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home>環境について>環境関連情報>地球温暖化>2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #19

2030年温室効果ガス排出量26%削減への道 #19

2019-11-13

~世界の131銀行が署名「責任銀行原則」とは~

はじめに

国連環境計画(UNEP: United Nations Environment)の金融イニシアティブ及び各マスコミが、先行していた責任投資原則(PRI)と持続可能な保険原則(PSI)に続き、責任銀行原則(PRB: Principles for Responsible Banking)が、9月22日ニューヨークの国連サミット開催に合わせて正式に発足したこと、そして世界各国の銀行131行がこれに署名したことを一斉に報じました。

この131行には日本のメガバンク3行を含む4行と、欧州の有力銀行をはじめ、中国や中南米、アフリカの銀行も加わり、資産総額では47兆US$で世界の銀行の3分の1を超えるとも報じられました。

今回は、「国連が世界の大手銀行にSDGsとパリ協定のニーズや目標と経営戦略の整合性を取るよう迫った、といわれる「責任銀行原則」について解説してみたいと思います。

Principles for Responsible Banking (銀行責任原則)の狙いと背景

既に実施されている責任投資原則(PRI)と持続可能な保険原則(PSI)に続き、責任銀行原則(PRB: Principles for Responsible Banking)が、2019年9月22日にニューヨークで行われた国連総会開会に合わせて正式に発足しました。

「責任銀行原則」は、銀行業の継続的な事業展開が、パリ協定やSDGsなどが掲げた目標が示す持続可能な社会の構築に大きく依存していることを認識した上で、銀行による資金提供等の金融業務が環境や経済・社会に対して実質的に大きな影響を与える事実を認識し、金融機関として自らの果たすべき責任を明確にするというものです。

SDGsでも触れられているように、世界が直面している環境問題は経済や社会問題と深く複雑に関わっているため、環境問題を単独で解決することはますますむずかしくなってきています。このような状況において、機関投資家、保険業、銀行などの多額な資金を運用する団体に対して国連が「タガ」を嵌めることによって、環境に負の影響を与える事業に対する投資を抑制し、逆に正の影響を与える新規または既存の事業に資金の流れを変えようとする狙いがあります。

今回の「責任銀行原則」は銀行にとって、従来から強い関係を有してきた、大量の温室効果ガスを放出している製鉄業、電力業などに対して、どのように大きな戦略転換を求めて行くのかが大きな課題となりますが、新規に火力発電所を建設するなど明らかに逆行する設備投資には否定的にならざるを得なくなります。

このため、1年前(2018年11月)にフランスのパリで開かれた国連環境計画(UNEP)金融イニシアティブの円卓会議で「責任銀行原則」が提案された時点では、世界の銀行28行が提案に参加しましたが日本の銀行は自らの手足を縛る行為に当初は二の足を踏んでいました。しかし、結局は国連を主体とした流れには逆らえず、メガバンク3行(みずほFG、三菱UFJ FG、三井住友FG)と三井住友トラストホールディングが賛同し署名しました。

Principles for Responsible Banking (銀行責任原則)の主な内容

UNEP(国連環境計画)金融イニシアティブが銀行の負うべき責任として挙げる6項目を次に引用します。

1. Alignment(整合性)

<SDGsとパリ協定が示すニーズや目標と経営戦略の整合性をはかる>
SDGs、パリ協定、及び、関連する地域の枠組みで表されているように、私たちは経営戦略を個人のニーズと社会の目標と一致するように調整し、貢献します。

2. Impact and target setting (影響と目標設定)

<事業が引き起こす負の影響を軽減し、正の影響を継続的に拡大させる>
私たちは、私たちの活動、製品、サービスに起因する、人と環境に対する負の影響を減らし、そのリスクを管理しながら、継続的に正の影響を増やしていきます。 このため、最も大きな影響を与える可能性のあるターゲットを設定して公開します。

3. Clients & customers (クライアントと顧客)

<顧客と協力し持続可能な実践を行い、現在及び将来の世代に繁栄を共有できるような経済活動を行う>
私たちは、クライアントとお客様と協力して持続可能な実践を奨励し、現在と将来の世代に共通の可能性をもたらす経済活動を可能にします。

4. Stakeholder (利害関係者)

<利害関係者と相談して関与、連携する>
社会の目標を達成するために、関連する利害関係者と積極的かつ責任を持って相談し、関与し、提携します

5. Governance & culture (ガバナンスと文化)

<ガバナンスと責任をもって、「原則」に対する誓約を実行する>
効果的なガバナンスと責任ある銀行業の文化を通じて、これらの原則に対するコミットメントを実行します。

6. Transparency & Accountability (透明性と説明責任)

<個人及び集団の実施状況のレビューと正または負の影響、目標への貢献の透明性ある説明>
私たちは、これらの「原則」の個人的および集団的実施を定期的にレビューし、私たちの正または負の影響と社会の目標への貢献について透明性と説明責任を果たします。

http://www.unepfi.org/wordpress/wp-content/uploads/2019/09/Principles-Horizontal.png

図1 責任銀行原則における6つの原則(出典:国連環境計画/金融イニシアティブ)

