っているか、知っているべきである場合には、「Ca Prop65」に従い警告表示を行うことが必要です。
「Ca Prop65」には広範囲な条文がありますが、全ての有害物質に「Ca Prop65」に従った警告表示が義務付けられることはありません。「Ca Prop65」における警告文の表示義務が、リストに掲載された化学物質の潜在的曝露に適用されない場合があり、それは以下の場合です。
・連邦法が州の権限を越えてで警告を管理する場合
・有害化学物質が最初にリストに記載されてから12ヶ月以内
・発癌性がある事が知られている物質について「問題となるレベルで生涯において曝露すると推計しても重大なリスクを有さない曝露」または「生殖毒性を引き起こすことが知られている物質について、曝露量が問題となるレベルの1/1000以下すると仮定され、目に見える影響がない曝露
・曝露が、食物中において天然に存在する化学物質である場合

「Ca Prop 65」に違反した場合の警告及び罰則

「Ca Prop 65」が要求する警告表示は必ずしも使用が強制されるものではなく、これ以外の警告方法を利用してもかまわないことになっていますが、セーフハーバールール(Safe Harbor Rule:あらかじめ定められた一定のルールのもとで行動する限り、違法ないし違反にならないとされる範囲)があるので、「Ca Prop 65」の要求に従っておいた方がより安全ということのようです。
「Ca Prop 65」に対する違反は、民間の個人または団体から製造者に対する法的文書での告発により始まります。このため製造業者にとって、消費者擁護団体やバウンティハンター(報奨金目当てで違反製品を探す人々)の存在が厄介であり注意する必要があるといわれています。
この告発があった場合には、カリフォルニア州検事総長室が、60日間の予告期間中に申し立てを審査し、この60日以内に、検事総長事務所が行動を起こさない場合には、告発人は製造業者に対して訴訟を起こすことが許されます。

<Ca Prop 65に基づく科料と罰金>

ビューローベリタスジャパン(株)によると、もし訴訟になった場合には、企業は速やかに「Ca Prop 65」専門の弁護士に相談することを勧めています。そして、科料と罰金は以下の規模となるとしています。
・Ca Prop 65は、1日の曝露当たり2,500ドルの罰金を科すことができます。
・示談1件あたりの平均コストは約65,000ドルです。
・科料と罰金は州と原告の間で折半されますが、原告は弁護士費用と損害費用を裁判所に申し立てることができます。
・大規模なグループの製造業者および小売業者を含む示談訴訟では、合計で100万ドルを超える規模になることが知られています。例としては、釣り道具、蛇口、おむつクリームの示談などがあり、すべて合計で100万ドルを超えています。

まとめ

(1)種々の環境規制、特に有害化学物質に関する規制は、現在EUのRoHS指令やREACH規則が中心であり、改定情報などもリアルタイムで入手が可能で、世界の多くの国々がこれらを手本として利用しています。
(2)米国における環境関係や有害化学物質規制の情報は我が国にはあまり入ってきませんが、EUやその他の国々と同等以上の厳しい規制が行われています。
(3)米国の法規制が他の地域や国々と異なるのは、連邦法と州法が存在し、州法が連邦法より上位にある場合があったり、明確な法律文章がなく裁判の判例の積み重ねで規制を行ったりする場合があり、理解や判断が難しいという特徴があります。
(4)今回はカリフォルニア州法で、飲料水の安全性と発がん性や生殖毒性を有する化学物質から市民を守るために施工されている「プロポジション65」の一部が改正されたのを機に、この法律とその改正点について説明しました。
(5)従来は有害化学物質を含有する場合には「この製品には〇〇の有害化学物質が含まれています」と表示していましたが、今回の改正では「この製品を使用することにより、発癌性を有する〇〇により曝露される可能性があります」等、具体的な警告表示を行うことが要求されるようになりました。
(6)現在「プロポジション65」が対象とする化学物質は2018年10月26日現在で約900種類がリストに登録されておりますが、カリフォルニア州環境健康ハザード評価局(OEHHA)のプロポジション65のHPよりオンラインで確認できます(Excel形式でダウンロードも可能です)。
(7)プロポジション65に違反したという訴えは民間の個人または団体からの法的文書の申立てによって始まり、カリフォルニア州検事総長室が60日以内に審査を行い、その期間中に結論が出ない場合は訴訟になります。ビューローベリタスジャパン(株)の情報によると、敗訴した場合には、相当高額な科料が課される様ですので十分な注意が必要だと思われます。

引用・参考資料

  • TSCA Chemical Substance Inventory (EPA: 米国環境保護庁)
  • 米国TSCAについて (三菱総合研究所)
  • 世界の環境法規制#2 米国~幼児と妊婦の保護が優先~ (日本バルブ工業会、2010年12月20日)
  • 米国の有害化学物質規制の最新動向~連邦法TSCA、州法プロポジション65改正等~ (日本バルブ工業会、2017年6月23日)
  • Proposition 65 (カリフォルニア州環境健康ハザード評価局OEHHA: The Office of Environmental Health Hazard Assessment)
  • New Proposition 65 Warnings (カリフォルニア州環境健康ハザード評価局OEHHA: The Office of Environmental Health Hazard Assessment)
  • What is Proposition 65? (カリフォルニア州環境健康ハザード評価局OEHHA: The Office of Environmental Health Hazard Assessment)
  • Final Regulations: Toxicity Criteria for Human Health Risk Assessment (カリフォルニア州毒性物質管理局DTSC)
  • 米国官報 (Vol. 83, No. 187/2018年9月26日)
  • Prop65NewWarningLabel.pdf (エンバイロメント・ジャパン株式会社)
  • § 27001. Chemicals Known to the State to Cause Cancer or Reproductive Toxicity (カリフォルニア州行政法律事務所)
  • カリフォルニア州プロポジション65の概要と対策 (ビューローベリタスジャパン株式会社)

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