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home>環境関連情報>「プラスチックごみ」による深刻な環境汚染の拡大#2

「プラスチックごみ」による深刻な環境汚染の拡大#2

2019-09-20

~拡大生産者責任とは~

はじめに

2018年10月25日付けの本コラム「『プラスチックごみ』による深刻な環境汚染の拡大」において、使用済み廃プラスチックによる深刻な海洋汚染が、「地球温暖化」に続く「第二の地球環境問題」であることについて述べました。

この問題は、2018年6月にカナダのシャルルボアで開催されたG7においても議題として取り上げられました。議論の結果、このプラスチックごみの削減に向けた数値目標を盛り込んだ「海洋プラスチック憲章」が提案されましたが、日本政府と米国がともに署名を拒否し、各国より非難を浴びました。

その後、この海洋プラスチックごみの問題はマスコミなどによる報道により、一般的な関心も深まってきています。

そのような状況において、2019年6月28~29日に大阪で開催されたG20では、日本は議長国であったため、環境省がG20開催前の2019年5月31日付けで「プラスチック資源循環戦略」(海洋プラスチックごみ、その他廃棄物の対策など)を発表し、G20においては、各国が海洋プラスチックごみの削減に向けて自主的な対策を実施し、その取り組みを継続的に報告・共有する『海洋プラスチックごみ対策実施枠組み』という国際的な枠組みを創設することで合意出来ました。

今回は、この「海洋プラスチックごみ対策実施枠組み」の創設を機に、次の(1)~(4)について解説したいと思います。

  1. 海洋プラスチックごみの現状についての「おさらい」
  2. 我国の「プラスチック資源循環戦略」の概要
  3. G20合意「海洋プラスチックごみ対策実施枠組み」の概要
  4. 海洋プラスチックごみ削減対策の1つとしてOECD (経済協力開発機構)が提唱する「拡大生産者責任」適応論

海洋プラスチックごみの現状について

(本コラム2018年10月25日付け「『プラスチックごみ』による深刻な環境汚染の拡大」参照)

  • (1)繊維を含むプラスチックは1950年頃より工業的に大量生産され始め、現在までに累計で約90億トンに達すると言われています。
  • (2)人類が消費する石油の20%がプラスチック生産に使われており、今なお全世界で年間約3億トンが生産され、今後10~15年はさらに増加すると言われています。
  • (3)使用済みプラスチックのリサイクル率はわずか9%程度とされ、残りは埋立て、焼却、環境への放出とされていますが、プラスチックは自然環境中で完全に分解されるには数千が必要とされています。
  • (4)環境中へ放出されたプラスチックごみのうち、年間約800万トン(1日にダンプカー1台分)が海洋に流出していると言われています。現在すでに海には1億5000万トンのプラスチックごみが浮遊しており、このままの状況が続けば、2050年までに海洋中に存在するプラスチックの量(重量ベース)が魚の重量を超過すると予測されています。

(参考)
廃プラ1㎥当たり=約0.35トンと計算され、よく例えに使われる東京ドームは容積124万㎥ですので、年間東京ドーム18.4杯分、すでに海洋に流出している分は4億3000万㎥で、東京ドーム345.6杯分と計算されます。

  • (5)プラスチックごみは、海洋に流出した場合、クジラ、アザラシ、ウミガメなどの海洋生物が誤って摂取したり身体に絡まったりするなど生命の危険を与え始めており、海の生態系を大きく壊す危険性があります。

20181025-1
図1 海岸に漂着した大量のプラスチックごみ(出典:環境省)

20181025-2
図2 陸上から海洋に流出したプラスチックごみ発生量(2010年推計)の分布と発生国ランキング
(出典:環境省/Jambeckら:Plastic waste inputs from land into the ocean, Science(2015))

我国の「プラスチック資源循環戦略」の概要

(背景)

