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home>環境について>環境関連情報>地球温暖化>カーボンニュートラルへの道 #4

カーボンニュートラルへの道 #4

2022-09-16

~中小企業のためのカーボンニュートラル(前編)~

1. はじめに

2020 年10月の菅総理大臣(当時)による 2050 年カーボンニュートラル(以下「CN」と略)宣言、それに続くCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)以降、国内企業の脱炭素化に向けた動きが加速しつつあります。

注) 本コラムにおいて「脱炭素経営」とは「CN達成に向けて気候変動対策(≒脱炭素)の視点を織り込んだ企業経営のこと」とし、「CN」は目標、「脱炭素経営」「脱炭素化」は手段として使い分けをします。

 

このように脱炭素経営に向けて、主に大企業を中心とした活動が活発化する状況において、中小企業の多くでは、「CNや脱炭素経営」が自社の経営に何らかの影響が与えるかも知れないと感じるものの、財政基盤が必ずしも盤石でないことに加えて、情報面、知識面や人材面での制約があり、初期コストの高い対策が取りにくい、そもそもどのような取組みを行えばよいのかわからないといった問題があり、具体的な方策を検討するまでには至っていない、というのが実情ではないでしょうか。

しかしながら、中小企業にとっても脱炭素経営は決して他人事ではなく、大企業の活動に否応なく巻き込まれていくと予想されるため、一早く対応することが競争力を高めることになると言われ始めています。

今回は、(1)なぜ 中小企業がCNに向けた脱炭素経営に取組む必要があるのか、(2)脱炭素経営に取組むメリット、(3)中小企業における脱炭素経営はどう進めるべきか、(4)中小企業における脱炭素経営の事例紹介、(5)中小企業の脱炭素経営支援制度・優遇税制、(6)脱炭素経営に対する相談窓口などを、環境省や経済産業省、中小企業基盤整備機構など公的・準公的機関の資料や情報をもとに、2回に分けて、中小企業における脱炭素経営について説明をしていきたいと思います。

今回は前編として(1)~(3)について解説します。次回は後編として(4)~(6)を紹介する予定です。

2. なぜ中小企業がCNに向けた脱炭素経営に取組む必要があるのか

パリ協定ではCNが達成ができなかった場合でも罰則はありませんが、国としての国際的な公約であり、日本国政府としては、CN未達による信用失墜を避けるために、種々の施策の実施や支援制度などの準備を行ってきています。

その中の「地球温暖化対策推進法」において、「温室効果ガスを一定以上排出する大規模事業者に対して、自らの排出量の算定と国への報告を義務づけ、報告された情報を国が公表しする制度」があります。

また、東証プライム市場の上場企業は、2021年のコーポレートガバナンス・コード改訂により、ますます企業の気候変動の取り組みや情報開示の必要性が高まっており、「Scope 1(事業者自らによる燃料の燃焼による温室効果ガスの直接排出等)」と「Scope 2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)」にとどまらず、「Scope 3(Scope1及びScope2以外に自社の事業活動によって、サプライチェーンの上流及び下流での間接的な排出)」の排出量の算定や公表についての対応が求められています。また、国際的な基準でも、このScope 3を含めたサプライチェーン排出量の把握と削減が求められてきています。

このような「サプライチェーン全体での脱炭素化の動き」が加速し、グローバル企業がサプライチェーン排出量の目標設定を行うことにより、サプライヤーも巻き込まれるため、中小企業でも取組が必要であり、いち早く対応することが競争力を高めることになると言えます(図1)。

テキスト  自動的に生成された説明
図1 中小企業におけるCN取組の必要性(出典:環境省の資料を筆者がアレンジ)

実際に、大企業からサプライヤーや取引先に対する要求例も出始めています。表1に具体例を示します。

表1 グローバル企業からサプライヤーへの要求例(出典:環境省)

  • 【トヨタ自動車】 数百社の仕入先に対し、2021年のCO2削減目標として前年比3%を要請。
  • 【Apple】 サプライヤーに対して、再エネ由来の電力を使用することを要請。要請に応えられない場合は取引を終了する可能性があることを示唆。
  • 【イオン】 モール館内の警備・清掃に関わる従業員、モール運営に携わるサプライヤー、出店しているすべての専門店に対して、環境教育を実施するとともに、排出削減につながる行動を要請。

