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home>環境について>環境関連情報>環境経営・戦略・政策>「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を発表

「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」を発表

2019-07-17

~日本政府が国連に提出・その中身とは~

はじめに

2019年6月26日付けで、世界気象機関(WMO)は「ヨーロッパが今年最初の熱波に襲われています」と報じました。これを受けて、2019年6月27日付けでBBCが「欧州で猛暑。ドイツやチェコで史上最高、フランスは『命の危険』」と報じました。このニュースは我国でもテレビや新聞、ネットなどのメディアによって報道されていますので、ご存じの方も多いかと思われます。

図1 ヨーロッパ各地のこれからの予想気温を示した地図

出典:緊急対応調整センター(ERCC)/世界気象機関(WMO)
注) この世界気象機関が発表した図1はやや不鮮明ですが、
BBCが加工した図の方が鮮明ですのでこちらを参照下さい。

世界気象機関(WMO)は、スペイン北部の一部地域では6月28日にも45℃に達すると予報を出し、EUの緊急対応調整センター(ERCC)が注意を呼び掛けています。この熱波はアフリカからの暖かい空気の塊が押し寄せてきていることに起因していますが、WMOは「この異常に早い季節における熱波を気候変動に起因させるのは時期尚早ですが、これは温室効果ガスの濃度が地球の気温の上昇をもたらすので、より頻繁で、激しい熱波を予測する気候シナリオと一致します」とコメントしており、温室効果ガスの排出量増加との因果関係を匂わせています。

我国においても、年々夏がより暑くなってきたり、集中豪雨が増えたりしていると感じていますが、どうもIPCC(国連の気象変動に関する政府間パネル)の予測よりも、早いスピードで気温の上昇や海面の上昇が進んでいるのではと危惧する専門家もいるようです。

さて、前置きが長くなりましたが、パリ協定に対応するため、政府は「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」と題する我国の長期的な温暖化防止を目的とする基本戦略を、2019年6月11日付けで閣議決定しました。また同年6月26日付けでこれを国連に提出しました。

今回は、この「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」に示された温室効果ガス削減の道筋について、その概略を解説したいと思います。

「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(以下『戦略書』と略)」のポイント

(以下、環境省公表資料より引用。但し、注)は筆者による)

「戦略書」は全5章で構成されています。

第1章:基本的な考え方(ビジョン)
第2章:各分野のビジョンと対策・施策の方向性
第3章:「環境と成長の好循環」を実現するための横断的施策
第4章:その他
第5章:長期戦略のレビューと実践

【第1章】 基本的な考え方

(1)最終到達点としての「脱炭素社会」を掲げ、それを野心的に今世紀後半のできるだけ早期に実現することを目指す。

①2050年までに(温室効果ガス排出量)80%の削減に大胆に取り組む
※積み上げではない、将来の「あるべき姿」
※1.5℃努力目標を含むパリ協定の長期目標の実現にも貢献

(2)ビジネス主導の非連続なイノベーションを通じた「環境と成長の好循環」の実現、取組を今から迅速に実施、世界への貢献、将来に希望の持てる明るい社会を描き行動を起こす

※要素:SDGs達成、共創、Society5.0、地域循環共生圏、課題解決先進国
注1) Society 5.0とは狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指す第5期科学技術基本計画で、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会

【第2章】 各分野のビジョンと対策・施策の方向性

(1)排出削減対策・施策

①エネルギー:エネルギー転換・脱炭素化を進めるため、あらゆる選択肢を追求
・再エネの主力電源化
・火力はパリ協定の長期目標と整合的にCO2排出削減
・CCS・CCU/カーボンリサイクルの推進
・水素社会の実現/蓄電池/原子力/省エネ
注2) CCS・CCU:「Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage」の略で、CCSはCO2の貯留・固定化、CCUはCO2の再利用・再エネ化

②産業:脱炭素化ものづくり
・CO2フリー水素の活用(「ゼロカーボン・スチール」への挑戦等)
注3) CO2フリー水素:水素製造時にCO2を発生させない製造方法
・CCU/バイオマスによる原料転換(人工光合成等)
注4) 人工光合成:光触媒を用いてCO2と太陽光から有機物を合成
・抜本的な省エネ、中長期的なフロン類の廃絶等

③ 運輸:”Well-to-Wheel Zero Emission”チャレンジへの貢献
注5) Well-to-Wheel Zero Emission:車の走行による温室効果ガス排出「ゼロ」
・2050年までに世界で供給する日本車について世界最高水準の環境性能を実現
・ビックデータ・IoT等を活用した道路・交通システム

④地域・くらし:2050年までにカーボンニュートラルで、レジリエント(強靭な)で、快適な地域とくらしを実現/地域循環共生圏の創造
・可能な地域・企業等から2050年を待たずにカーボンニュートラルを実現
・カーボンニュートラルなくらし(住宅やオフィス等のストック平均でZEB・ZEH相当を進めるための技術開発や普及促進/ライフスタイルの転換)
注6)ZEB(net Zero Energy Building)、ZEH(net Zero Energy House)は、「建築物における一次エネルギー消費量を、建築物・設備の省エネ性能の向上、エネルギーの面的利用、オンサイトでの再生可能エネルギーの活用等により削減し、年間での一次エネルギー消費量が正味でゼロ又は概ねゼロとする
・地域づくり(カーボンニュートラルな都市、農山漁村づくり)、分散型エネルギーシステムの構築

