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home>環境について>環境関連情報>地球温暖化>2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #15

2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #15

2018-12-12

~CO2負の排出技術の現状と見通し~

はじめに

国際気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)が2018年12月2日にポーランドのカトウィツェで開幕しました。この会議には世界から200近い国と地域の代表が参加し、地球温暖化問題について2週間に渡って協議が行われます。

今回の会議は、地球温暖化対策の新たな枠組みである「パリ協定」における各国の温室効果ガス削減目標に対して、どのような方法で評価を行い検証するか等のルールの決定、先進国から途上国への資金援助、さらには気温上昇を2.0℃未満に抑制するための目標値の上積みなど、極めて重要な議題が山積みです。しかし、最近の「自国第一主義」の流れが広まり、米国のトランプ政権がG20において改めてパリ協定からの離脱を宣言したこと、COP25の議長国に予定されていたブラジルの辞退、EUなど先進国と中国やインドなど排出量上位の途上国との大きな溝など、かなりの難航が予想されています。

しかも、2016年まで減少傾向にあった温室効果ガスの排出量は、世界的な経済の好調もあり、2017年及び2018年は再び増加傾向になった模様で、本コラム2018年11月26日付け「2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #14~IPCC特別報告書を発表~」でも述べましたが、温室効果ガス排出量の大幅削減は「待ったなし」の瀬戸際に来ているにも関わらず、国際的なCO2削減活動は難航しており、パリ協定の目標である2.0℃を超えてしまいそうです。

このような状況において、発生した二酸化炭素を回収・固定する技術(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)や二酸化炭素除去技術(CDR:Carbon dioxide removal)など、「二酸化炭素を分離する」「固定化する」「有効利用する」など「負の排出技術:negative emission」の研究開発も進んでいるようですので、今回は現状について述べてみたいと思います。

二酸化炭素の負の排出技術(Negative Emission)

二酸化炭素の負の排出技術(Negative Emission)には以下のものが研究開発されています。

  分類 技術 具体例 備考
CO2負の排出技術
(Negative Emission)
既に大気に排出されたCO2の回収と再資源化・再エネ化(DAC: Direct Air Capture ) ・吸 着
・吸 収
・反 応
・膜分離
・その他
・植樹、緑化
・人工CO2吸着塔
・人工光合成
・化学反応
回収したCO2の再資源化、再エネルギー化を目指す。
コスト&エネルギー消費量がカギ
これから排出される高濃度CO2の回収・貯留(CCS:Carbon Dioxide Capture and Storage) ・大規模排出施設からの回収(火力発電所、製鉄所、ごみ焼却場など) 将来的な実用化見通しあり
固定化後の貯蔵方法と経済性がカギ
・小規模排出施設からの回収(自動車、航空機、小規模事業施設など) コスト面が課題

CO2回収の主な技術には、大気から大量のCO2を回収するダイレクト・エアー・キャプチャー(DAC)と、濃度の高いCO2を排出する排気管に取り付ける炭素回収・貯留システム(CCS)があります。

(1)直接大気中の二酸化炭素を除去する直接回収技術(DCS: Direct Capture system)