 

3. 中小企業が脱炭素経営に取組む5つのメリット

以下、「中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック」(環境省、2022/6/23更新)及び「中小企業のカーボンニュートラル実現に向けた取組」(環境省、2022/7/29)を主な資料として説明します。

 

脱炭素経営への取組みは、「無理やり、仕方なく引きずり込まれる」といったネガティブな考えをするより、逆転の発想で、「この活動を自社の優位に結び付けよう」というアクティブな考えに切り替える必要があります。
環境省は脱炭素経営に取組むことによる5つのメリットを次のように示しています。

  • 優位性の構築(自社の競争力を強化し、売上・受注を拡大)
  • 光熱費・燃料費の低減
  • 知名度や認知度の向上
  • 脱炭素の要請に対応することによる、社員のモチベーション向上や人材獲得力の強化
  • 新たな機会の創出に向けた資金調達において有利に働く

 

(1)優位性の構築(自社の競争力を強化し、売上・受注を拡大)

企業が取引先を選ぶ基準に、過去には品質、コスト、納期などがありましたが、現在はこれに環境、CO2排出量削減が加わる例が増えており、特にCO2排出量削減が重要な因子となってきています(図2)。


図2 脱炭素経営による自社製品の訴求力の向上(イメージ)(出典:環境省)

図2中のSBT(Science Based Targets)とは、パリ協定(世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準に抑え、また1.5℃に抑えることを目指すもの)が求める水準と整合した、5年~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のことで、認定制度があります。

(2)光熱費・燃料費の低減

エネルギーを多く消費する非効率なプロセスや設備の更新を進めていく必要があり、それに伴う光熱費・燃料費の低減がメリットになります。

(3)知名度や認知度の向上

省エネに取り組み、大幅な温室効果ガス排出量削減を達成した企業や、再エネ導入を先駆的に進めた企業は、メディアへの掲載や国・自治体からの表彰対象となることを通じて、自社の知名度・認知度が向上します。

(4)脱炭素の要請に対応することによる、社員のモチベーション向上や人材獲得力の強化

社員のモチベーション向上だけでなく、有望な人材獲得にも効果が期待されます。

(5)新たな機会の創出に向けた資金調達において有利に働く

金融機関から脱炭素化に向けた圧力が高まりつつある反面、融資先の選定基準に地球温暖化への取組状況を加味し、脱炭素経営を進める企業への融資条件を優遇する取組例があります。

4. 中小企業における脱炭素経営に向けた削減計画の策定

4-1. 脱炭素経営に向けた基本的な考え方

基本的な考え方は企業の規模に関係なく共通です。
(1)可能な限り、エネルギー消費量を削減する(省エネを進める)。
例)高効率の照明・空調・熱源機器の利用等
(2)エネルギーの低炭素化を進める
例)太陽光・風力・バイオマス等の再エネ発電設備の利用、CCS(二酸化炭素回収・貯留)付き火力発電の利用、太陽熱温水器・バイオマスボイラーの利用等
(3)電化を促進する(熱より電力の方が低炭素化しやすいため)
例)電気自動車の利用、暖房・給湯のヒートポンプ利用等

4-2. 脱炭素化に向けた計画策定の検討手順

【STEP 0】

計画策定の前に、自社の事業活動によって排出されるScope 1及びScope 2排出量を計算してみましょう。
計算の方法は「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度/計算方法・排出係数一覧」(環境省)を参照ください。
温室効果ガス排出量の大幅削減を進めるためには、運用改善等の省エネ対策のみではむずかしく、生産設備も含め、化石燃料消費の抜本的な見直しが必要になる場合が少なくありません(図3)。


図3 脱炭素化に向けた計画策定フロー(出典:環境省)

【STEP 1】長期的なエネルギー転換の方針検討

化石燃料消費に伴う温室効果ガス排出量を省エネルギー対策のみで大幅に削減することは困難であり、エネルギーの種類を温室効果ガスがゼロもしくは小さいものに転換していくことが必要になります。
将来の技術開発動向も見据えつつ、主要設備についてエネルギー転換の長期的方針を検討することが重要です。
しかし、資金的な課題もありますので、長期を見据えた段階的な設備導入計画が重要になります(図4)。


