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home>〜私の自由帳〜>奥津 良之 (一社)日本バルブ工業会 IEC委員長

奥津 良之 (一社)日本バルブ工業会 IEC委員長

「~朝のお勤め、朝のZARD~」

2019-11-01

 筆者が調節弁の研究開発に携わって既に43年が経とうとしている。大学での低学年時に機械工学系実験室を覗いていた折、直径100mm位の銀色に光り輝く高圧配管が広い敷地に整然と三次元配置されて、遠心ポンプやスクリュー圧縮機、往複動圧縮機や複数の貯気槽、可視化設備あるいは制御盤・圧力/温度計測系・振動計測系など訳の分からない機械・装置群を繋いで、さながらコンビナート基地の様に一体となった実験設備群を見て、私もこんな環境で勉強してみたい、理解できるようになりたい、工学的能力を獲得したい、と大田英輔研究室を選んだことがその嚆矢となった。

 以来、大学から企業に転じても高速流体機械とくに調節弁内部流れの観察や、計測制御、数理モデル化と数値計算、製品化と現場対応そして国際標準規格化作業等を通して、多少は社会に役立ったのか、どうかわからないが大いに研究開発活動をさせて戴き、数年前に無事に企業の定年を迎えた。同社のご厚意で引き続き職場を与えて戴いた。現在は、社会の後進技術者教育にも力を入れながら、Professional Engineerとしての日常を送っている。(注 大学/企業での活動については「JV賞を受賞して~たかがバルブ されどバルブ やはりバルブ」,JVMA通信 平成24年7月号(抜粋)をご参照ください。

 技術者としての「基礎能力」維持増進のためには日々の学習研鑽は欠かせない。一方で、最近の目まぐるしいCutting-edge技術の「進展と変化」に対応するため電子電気デバイス対応や情報処理の能力も日々獲得して行かねばならず、技術者の一日を考えると、どうしても時間的余裕のない、忙しい毎日が避けられない。
 加えて、30年程前から米国ハーバード大学に端を発するMBA経営至上主義が大きな「津波」となって上陸し、選択と集中、市場至上、効率UP、優位劣位ポジション、勝組/負組二分論などの社会思想・スローガンが技術者を強く襲い始めた。ビジネス偏重の大きな渦に巻き込まれて納期優先・コスト優先・リターン優先の「罠」に陥り、ともすれば技術者の魂を曇らす状況も有りはしないか?偽技術者が横行はしないか?品質が疎かになりはしないか?との当時の危惧が思い出される。筆者はその後この危惧を払しょくするため、自分に出来る仕事の範囲として2006年度から毎年「技術者による技術者のための技術者倫理講座」を社内の若い研究開発技術者を対象に、一日コースで開講してきた。
 この講座の核心は技術者が「道徳的自立性」を獲得する事にある。午前中は筆者が社会状況分析・世界規模での品質低下事例とその原因・倫理的行動の方法などを論じる。午後は実際の事例報告をDVD視聴し受講生が感想を纏め、その後にケーススタディ2例を取り上げ、各受講生が当事者の立場になって採るべき代替案抽出の訓練を行う。
 最後に筆者から「倫理的意思決定を妨げる8要因」*について解説し、受講生に「道徳的自立性」の大切さを強く認識してもらい講義を修了としている。(注* 日本機械学会編 技術者倫理テキストに準拠)手前味噌ではあるが、本講座を修了した社員はその後の技術者活動においてもしっかりと成果を生み続けているように見える。これは時折に筆者は、社内技術報文や新製品発表記事などの技術担当者と、過去の受講修了者名簿を対比させて見ることがあり、その観察附合結果の個人的感想である。また、本講座は大学・高専過程でのJABEE認定プログラム**との接続性も考慮し設計しており、この視点からも本講座のアドバンテージを認めることができよう。(注** (一社)技術者教育認定機構を参照のこと)