タイトル 概要 情報源/年月日
大気からCO2を除去、アメリカで研究 大気中の二酸化炭素(CO2)を、化学物質を利用して直接取り除く「CO2直接回収技術(DAC)。人工樹木(高効率CO2吸収塔)コスト面で実用化疑問。回収したCO2が産業に再利用出来るか? National Geographic 2011/08/15
二酸化炭素を大気から吸収する新技術 加企業、低コストで 工夫が施された冷却塔に送風機によって空気が運ばれ、二酸化炭素と反応する液体に接触する。取り出したCO2を合成液体燃料の主要原料として利用。費用は従来技術の1/6 BBCニュース
2018/06/08
バイオCCSなどの二酸化炭素除去技術にはまだ多くの制約があることが国際共同研究により判明 (1)緑化を進めて木々の成長とともにCO2を吸収・固定させる手段
(2)CO2を吸収する性質を持つ岩を破砕して土壌に散布することでCO2の回収を加速させる
(3)化学物質を用いた大気中のCO2の回収
(4)「バイオ燃料CO2回収貯留(BECCS)」と呼ばれる技術(植物をエネルギー源として利用する際に排出されるCO2を回収し、地中深くに貯蔵すること等の技術はあるが環境面・経済面・エネルギー面で難しい)
国立環境研究所
2015/12/08
逆転の発想 二酸化炭素をエネルギー源に スイスでの研究。一つは巨大な掃除機のような機械でCO2を吸い込む民間企業のプロジェクト。もう一つは、天然鉱物のゼオライトを用いてメタンガスの生産を目指す公的機関のプロジェクト。回収CO2を再資源化するが現状ではコストが問題。 Swissinfo,ch
2014/04/14
今あるCO2をいかに減らすか?ハーバード発、空気中のCO2を燃料に変える大規模プラント 水酸化物の水溶液を擁する改造済の産業冷却塔がCO2を吸収して、炭酸塩に変換する。その後精製工程を経て、合成燃料に再資源化する。これによって、コストが実用レベルまで下がる可能性が出て来た。 HARCH INC.
2018/06/18

(2)二酸化炭素回収・貯留技術(CCS: Carbon Dioxide Capture and StorageまたはCarbon Capture and Storage)

濃度の高いCO2を排出する火力発電所や製鉄所または自動車などの排気管に取り付ける炭素回収・貯留システム(CCS)で、大気に放出されたCO2を回収するDCSよりは、コスト面で効率的である。回収技術としては以下の方法がある(主にウィキペディア「二酸化炭素貯留」より引用)

化学吸収法 二酸化炭素と反応し吸収するアルカリ性の溶液を用いて、二酸化炭素を分離・回収する手法。吸収した溶液を加熱してCO2を分離する「再生工程」で消費する熱コストが問題となっているが商業ベースで稼働している設備もあると言われています。
固体化学吸収法 二酸化炭素のみを吸収する珪酸リチウムや酸化亜鉛、あるいはゼオライト等の吸着床に、二酸化炭素を吸収させて分離・回収する手法。
物理吸収法 高圧でメタノール、ポリエチレングリコール等の溶解度を上げた液体に二酸化炭素を物理的に吸収させ、分離・回収する手法。大規模化が比較的容易な為、化学吸収法に比べて必要な熱量が小さく、排気ガス中に含まれる硫黄酸化物の影響による吸収液の劣化程度も小さい。
PSA法、TSA法及びPTSA法 物理吸着法の一種。ゼオライト、活性炭、アルミナなどの汎用吸着剤に、二酸化炭素を選択吸着させ、圧力変化(PSA法)、温度変化(TSA法)、またはその両方(PTSA法)により分離・回収する手法。
膜分離法 高分子膜にガスを透過させ、透過速度の違いを利用して、二酸化炭素を選択的に分離・回収する手法。プロセス、運転が簡単だが現状では効率が悪い事や耐久性が今後の鍵。
深冷分離法 二酸化炭素は圧縮する事により比較的容易に液化するので、液化後蒸留により他の不純物を除去し、二酸化炭素を選択的に分離・回収する手法。液化二酸化炭素としての回収は実用化されている。
酸素燃焼法 ボイラーや燃焼炉において、支燃ガスに空気ではなく酸素を利用。窒素を含まないため、窒素酸化物が発生しないが、コスト面がカギ。

