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home>環境について>環境関連情報>地球温暖化>2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #18

2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #18

2019-10-22

~2019年国連気候行動サミットに見る現状~

はじめに

第74回国連総会が2019年9月17日に開会し(会期は1年間)国連事務総長、総会議長及び国連加盟国(現在193か国)等の代表のスピーチが9月24日から9月30日まで行われました。

国連総会では、各国が重視する課題について問題提起し、それぞれの立場について述べます。

今回の国連総会では「気候変動対策」が大きなテーマの1つとして取り上げられましたが、もはや議論をしている段階にはなく、「各国がただちに、どのように行動するか?」を発表するという意味で、9月23日「国連気候行動サミット」が開かれました。

欧州各国や中国、インドなど約60ケ国の首脳が順次登壇、温室効果ガスの排出削減の目標の積み増しなどを発表しましたが、残念ながらそこに安倍総理の姿はなく、代理として小泉環境大臣が出席しましたが、発言の機会はなかったようです。

ここにおいて、最も注目され大きく報道されたのは、スウェーデンからヨット(温室効果ガス排出ゼロ)で大西洋を横断して国連総会に出席し、怒りの演説をした16歳の環境活動家の少女でした。

最後にグテーレス国連事務総長は「77カ国が2050年に温暖化ガスの排出を実質ゼロにすることを約束した」と締めくくりましたが、今回はこの国連総会における各国の行動計画及びスウェーデンの16歳の少女グレタ・トゥンベリさんの訴えの内容などについて解説します。

温室効果ガス排出量削減に対する各国の温度差

2019年夏のヨーロッパでは、過去に記録がないような40℃を越える猛暑が来襲、米国のハリケーンやアジアにおける台風の強大化、世界各国での豪雨や干ばつ、2019年9月の米国での季節外れの大雪など、気候変動の速度は予想以上に早く進んでおり、気象学者たちは、このままでは2℃どころか、世界の平均気温は3~5℃上昇し、不可逆的な状況に陥る危険性が高まってきていると警鐘を鳴らしています。

朝日新聞によると、「グテーレス事務総長は、『我々の世代は地球を守る責任を全うできなかった。競争に負けつつある気候非常事態だが、勝つことはできる』と発言。また『話すためではなく、交渉するためでもなく、行動するためのサミットだ』と述べた」と、「非常事態宣言」が出されたと報じています。

また、国連広報センターによりますとアントニオ・グテーレス国連事務総長は「すべてのリーダーに対し、今後10年間で温室効果ガス排出量を45%削減し、2050年までに正味ゼロ・エミッションを達成するために、2020年までに自国が決定する貢献(NDCs)を強化するための具体的、現実的計画を持って、9月23日にニューヨークで開かれる国連気候行動サミットに参集するように」と呼びかけました。しかし、パリ協定離脱を宣言している米国のトランプ大統領は、気候行動サミットの会場には姿を見せたようですが、発言する機会はなく、途中で会場を後にしたようです。また、我国は当初は議長国としての打診があったようですが、具体的な行動計画を示せなかったために議長国を辞退し、発言の機会も与えられなかったようです。

現状、パリ協定で約束している各国の削減目標が仮に100%達成された場合でも、目標とする2℃以下(できれば1.5℃以下)には届かず、現状では約3℃の気温上昇が予想されています(図1参照)。

このため、今回の国連気象行動サミットでは、議長からパリ協定での目標への積み増しと目標達成のための具体的な行動計画が求められました。この結果加盟国193ヶ国中77ヶ国から2050年に温暖化ガスの排出を実質ゼロにすることが約束されたと報じられました。

77ヶ国の国名は公表されませんでしたが、チリが主導するClimate Ambition Allianceが今回の気象行動サミットに関する情報を公表しているサイトに表明国リストが掲載されています。

また、2019年9月23日ABC newsによれば「2050年までにカーボンニュートラルにコミットしている77か国はいずれも温室効果ガス排出量が少なく、77ヶ国を合計しても世界の総排出量の半分にも満たず、逆に最大の炭素汚染者である中国、米国、インド、ロシア、日本は含まれていない」と報じ、危機感を強めています。

パリ協定離脱を表明しているトランプ大統領が一時的にせよ、会議に出席して耳を傾けていた様子には、少しの希望が見えたかも知れません。
世界最大の排出国である中国は習近平主席代理の王毅外相が演説しましたが、温暖化対策を加速する方針を説明する一方、「一帯一路」の開発投資で海外の石炭火力に支援しているとの批判がありました。

