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home>環境関連情報>サーキュラーエコノミー(循環経済)とは

サーキュラーエコノミー(循環経済)とは

2019-12-18

~「無駄」を「富」へと変える今世紀最大の資本主義革命~

はじめに

筆者の家の電気掃除機が大分くたびれてきて、本体の機能は全く問題がありませんが、ホースやパイプの接続部のプラスチック部品が破損したり、手元スイッチが作動しなくなったりで、使用が困難な状況になってきました。最近流行りのサイクロン式のコードレスに買い替えようかと思い家電量販店に足を運びました。

しかし、サイクロン式とコードレス型が登場したことによって、従来のコード付き紙パック式も含め、また韓国や中国製と思われるメーカーの参入もあって、膨大な数の商品が陳列されており、選定は容易ではありませんでした。

家に帰り、当該品の製造年をみると2012年製とあり、7年前の製品と判明。

一般社団法人 日本電機工業会のHPで、「補修用性能部品の保有期間」をみると以下の通りで、電気掃除機については「6年」とされており、「もう部品在庫はないのか、本体がしっかり機能しているのに、今の時代にそぐわない」と思いメーカーに問合せてみたところ、必要とする部品は通販で取り寄せが可能と判明しました。

図1 家電製品の補修用部品の保有期間一覧 (出典:日本電機工業会)

同工業会によると「補修用性能部品の保有期間とは、該当製品の製造打ち切り後の年限であり、メーカーによっては保有期間を過ぎても保有している場合がある」と記載されていました。

大量生産大量消費の高度成長時代には、家電製品は「修理するより、買換えた方が安価で得だ」という考えが支配的でした。しかし、21世紀に入るとエネルギーや資源の枯渇、地球温暖化、ごみ処理問題などが世界共通の大きな課題として浮上し、再生可能エネルギーの開発、持続可能な開発などへのシフトが急激に進み始めています。

このような状況において、ピーター・レイシー&ヤコブ・ルトクヴィストが著書『Waste to Wealth –The Circular Economy Advantage-』で「サーキュラー・エコノミー(循環経済)」という考え方を提案し、「過去250年間続いてきた世界経済における生産と消費のあり方を今までにないレベルで変革するべき」と述べています。

今回は、この「サーキュラー・エコノミー(循環経済)をキーワードに、これからの企業における生産と消費に対する方向性を模索してみました。

 

サーキュラー・エコノミー(循環経済)とは

ピーター・レイシー&ヤコブ・ルトクヴィストは、彼らの著書「Waste to Wealth –The Circular Economy Advantage-(廃棄物を富へ-循環経済の利点-)」において、「サーキュラー・エコノミー(Circular Economy:CE)とは、再生し続ける経済環境を指す概念で、製品・部品・資源を最大限に活用し、それらの価値を目減りさせずに永続的に再生・再利用し続けるビジネスモデルを意味します」と定義し、「世の中には、非常に多くの『無駄』が存在しています。例えば、資源の無駄、遊休資産、捨てられる素材、まだ使用できるにもかかわらず破棄されている製品などです。企業はサーキュラー・エコノミーのビジネスモデルを導入することで、そうした無駄を活用し、利益を生み出すことが可能になります」と、サーキュラー・エコノミーを実践することによるメリットを述べています。

しかし、従来の概念からすると、製造業は過去に販売した製品が顧客によって消費され、繰り返し購入してもらうことで売り上げ利益を得てきたことから、「大量生産⇒大量消費⇒大量廃棄」が善であり、「長寿命、再利用、再生、修理」などは大きな声では言えないが悪という考え方が産業革命以来250年間続いてきた経済活動の原点であったといえます。

ピーター・レイシー&ヤコブ・ルトクヴィストはサーキュラー・エコノミーに転換することによって、2030年に4.5兆US$(486兆円)の利益を産み出すと計算しています。

では、なぜ従来の経済の原則を破ったサーキュラー・エコノミーが、これからの企業活動にとって利益をもたらすといえるのでしょうか。

サーキュラー・エコノミー誕生の背景

産業革命が起きた18世紀半ばから19世紀において、地球の人口は約7億人でしたが、現在では75億人、2030年には85.5億人、2055年に100億人に達するといわれています。