(1)廃プラスチック有効利用率の低さ、海洋プラスチック等による環境汚染が世界的課題(筆者注:我国における廃プラスチック再資源化のほとんどはサーマルリサイクル、つまり燃料として利用)
(2)我が国は国内で適正処理・3Rを率先し、国際貢献も実施。一方、世界で2番目の1人当たりの容器包装廃棄量、アジア各国での輸入規制等の課題

(重点戦略)

リデュース

・ワンウェイプラスチックの使用削減(レジ袋有料化義務化等の「価値づけ」)
・石油由来プラスチック代替品開発・利用の促進
(数値目標)
(1)2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制

リサイクル
リユース

・プラスチック資源の分かりやすく効果的な分別回収・リサイクル
・漁具等の陸域回収徹底
・その他
(数値目標)
(1)2025年までにリユース・リサイクル可能なデザインに
(2)2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクル
(3)2035年までに使用済プラスチックを100%リユース・リサイクル等により、有効利用

再生材
バイオプラスチック

・循環利用のための化学物質含有情報の取扱い
・可燃ごみ指定袋などへのバイオマスプラスチック使用
・その他
(数値目標)
(1)2030年までに再生利用を倍増
(2)2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入

海洋プラスチック対策

プラスチックごみの流出による海洋汚染が生じないこと(海洋プラスチックゼロエミッション)を目指し
・ポイ捨て・不法投棄撲滅・適正処理
・海岸漂着物等の回収処理
・海洋ごみ実態把握(モニタリング手法の高度化)
・マイクロプラスチック流出抑制対策(2020年までにスクラブ製品のマイクロビーズ削減徹底等)
・代替イノベーションの推進

国際展開

途上国に対する実効性のある対策支援など

基盤整備

省略

 

2019年大阪G20で合意された「海洋プラスチックごみ対策実施枠組」の概要(出典:環境省)

1. 前提

(1)既存の取組を強化しつつ、海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックを中心とする海洋ごみ問題に地球規模で対応する緊急性が増していることを認識する。
(2)国連環境総会(UNEA)における「海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックに関する決議 (UNEP/EA.4/L.7)」 及び「使い捨てプラスチック汚染対策に関する決議」(UNEP/EA.4/L.10)」を認める。
(3)第14回バーゼル条約締約国会議での廃プラスチックを条約の対象とする決議に留意する。

2. 行動計画の効果的な実施の促進

各国は自主的に政策を立案し、その促進に関する情報の共有を行う。
(詳細は具体的な数値目標、共通施策がないので省略)
※具体的な数値目標や拘束力はない。

OECD (経済協力開発機構)が提唱する「拡大生産者責任」の適用論

より確実に海洋プラスチックごみの流出量を削減するためには、「廃プラスチックを個人や企業のモラルにより100%回収し責任を持って処理する」ということに付きますが、残念ながら故意による投棄、自然災害、事故、過失などによって、現在の状況が作られてしまっています。
今後の対策としては、
(1)プラスチックの代替品利用による廃プラ絶対量の削減
(2)生分解性(バイオプラスチック)による代替
(3)使い捨てプラスチック製品の廃止(特に風で飛散しやすいレジ袋や、ファーストフード店の使い捨て製品、食品容器包装類)
(4)その他
が考えられますが、これらは企業の努力、協力がないと成り立たない課題です。

そこで浮上してきたのが、OECDが提唱する「拡大生産者責任」をこの海洋プラスチックごみ問題に適用してはどうかという議論です。

これは、生産者が製品の製造、流通、廃棄まで責任を持ち、使用済み製品の回収やリサイクル、廃棄の費用を負担するという考え方で、我国でも家電リサイクル法や自動車リサイクル法において適用されています。

使い捨てプラスチックの多くに「容器包装」があります。商品を出荷し、消費者に届くまでの間に商品を保護するために使用され、商品が消費者に消費された時点で廃棄されます。