図1 温室効果ガス削減目標と現状のギャップ
(出典:WWF/Climate action tracker)

※非常に不十分=+2.3~+3.2~+4.3℃、不十分:+2.1~+2.9~+3.7℃
図2 現状における温暖化防止対策評価 (Climate action tracker)

注) Climate action trackerとは2009年Climate AnalyticsとNew Climate Instituteのコラボにより設立され、ドイツ環境省、ClimateWorks Foundation、環境保護団体、原子力安全などの団体より資金提供を受けて運営されている機関。

スウェーデンの16歳の環境活動家トゥンベリさんの訴え

グレタ・トゥンベリさんは、スウェーデンの16歳の少女環境活動家で、地球温暖化に強い危機感を覚え、世界の同じ若い世代に対して、金曜日を「未来のための金曜日」と名付け、学校ストを呼びかけています。現在100万人以上が賛同し大きな運動となっています。2018年の国連気象変動会議で演説して以来、2019年の国連気象行動サミットにおいても、自然エネルギーで動くヨットに乗って大西洋を渡り、ニューヨークの国連本部までやってきました。

彼女は第一声で「私は本来海の反対側の学校にいるべきです、でも私たちは若者の希望のためにやって来ました」と前置きして、気候変動に対する世界の指導者の不作為に対して、次のような猛烈な批判を展開しました。

世界の指導者達の大変に空しい言葉によって私の夢と子供時代は奪われました。それでも私は幸運な1人です。今、人々は死にかけています。生態系全体が崩壊しつつあります。貴方たちが話すことは人類の大量絶滅の始まりに居るというのに、お金と永遠の経済成長のおとぎ話だけ。30年以上前から温室効果ガスと気象変動の関係は科学的に非常に明確でしたが、政治や解決策が見えてこないのに「十分にやっている」と言って、あえて目をそらしてきました。そして、ここに来ています。

貴方たちは「緊急性はわかっている」といいますが、私は信じたくありません。

この状況を本当に理解しているというのに行動しない貴方たちは「邪悪」というしかありません。

今後10年間に温室効果ガスの排出量を50%にしようと一般的な考え方がありますが、これによって世界の気温上昇を1.5℃以下に抑えられる可能性は50%しかありません。

この50%という数値は貴方たちには受け入れられるものかも知れませんが、この状況では人間の制御を越えて後戻りすることが出来ない連鎖反応が始まる危険性があります。

そして、この数値はテッピングポイント(気候変動が急激に進む転換点)や、変化が連鎖することによる相乗作用、有毒な大気汚染に隠れたさらなる温暖化など、公平性や気象正義という面は考慮されていません。

そして、この数字は現在未だ確立されていない技術によって私たち若者世代に何千億トンもの二酸化炭素を空気中から吸収することを当てにしたものです。

私たちにはこの50%というリスクは受け入れ難いものです。なぜならその結果において生きて行かなければならないのは私たちだからです。

IPCC(国連の気象変動に対する政府間パネル)が出している最も良い試算でも気温上昇1.5℃以内に抑えられる可能性は67%です。しかし、これを実現するためには2018年1月1日現在で排出が許容される二酸化炭素量は420ギガトンでしたが、現在(2019年9月時点)すでに360ギガトン未満となっています。このままの状況で推移すれば、あとわずか8年半も経たない内に許容二酸化炭素放出量を越えてしまいます。

現在、1.5℃以下に抑えようという解決策や計画は全くないと言えます。なぜならこの数値は貴方たちにとって受け入れ難い数字で、ありのままに伝えられる大人ではないということです。

貴方たちは私たちを裏切っています。しかし、私たち若者は貴方たちの裏切りに気づき始めています。

もし、貴方たちが私たちに対して裏切りを続けるなら、貴方たちを絶対に許さない。

私たちは、この場で、この瞬間から線を引きます。ここから逃げることは許しません。貴方たちが好むと好まざるに関わらず世界は目を覚ましており、変化はきっとやってきます。