貯留技術としては以下の方法がある

地中隔離法 炭層固定 石炭にはメタンが吸着しているが、二酸化炭素の方が吸着し易いので、炭層にCO2を送り込みメタンを資源として回収する。
帯水層貯留 地中の帯水層に高圧の二酸化炭素を封入し、地下水に溶解させるなどして固定・貯留する手法。国内で実証実験が行われた。
油層・ガス層貯留 稼働中の地中の油層やガス層に加圧二酸化炭素を送り込み、油やガスを採掘する方法。あるいは、未採掘油田などに封じ込める方法もある。
鉱物固定 二酸化炭素を封入した地層内で反応させ、鉱物化させて固定する手法。研究段階。
海底下ハイドレート貯留 海底下の孔隙率の高い砂層で、二酸化炭素をハイドレート化(固体)させて貯留する手法。
ゲスト分子置換法 ハイドレート格子にメタン分子より二酸化炭素分子の方がトラップされやすい性質を用いて、メタンと置換する方法。
メタンへの変換 二酸化炭素を、封入した地層内で、メタン菌を利用してメタンにして貯留する手法。
海洋隔離法 溶解・希釈 大規模排出源で回収された二酸化炭素を海洋に注入する手法。パイプラインを通して海洋の表層・中層に注入し溶解させる手法と、タンカーなどで輸送して海洋の中層・深層に注入し希釈させる手法とがある。
海底貯留 大規模排出源で回収された二酸化炭素をタンカーなどで輸送して、深海底に液体として注入し貯留する手法。研究段階
分解法 プラズマ分解法 二酸化炭素にプラズマを照射し、炭素と一酸化炭素に分離する手法。エネルギーが必要であり、再生可能エネルギーの利用が必須。
金属と反応させる方法 精製した金属に二酸化炭素を触れさせた後、水素と反応させて炭素として分離する手法。
メタンを利用する方法 酸化金属に二酸化炭素とメタンを触れさせ、化学反応により炭素と水にして分離する手法。エネルギー効率が悪い。
化石燃料の分離 化石燃料を炭素と水素に分離し、炭素は地中に封入、水素をエネルギーとして利用する手法。エネルギー効率が悪い。
再資源化   種々研究中

まとめ

(1)温室効果ガスの排出量は、2016年は減少傾向を示していたが、2017~2018年は世界経済の好調から再度上昇傾向を示している(速報値)。
(2)パリ協定の各国目標値を100%達成しても「気温上昇2.0℃以下」には届かない状況であり、現状ではオーバーシュートしてしまう可能性が高い。
(3)温室効果ガス削減のために「CO2負の排出技術:Negative Emission」が種々開発されている。Negative Emissionには既に大気中に放出されたCO2を回収・再資源化する(DAC:Direct Air Capture )と高濃度・大量排出施設である火力発電所、製鉄所、ごみ焼却所などから回収・固定する(CCS:Carbon Capture and Storage)とがある。
(4)技術的には既存技術である吸着、吸収、反応、膜分離などが検討されているが、課題はコスト(設備償却費とランニングコストなど)にある。
(5)大規模排出源である火力発電所、製鉄所、ごみ焼却所などからのCCSは各国で実証実験などが進められている。
(6)植物の行う光合成(太陽光とCO2により有機物と酸素を生成する)を人工的に植物より効率的に行う人工光合成技術が期待されている。

引用・参考資料

  • 長期の地球温暖化対策における二酸化炭素除去技術の役割 (電力中央研究所、2014年4月)
  • CO2除去はCO2排出量削減活動の代わりにはならない (Nature Japan、2015年8月4日)
  • IPCC報告書の示唆するもの 100%以上のCO2削減を実現する技術の役割 (東京大学政策ビジョン研究センター、2014年4月23日)
  • 2030年温室効果ガス排出量26%削減に向けて #4~CCS(二酸化炭素の固定化・貯留技術)の現状と今後~ (日本バルブ工業会、2016年4月22日)
  • CCSのしくみ (日本CCS調査株式会社)
  • 平成29年度特許出願技術動向調査報告書(概要)CO2固定化・有効利用技術 (特許庁、2018年2月)
  • COP24、ポーランドで開幕 地球温暖化問題で隔たり大きく (ロイター通信、2018年11月2日)
  • COP24が開幕 「パリ協定」温暖化対策のルール議論 (日本経済新聞)
  • 2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #14~IPCC特別報告書を発表~ (日本バルブ工業会、2018年11月26日)

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