家庭から排出されるごみの重量の約2~3割、容積で約6割を占める「容器包装廃棄物」です。これらのリサイクルの促進等により、廃棄物の減量化を図るとともに、資源の有効利用を図るため、平成7年6月に制定(法案提出は厚生省)、平成9年4月から本格施行した「容器包装リサイクル法」がありますが、対象となる容器包装は、家庭から排出されるスチール缶、アルミ缶、ガラスびん、段ボール、紙パック、紙製容器包装、ペットボトル及びプラスチック製容器包装の8種類となっています。自治体にもよると思われますが、廃プラスチックについてはペットボトルと食品用の発泡スチロール製のトレイを除いては、「燃えるごみ」として回収され、風などに飛ばされやすく、海洋に流出した場合に生態系に最も危険とされる包装フィルム、レジ袋を含むポリ袋などに関しては野放しの状況にあるといえます。

このような状況においては、「企業の責任と努力により廃プラスチックを回収、もしくは回収不能であれば代替品の利用または使用量を削減するべき」というのが「拡大生産者責任」適用論だといえます。

まとめ

(1)使用済み廃プラスチックによる深刻な海洋汚染が「地球温暖化」に続く「第二の地球環境問題」となっており、世界各国が連携し早急な対策が必要。
(2)環境中へ放出されたプラスチックごみのうち、年間約800万トンが海洋に流出していると言われている。現在既に海には1億5000万トンのプラスチックごみが浮遊しており、このままの状況が続けば2050年までに海洋中に存在するプラスチックの量(重量ベース)が魚の重量を超過すると予測されている。
(3)我国では2019年5月31日付けで「プラスチック資源循環戦略」を策定し、いくつかの目標数値が掲げられた。
(4)2019年6月の大阪G20において「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」が採択されたが、各国が自主的に目標や施策を策定し、種々の機会において成果などの情報を共有することとした。
(5)廃プラスチックの海洋への流出防止には、効率的な回収が有効であるが、モラルの喪失による不法投棄、自然災害、事故、過失などによる結果が現状である。
(6)海洋への廃プラスチックの流出防止には、発生源を供給する企業の協力や努力が必要であり、代替品・代替材料によるプラスチック使用量の大幅削減、特に使い捨て製品の削減、バイオップラスチックの利用などが求められる。
(7)究極的にはOECDが提唱する「拡大生産者責任」を適用し「生産者が製品の製造、流通、廃棄まで責任を持ち、使用済み製品の回収やリサイクル、廃棄の費用を負担する。」というライフサイクルを通じて製品に対する責任を持つという姿勢が大切と言える。

引用・参考資料

  • 「『プラスチックごみ』による深刻な環境汚染の拡大」 (日本バルブ工業会、2018年10月25日)
  • G20大阪2019と環境問題(海洋プラスチックごみ汚染と気候変動) 松下和夫 (EICネット、一般財団法人環境イノベーション情報機構、2019年8月13日)
  • プラスチック資源循環戦略」の策定について (環境省、2019年5月31日)
  • G20 海洋プラスチックごみ対策実施枠組(仮訳) (環境省、2019年6月17日)
  • 4 拡大生産者責任(EPR)をめぐる議論と現状 (経済産業省、2004年9月8日)
  • 拡大生産者責任 (EICネット、一般財団法人環境イノベーション情報機構、2009年10月14日)
  • 拡大生産者責任と企業の社会的責任 (NPO国際環境経済研究所)
  • OECD「拡大生産者責任ガイダンス・マニュアル」について (経済産業省、2001年)
  • Extended Producer Responsibility (OECD、2016年9月20日)
  • 循環型社会形成推進基本法 (経済産業省、2001年1月施行)
  • 【動画】餓死したクジラ、胃にビニール袋80枚 プラスチックごみが約8キロも、救助しても餌食べられず、タイ (National Geographic/日経ビジネス、2018年6月7日)
  • 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の概要 (農林水産省)
  • 「プラスチックごみゼロ」へなだれ打つ企業~資源循環が7兆円の商機生む~ (日経ESG、2019年8月26日)

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