(2)吸収源対策

・森林、都市の緑化
・農地土壌への炭素貯留
・木材バイオマス利用

【第3章】 「環境と成長の好循環」を実現するための主要な横断的施策

(1)イノベーションの推進

・温室効果ガスの大幅削減につながる横断的な脱炭素技術の実用化
・普及のためのイノベーションの推進・社会実装可能なコストの実現

①革新的環境イノベーション戦略
・コスト等の明確な目標の設定、官民リソースの最大限の投入、国内外における技術シーズの発掘や創出、ニーズからの課題設定、ビジネスにつながる支援の強化等
・挑戦的な研究開発、G20の研究機関間の連携を強化し国際共同研究開発の展開(RD20)等
注7) RD20:Research and Development 20 for clean energy technologies(先進20ヶ国によるクリーンエネルギー技術開発)
・実用化に向けた目標の設定・課題の見える化
– CO2フリー水素製造コストの10分の1以下など既存エネルギーと同等のコストの実現
– CCU/カーボンリサイクル製品の既存製品と同等のコストの実現、原子力(原子炉・核融合) ほか

②経済社会システム/ライフスタイルのイノベーション
・脱炭素社会実現のために、民間活力の最大限利用、投資環境整備
・国民一人一人のライフスタイル意識改革

(2)グリーン・ファイナンスの推進
・イノベーション等を適切に「見える化」し、金融機関等がそれを後押しする資金循環の仕組みを構築

①TCFD等による開示や対話を通じた資金循環の構築
・産業:TCFDガイダンス・シナリオ分析ガイド拡充/金融機関等:グリーン投資ガイダンス策定
・産業界と金融界の対話の場(TCFDコンソーシアム)
・国際的な知見共有、発信の促進(TCFDサミット)(2019年秋)
注8) TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示)

②ESG金融の拡大に向けた取組の促進
・ESG金融への取組促進(グリーンボンド発行支援、ESG地域金融普及等)、ESG対話プラットフォームの整備、ESG金融リテラシー向上、ESG金融ハイレベル・パネル等
注9) ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったもの。投資家が企業の財務情報と共に投資の適性判断材料として評価。
注10) グリーンボンド:一般に、環境改善効果のある事業(グリーンプロジェクト)に充当する資金を調達するために発行する債券。

(3)ビジネス主導の国際展開、国際協力
・日本の強みである優れた環境技術・製品等の国際展開/相手国と協働した双方に裨益(ひえき)するコ・イノベーション
注11) 裨益(ひえき):役立つこと、利益になること

①政策・制度構築や国際ルールづくりと連動した脱炭素技術の国際展開
・相手国における制度構築や国際ルールづくりによるビジネス環境整備を通じた、脱炭素技術の普及と温室効果ガスの排出削減(ASEANでの官民イニシアティブの立上げの提案、市場メカニズムを活用した適切な国際枠組みの構築 等)

②CO2排出削減に貢献するインフラ輸出の強化
・パリ協定の長期目標と整合的にCO2排出削減に貢献するエネルギーインフラや都市・交通インフラ(洋上風力・地熱発電などの再エネ、水素、CCS・CCU/カーボンリサイクル、スマートシティ等)の国際展開

③地球規模の脱炭素社会に向けた基盤づくり
・相手国におけるNDC策定・緩和策にかかる計画策定支援等、サプライチェーン全体の透明性向上
注12) NDCとはNationally Determined Contributionの略で、パリ協定における各国の削減目標

【第4章】 その他

・人材育成
・公正な移行
・政府の率先的取組
・適応によるレジリエントな社会づくりとの一体的な推進
・カーボンプライシング(専門的・技術的議論が必要)

【第5章】 長期戦略のレビューと実践

・レビュー:6年程度を目安としつつ情勢を踏まえて柔軟に検討を加えるとともに必要に応じて見直し
・実践:将来の情勢変化に応じた分析/連携/対話

まとめ ~「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」の要点~

(1)パリ協定の最終目標である2050年までに温室効果ガス排出量80%削減、気温上昇1.5℃以下を目指す。
(2)最終目標は過去からの積み上げでなく、「将来のあるべき姿」として位置づける。
(3)施策は国内の動向及び国際的な動向から分析を行い、目指す方向性を示している。
(4)戦略として、民間の活力を利用する為、要素としてSDGs達成、共創、Society5.0、地域循環共生圏、課題解決先進国、TFCD、ESG評価などを挙げ、投資環境も整える。
(5)TFCDについては、別途の本コラムにて詳しく述べる。
(6)国民一人一人の意識改革を推進する。
(7)基本戦略で有るため、各施策等具体的な目標数値や期限などが無い点は、今後各省庁などが具体的な施策に落として来るものと思われる。
(8)企業には、早めに準備し行動する事を求めている。

引用・参考資料

  • 「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」の国連提出について (環境省、2019年6月26日)
  • 別添資料1 The Long-term Strategy under the Paris Agreement
  • 別添資料2 Outlines of Japan’s Long-term Strategy under the Paris Agreement (Cabinet decision, June 11, 2019)
  • 「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」の閣議決定について (環境省、2019年6月11日)
  • 別添資料1 パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略 令和元年6月11日閣議決定
  • 別添資料2 パリ協定長期成長戦略のポイント
  • 別添資料3 お寄せいただいた御意見の概要と御意見に対する考え方
  • 欧州で猛暑 ドイツやチェコで史上最高、フランスは「命の危険」 (BBCニュースジャパン、2019年6月27日)
  • Europe sees first heatwave of the year (世界気象機関、2019年6月26日)
  • 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD) (環境省)

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