かつて、世界の人口に対して資源もエネルギーも十分に多く、いくら使ってもなくならないから、経済の成長と資源の投入はリニアに増加しても対応ができました。使い終わった製品を廃棄する場所も十分にありました。

しかし、上述したように人口が急激に増加してきた現在、さらに今後に向けては、エネルギーや資源の調達はコスト的にも量的にも不可能になりつつあり、近い将来企業活動が行き詰まることは明白になりつつあります。

今後企業が持続的に発展して行くためには、何らかの大きな方向転換を行なう必要があり、特にエネルギーも資源も乏しいヨーロッパにおいて、できるだけ少ない資源の利用、一度使用した部品や材料の再利用を極める政策が推し進められています。

ピーター・レイシー&ヤコブ・ルトクヴィストは『Waste to Wealth –The Circular Economy Advantage』の中で、「この持続型の経済において新たな『富』を生み出すと期待されるのは、廃棄物としてのいわゆるゴミばかりではありません。企業の会議室や自動車、日用品など、現状『働いていない』『使われていない』『空いている資産や天然資源』も含まれます。『無駄』という考えを改め、あらゆるものに価値があることを認識することによって、持続型のサーキュラー・エコノミーを実現できます」と述べています。

廃棄物処理や3Rを通じた「循環型社会」の実現に向けた動きは今に始まった話ではありませんが、「循環経済」とはどこがどう異なるのでしょうか。

経済産業省発行のMETI Journal8月号によると、「サーキュラー・エコノミーのポイントは『サーキュラー』(円)にある。これまでの大量生産・大量消費は、調達→生産→消費→廃棄といった一方向の経済であるのに対し、再利用や再生産はもとより、省資源の製品開発、さらには修繕を重ね繰り返し使用することや、製品の利用形態を所有から共同利用へと転換させるといった取り組みを通じて、資源をできるだけ循環(サーキュラー)させていく発想だ。製品の価値を長く保ち、廃棄物の発生は最小限にとどめることで、持続可能で低炭素な社会を実現する。かつ、新たなビジネスの創出を通じて産業競争力の向上を目指すところに特徴がある」と述べています。

ヨーロッパにおけるサーキュラー・エコノミー政策

世界の経済先進圏の一つであるヨーロッパは、エネルギーも資源も乏しい地域であり、今後持続的に発展し続けるためには、従来のビジネスモデルを大胆に転換することが求められています。

このような中でEU(欧州連合)は2015年にサーキュラー・エコノミーの概念を政策として推進する方向性を打ち出しました。

上述の経済産業省発行のMETI Journal8月号によると、

「資源の枯渇や価格変動から企業を守り、新たなビジネスチャンスと革新的な生産方法と消費を生み出すことで、新たな競争力を高める『経済政策』」と明確に位置づけている。

EU流の手法に対し、日本の経済界の中には『EU域内の製造業に復権の機会を与える政策』との見方もあるが、一方で、AI(人工知能)やIoTといったデジタル技術の進展によって、モノ作りの在り方が大きく変わりつつある今、これからの成長モデルに合致する発想であることは事実だ。製品を生み出すだけでなく、機能や価値を提供するプラットフォームやソリューションビジネスは、資源を無駄なく利用し、価値を最大限に生かすサーキュラー・エコノミーの概念にも合致するからだ。とかく二項対立的に捉えられがちだった環境と経済成長が、サーキュラー・エコノミー型ビジネスモデルという競争戦略として語られる意義は大きい」

とヨーロッパと同ようにエネルギーや資源の少ない我国の経済界においても共鳴する声は多いといえます。

図2 従来の経済モデルとサーキュラー・エコノミーのイメージ
(出典:ピーター・レイシー&ヤコブ・ルトクヴィスト著者 『Waste to Wealth –The Circular Economy Advantage-』をベースに筆者が作成)

サーキュラー・エコノミーの実践

サーキュラー・エコノミーは概念としては理解できますが、実際にはどのように行うのでしょう。同じ製造業でも、生産する製品は千差万別ですので、各企業が今後研究する課題だと思われます。ピーター・レイシー&ヤコブ・ルトクヴィストは、『Waste to Wealth –The Circular Economy Advantage-』で5つのビジネスモデルの類型を示しています。