図4 燃料転換検討例(出典:環境省)

【STEP 2】短中期的な省エネ対策の洗い出し

STEP 1の長期計画を前提に、現状設備の稼働最適化、エネルギーロスの削減検討を行います(図5)。


図5 大規模設備投資を行うことなく中短期的にできる省エネの検討例(出典:環境省)

【STEP 3】再生可能エネルギー電気の調達手段の検討

再生可能エネルギー電気は、CO2 ゼロの代表的・汎用的なエネルギーです(図6)。STEP 1における電化の検討と合わせて大きな脱炭素化が行える可能性があります。


図6 再生可能エネルギーを調達する手段(出典:環境省)

【STEP 4】削減対策の精査と計画へのとりまとめ

STEP 1~STEP 3の検討結果をとりまとめ、洗い出した削減対策について、次の(1)~(3)を定量的に整理します。

  • 想定される温室効果ガス削減量(t-Co2/年)
  • 想定される投資金額(円)
  • 想定される光熱費、燃料費の増減額(円/年)

可能な範囲で各削減対策の実施時期を決めた上で、「おおよその企業全体のロードマップとして削減計画に整理する」とともに、「削減対策を行うことによる効果・影響」として年度ごとの

・温室効果ガス排出削減量(実施した各削減対策による(1)の総和)
・キャッシュフローへの影響(実施した各削減対策による(2)(3)の総和)
を見積もってみます。

この結果より、次のことが明らかになります。

a)【洗い出した削減対策によって目標達成は可能か】
b)【温室効果ガス排出削減に係る追加的な費用支出を許容できるか】
・補助金の活用による負担軽減
・設備投資による税負担の軽減
c)【削減対策の実現に向けた詳細検討をどのように進めるか】
※補助金制度、税制優遇、相談窓口などについては、次回に解説したいと思います。

5. まとめ

(1)CNに向けた脱炭素経営の動きが大企業を中心に活発化しているが、多くの中小企業においては、自社の経営に何らかの影響があるかも知れないと感じる反面、財政面、情報面、知識面や人材面での制約があり、初期コストの高い対策が取りにくく、どのような取組みを行えばよいのか分からないのが現状である。
(2)しかし、大企業における脱炭素経営の活動は、自社の活動だけではなく、取引先や顧客までのサプライチェーン全体を対象としているため、中小企業も他人事ではなく、やがて巻き込まれることになる。
(3)中小企業における脱炭素経営は「大企業に引きずられて仕方なく行う」というネガティブな考えから、「種々のメリットも得られる活動であり、一早く取組むことが競争力を高める方法である」とポジティブに考えることが重要。
(4)脱炭素経営の基本的な考え方や、取組手順は企業の規模に関係なく、大企業も中小企業も原則は同じである。
(5)中小企業が脱炭素経営に取組むための支援制度、税制優遇制度、相談窓口及びケーススタディについては、次回紹介する予定。

引用・参考資料

  • 経済産業省のカーボンニュートラルに向けた中小企業支援施策 (経済産業省、2022年5月)
  • 中小企業支援機関によるカーボンニュートラル・アクションプラン (経済産業省、2022年5月)
  • 中小企業・小規模事業者のためのカーボンニュートラル (J-net21/独立行政法人中小企業基盤整備機構)
  • 中小企業の脱炭素「ひとごとではない」納得の理由~実は手軽?事例に学ぶ「脱炭素経営」の現実味~ (環境省/東洋経済ブランドスタジオ、2022年6月24日)
  • カーボンニュートラルにはどのように取り組んだらよいでしょうか (J-net21/独立行政法人中小企業基盤整備機構)
  • カーボンニュートラルをめざすSBTには中小企業も参加できますか (J-net21/独立行政法人中小企業基盤整備機構)
  • 中小規模事業者のための脱炭素経営ハンドブック-温室効果ガス削減目標を達成するために- (環境省、2021年3月25日)
  • 脱炭素ポータル (環境省)
  • 中小企業のカーボンニュートラル実現に向けた取組 (環境省、2022年7月29日)
  • カーボンニュートラルと地域企業の対応<事業環境の変化と取組の方向性> (経済産業省関東経済産業局、2022年5月)
  • 中小企業のカーボンニュートラル施策について (経済産業省環境経済室、2022年7月)

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