 ところで、グローバルに激しいバトルが繰り広げられる技術/産業/社会にあって、技術者は合理性を根拠に仕事を進めるのであり、理論と実験の合致した、整合された方程式を根拠に基本設計を進める。そこには刹那的な「感情」に左右される余地などはない。しかし、人間であるのだから本質的に「感性」を備えていて、それが人としての生活の豊かさを育む。「感性」は大らかに「理性」を包み込みこれを支える。「感性」は最も大切な人間のAttribute(人間のみ保有の特質)である。多様な人生の楽しみを経験せずして、限られた時間を消費するのは忍びない。スポーツ、歌舞伎観劇、バレエ鑑賞、旅、写真撮影、絵画鑑賞 登山等々・・いずれも「感性」を豊かに引き上げてくれる「楽しみ」であると思う。技術者の「工学的能力」を引き上げるためにも技術者の「感性」を引き上げることが必要と思う。また加齢とともに「感動」することも少なくなってきている私自身の実感があり、意識して「感性」を維持・強化してゆく必要性を感じる。その意味で筆者は音楽鑑賞に一つの歓びを見出している。ここでは是非ZARDを紹介したい。
 ZARDは長戸大幸氏が坂井泉水氏(1967~2007)を手塩に掛け育成し、1991年にプロデュース/デビューさせた8ビートを基調とする豪華音楽ロックバンドのスタッフを含むユニット全体総称である。超一流の各ミュージシャンが各楽器を担当しバックバンドを構成しているが、要は坂井泉水氏の歌唱と彼女自身による作詞と彼女のオーラを際立たせるようメロディを刻んでゆくところに全体バンド演奏の特徴がある。不幸にも坂井氏の慶応大学病院内での入院中転落事故死(2007年5月享年40歳)によってZARD坂井氏のライブ歌唱パフォーマンスは今となっては聴くことはできない。これまでに記録保存されているデータをDVD/CD媒体等によって視聴するしか方法(追悼演奏会除く)はない。
 坂井氏の音楽芸術で残された業績は途轍もない。言葉(詞)を大切にし、思いを音楽でリスナーに伝えてきた。40歳で早逝されるまでの短い期間に圧倒的な「感動」を日本国民に与え、90年代から00年代の斜陽する日本社会に体を張って「元気エネルギー」を注入し続けた。代表曲『負けないで』は誰しもどこかで聴いたことは有るはずである。甲子園球児入場行進曲にも採用されたし(94年夏)、一説には南極越冬隊員がこの曲を聴きながら厳しいブリザード(雪嵐)と闘っている、とも筆者は聞いたことがある。当時、坂井氏本人のテレビへの露出やコンサート回数も極めて少なかったにもかかわらず、これまでにシングル45枚、アルバム21枚について其々の総売り上げ1700万枚超、1900万枚超を記録し、アルバムミリオン獲得数連続9作品など稀有のスーパー記録を打ち立ててきた。現時点でもDVD/CDあるいは書籍を手掛かりにファンは増殖しつつある。坂井氏の作詞の特徴は研究者によって多様に表現されるが、筆者は「他者への感謝と思いやり」に満ちている点だと思う。自身は寂しく・困難に遭っても何とか立ち直り、さらには相手に感謝さえし、相手の将来を応援をもしてくれる、そんなクラス担任の先生の様なきめ細かく温かい思いやりが全曲底流に満ちていると思う。聞くところによると、2004年3月~7月の初めてのライブ全国ツアー(全11回)では既に体調悪く無理を押してのパフォーマンスで、気力と肉体を擦り減らしての全力公演だったと聞く。それでもの完璧なパフォーマンスは会場の隅々にまで感動を与えた。これはもはや尋常の人間を超越していたと思う。坂井氏の作品をじっくり聴くと、全作品作詞が巧みに綴られていて、筆者自身の青春体験とも重なって、思い当たることも多々あり、感動せずにはいられない。忘れていた若き時代を思い出させるのである。私の「感性」を呼び起こしてくれるのである。よくぞ、これらの作詞を世に残してくれたと聴けば聴くほど引き込まれている日々である。

 令和の時代になった折、盛んに万葉集や家持が取り上げられた。しかし筆者にとっては坂井氏の作詞こそ身近な詞である。日本の良き心をあらわす永遠に伝えられていくべきスタンダードと思える。忘れかけている私たちの「感性」を呼び起こしてくれる。一層広くの皆様にDVD/CD視聴をお勧めしたい所以である。
 ここのところ機会があって古都京都を訪ねることが多くなった。その折に寺院の宿坊を使わせていただくことも多く、朝のお勤めにも参加させていただく。冒頭に技術者の規範として「道徳的自立性」を紹介したが、「徳」とは努力して得るべき能力であり、訓練により鍛えることができる。寺での朝のお勤めに参加し、眠い目を擦りながら読む「般若心経」には有徳へのヒントが満載である。これらの感銘を受けて、いつの頃からか筆者も午前3時の起床が日常となり、早朝学習が習慣となった。起床後まず顔を洗い歯を磨く、熱い珈琲を飲みながら今日一日を構想する。実はこの時、ZARDを聴くのである。『forever you』は過去への感謝を思い起こし、『Season』は何でも出来た青春を思い起こさせる。『マイフレンド』では他者への思いやりを『Don’t you see!』ではみなぎる力を、『グロリアスマインド』では人間の宿命と無常を感じることが出来る。坂井氏作品の一曲一曲の内容は重く深い。150を超える坂井氏作品のそれぞれの深い理解には私にとってまだまだ年月を要すことだろう。朝の僅か10分間程度のZARDは筆者の有意有徳の習慣となっている。

 以上に徒然に筆者の習癖の一部を紹介させていただいた。各位の何かの参考になれば幸甚と考えます。なお、株式会社幻冬舎 様から2019年10月25日に坂井泉水氏に関する貴重な成書「永遠 君と僕との間に ZARD」が発刊されました。偉大な坂井泉水氏のエピソードがふんだんに紹介されています。是非にご一読をお勧めします。ここでも多くの事実を参考にさせていただきました。記して感謝申し上げます。(2019年10月27日奥津記)

 追伸:1642年ガリレオ・ガリレイの没年にニュートンが生誕したという。これを物理学界における命のリレーという。1991年奇才フレディ・マーキュリーの没年に美神・坂井泉水はデビューした。英国は音楽を誇るが、同じように日本には坂井氏がいた。これを誇りと思う。『・・「大丈夫だよ」という君の言葉が 一番大丈夫じゃない』と坂井氏は天国で日本国民を見守っていてくれている、そう思います。

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