(1)再生型サプライ
繰り返し再生し続ける100%再生/リサイクルが可能な、あるいは生物分解が可能な原材料を用いる。

(2)回収とリサイクル
これまで廃棄物と見なされてきたあらゆるものを、他の用途に活用することを前提とした生産/消費システムを構築する。

(3)製品寿命の延長
製品を回収し保守・改良することで、寿命を延長し新たな価値を付与する。

(4)シェアリング・プラットフォーム
Airbnb(エアビーアンドビー)やLyft(リフト)のようなビジネスモデル。使用していない製品の貸し借り、共有、交換によって、より効率的な製品/サービスの利用を可能にする。

(5)サービスとしての製品(Product as a Service)
製品/サービスを利用した分だけ支払うモデル。どれだけの量を販売するかよりも、顧客への製品/サービスの提供がもたらす成果を重視する。

 

まとめ

(1)産業革命が起こった18世紀半ば、世界の人口は約7億人でしたが、現在75億人、2030年には85.5億人、2055年に100億人に達するといわれています。このように人口が爆発的に増加傾向を見せる中で、かつてはエネルギーも資源も人口に対して十分な量があったため、市場の需要に応じて、エネルギーと資源を調達して供給する(大量生産⇒大量消費⇒大量廃棄)リニア・エコノミーが通用し世界の経済はそのビジネスモデルを約250年間も変えることなく成長を続けてきました。

(2)20世紀後半より、人口が爆発的に増加傾向になると、市場の要求に対応するエネルギーや資源の確保、生産や消費により発生する排水、排気、廃棄物の処理などが困難になり始め、省エネ、省資源、3R(リサイクル、リユース、リデュース)、脱炭素などの活動が始まりました。

(3)このような状況において、先進経済圏でありながらエネルギーや資源が乏しいヨーロッパで、エネルギーは再生可能エネルギーへ転換、消費を終えたモノは一切廃棄物とせずに、全てを再資源化するサーキュラー・エコノミーを政策の中心に据えて推進することが2015年より始まっています。

(4)ヨーロッパ同様にエネルギーや資源の乏しい我国においても共鳴する動きが出てきています。サーキュラー・エコノミーは、製造業において単に消費済の製品を再利用するだけに留まらず、あらゆる無駄を排して、富に変換することがポイントで、従来環境問題と経済問題とは相反する課題でしたが、この概念の導入によって経済的にも利点があるとされています。

(5)製造業といっても、製造する製品は企業によって千差万別ですので、企業ごとに知恵を絞る必要がありますが、ピーター・レイシー&ヤコブ・ルトクヴィストは著書『Waste to Wealth –The Circular Economy Advantage-』で5つのビジネスモデルの類型を示していますので、これがヒントになるのではないでしょうか。

(6)なお、廃棄物処理や3Rを通じた「循環型社会」の実現に向けた動きは今に始まった話ではありませんが、今回のサーキュラー・エコノミーのポイントは、従来の一方向の流れではなく、全てが循環するサークル(円)という点と、色々な意味で無駄を価値あるものに変えるという点にありますので、今後研究する価値があるテーマに思えます。

引用・参考資料

  • 無駄を富に変える:サーキュラー・エコノミーで競争優位性を確立する (日本経済新聞出版)
  • 8月の政策特集は「循環経済が社会を変える」です! (経済産業省、2019年8月5日)
  • 欧州のサーキュラー・エコノミー政策について (経済産業省/有限責任監査法人トーマツ、2019年1月25日)
  • 欧州ではSDGsよりもサーキュラー・エコノミーがホット (熊沢拓ソーシャルベンチャーキャピタリスト、2016年5月25日)
  • 欧州が打ち出した「サーキュラー・エコノミー」、裏にデジタル覇権争いあり (日刊工業新聞、2019年8月15日)
  • 競争戦略としてのサーキュラー・エコノミー (デロイトトーマツ、2016年12月)
  • 産業革命以後の世界を変える「サーキュラー・エコノミー」とは? 専門家は指摘「持続可能でなければ生き残れない」 (HUFFPOST、2019年7月31日)
  • 効率的な資源利用で経済成長目指す (経済産業省、2019年8月5日)

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