まとめ

(1)2019年国連総会において「気象行動サミット」が開催されました。今年は、昨年までの名称「気象変動会議」から、もはや議論している時期は終わり「いかに行動するか」という意味で「気象行動サミット」とされました。
(2)G20の議長国を務めた日本に対し、気象行動サミットの議長国の打診がありましたが、具体的な行動計画が示せないとして辞退し、安倍首相は欠席、代理で小泉環境大臣が出席しましたが、発言の機会はありませんでした。
(3)パリ協定離脱を表明している米国ですが、トランプ大統領が気象行動サミットに一時的に顔を出したことで、希望的な観測が持たれました。
(4)本会議では60ヶ国がパリ協定に対する目標の積み増しや具体的な行動計画について講演を行い、77ヶ国が2050年に温暖化ガスの排出を実質ゼロにすることを約束しました。しかし、この77ヶ国は排出量が少ない国が多く、合計しても全体の半分未満で、排出国上位の米国、中国、インド、ロシア、日本はこのリストに入っていないようです。
(5)現在のパリ協定の各国目標が100%達成されたとしても、3℃の上昇が予測され、目標の2℃以下は達成されないため、今回はパリ協定の目標の積み増しが求められましたが自国の利益優先で有効な行動計画は示されませんでした。
(6)スウェーデンの16歳の少女環境活動家グレタ・トゥンベリさんが、若者の意見を代表して、強い危機感と各国首脳に対する猛烈な批判演説を行いました。彼女はSNSなどを通じて金曜日を「希望の金曜日」として学校の授業ボイコットを呼びかけ、世界で100万人以上の若者がこれに賛同し、毎週金曜日にどこかで抗議活動が起こっているようです。トゥンベリさんが演説で述べたポイントは次のとおり。

  • IPCCのいう最良のシナリオである「気温上昇1.5℃以下」に抑えられる可能性は67%。
  • 2018年1月1日現在で排出が許容される二酸化炭素量は420ギガトンだったが、今現在350ギガトンしか残っていない。
  • 各国の首脳は「危機感は持っている」と言いながら、有効な解決策は示せず、お金と経済の発展の話しかしない。
  • 私たちの世代に、未だ確立していない技術により何千億トンもの二酸化炭素を大気中から吸収させることを担わせようとしている。

(7)図2に示すClimate action trackerによる温暖化防止対策評価で全体像が見えると思いますが、我国の施策は「非常に不十分」にランクされており、火力発電の全廃はおろか、新規建設を行ったり、海外に輸出しようとしている姿勢は大きな批判を受けています。
(8)パリ協定の目標を100%達成しても+3℃の上昇が予測され、排出量上位の国々が具体策を示せないなど、若者の怒りも十分かるように思いました。
(9)最後に、一方では気候変動による多雨化により中国などの砂漠地帯に降雨が起こり始め、ロシアの凍土が解け始め草木が成長し始めるなどプラス要因も出始めているとの報告もあり、今後各国の利害調整が難航しそうに思えます。

引用・参考資料

  • 気候サミット開幕、各国に温度差 トランプ氏は一時来場 (朝日新聞デジタル、2019年9月23日)
  • 国連気候行動サミット2019(UN Climate Action Summit 2019) (国際連合広報センター、2019年8月15日)
  • 国連気候行動サミット2019 (IGES:地球環境戦略研究機関)
  • 国連で初の若者気候サミット、青年が熱いスピーチ 「今こそ私たちがリーダーに」 (AFP、2019年9月22日)
  • 3分でわかるキーワード 国連で「気候行動サミット」 (FNN、2019年9月23日)
  • 16才の少女が訴える温暖化非常事態 (NHKクローズアップ現代、2019年9月26日放送)
  • 「裏切り、許さない」=トゥンベリさん、怒りの演説-国連気候サミット開幕 (JIJI.com、2019年9月24日)
  • 国連で気候サミット 若者代表「我々は失敗許さず」 (日本経済新聞、2019年9月24日)
  • ‘How dare you’: Transcript of Greta Thunberg’s UN climate speech (NIKKEI ASIAN REVIEW、2019年9月25日)
  • 米モンタナ州で記録的な暴風雪、倒木や停電の被害 初秋としては異例 (CNN、2019年9月30日)
  • 第3回「スクール・パリ協定2019」国連気候行動サミット2019 (WWF: World Wildlife Fund 世界自然保護基金)
  • 温暖化討議、議長役を日本断る 国連気候行動サミット 環境団体から失望の声 (東京新聞Web版、2019年9月20日夕刊)
  • 国連気候サミット「2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロへ」77カ国が表明してるけど、日本は? (ハフポスト日本版)
  • 各国は2020年までに大規模な行動を推進し、2050年までにCO2の正味ゼロを達成 (Climate Ambition Alliance、2019年9月23日)
  • The Latest: Biggest polluters did not make climate pledge (ABC news、2019年9月23日)
  • グレタ・トゥンベリ (ウィキペディア)

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