解説

国連環境計画(UNEP: United Nations Environment program)は1972年に設立された、環境分野における国連の主要な機関です。各国の政府と国民が将来の世代の生活の質を損なうことなく自らの生活の質を改善できるよう、環境の保全に指導的役割を果たし、かつパートナーシップを奨励することを目的として、地球規模の環境課題を設定し、持続可能な開発の取り組みを進め、グローバルな環境保全の権威ある唱道者となることを目指しています。

職員は850名で、優先課題や活動などは加盟国政府代表により理事会で検討され、優先課題は以下のとおりです(出典:国連広報センター)。

気候変動: 国家の開発プロセスに気候変動の対応を組み込めるように、とくに開発途上国の能力を強化する。

生態系管理: 各国が保存と持続可能な利用をもたらすような方法で土地、水、生物資源を総合的に管理できるようにする。

環境管理: 国、地域、グローバルのレベルでの環境管理と連携を強化し、環境上の優先課題に対応できるようにする。

有害物質と危険廃棄物: 環境と人々に対する影響を最小限にする。

災害と紛争: 環境原因および自然災害や人災が人間の福祉に与える脅威を最小限にする。

資源効率: 天然資源が環境的にやさしい方法で生産され、加工され、消費されるようにする。

以上のように、優先課題の中でも気候変動は最上位に位置しており、投資責任原則や持続可能な保険原則、及び、今回の銀行責任原則の実施に至ったものと思われます。

これら投資家、保険、銀行などが扱う莫大な資金の流れをコントロールしようとする試みは、欧米など先進国が主体となって活動してきたように思えましたが、2018年12月17日付け日本経済新聞によると「銀行責任原則を起草した国は、ブラジル、エクアドル、メキシコ、エジプト、ナイジェリア、ケニア、南アフリカ、中国、インド、トルコ、マレーシア、タイ、モンゴルといった新興・発展途上国を本拠とする銀行が多く名を連ねているのが特徴であり、これは、SDGsとパリ協定が自国の経済成長のために重要なカギを握るという認識が共有されていることを物語っている」と述べています。

まとめ

(1) 国連の機関の一つである国連環境計画(UNEP)は気候変動、生態系管理、有害物質、資源などを優先課題にしているが、気候変動を最上位の課題として位置づけています。
(2) 世界的な環境課題は経済や社会的な課題と深く関わっており、環境問題単独で解決することは不可能に近いものがあります。
(3) 特に気候変動の原因となる温室効果ガスの排出量抑制には、負の影響を与える行動と正の影響を与える行動があります。負の影響行動を削減し、正の影響行動を増大することが相対的に温室効果ガス排出量削減に繋がることは自明のことです。そのための手段には各国政府に働きかけての法的な規制や炭素税制の強化などがあります。機関投資家、保険業、銀行などが、莫大な資金の流れを、負の影響を与える企業や団体から正の影響を与える企業や団体へ変化させる施策として、UNEPが「責任投資原則」「持続可能な保険原則」に続いて今回の「責任銀行原則」を立上げました。
(4)これらUNEPの3つの責任原則に署名するか否かは任意ですが、国連が主体となっていること、及び、世間の流れから、今回の「責任銀行原則」発足時には、世界の主たる130超の銀行が署名し、その資産総額では47兆US$で世界の銀行の3分の1を超えると報じられました。
(5)特徴的なのは草案立案時のメンバー銀行の多くは後進国や発展途上国の銀行で、SDGsやパリ協定を自国の発展のために利用したいという意思が感じられます。
(6)日本からも3大メガバンク(みずほFG、三菱UFJ FG、三井住友FG)と三井住友THが署名しました。
(7)これからの課題は、「温室効果ガス排出に負の影響を与える行為、正の影響を与える行為のふるい分け」が定められていないため、各銀行に委ねられる点をどのようにするか、にあります。目標の設定、レビュー、結果報告などが義務付けられますので、「石炭火力発電所の新設」など明らかに負の影響を与える投資は難しくなるといえます。
(8)これからは、企業における新規設備投資に対しての投融資に対して環境アセスメントが求められることになります。

引用・参考資料

  • PRINCIPLES FOR RESPONSIBLE BANKING (UNEP: 国連環境計画 金融イニシアティブ)
  • Launch of UNEP FI’s Principles for Responsible Banking (UNEP、2019年9月22日)
  • ‘PRINCIPLES FOR RESPONSIBLE BANKING’ AND THEIR SUPPORTING FRAMEWORK RELEASED FOLLOWING SIX-MONTH CONSULTATIVE PROCESS — ENDORSED BY MORE THAN 100+ FINANCIAL INSTITUTIONS AHEAD OF THEIR 22 SEPTEMBER GLOBAL LAUNCH (UNEP、2019年7月25日)
  • UNEP FI STATEMENT (UNEP金融イニシアティブ)
  • (2030 SDGで変える) 環境や人権重視、融資でも 世界の130銀行「責任原則」に署名 (朝日新聞デジタル、2019年11月4日)
  • メガバンクにSDGsとパリ協定迫る「責任銀行原則」 (サステナブル・ビジネス・マガジン alterna online)
  • 【国際】国連責任銀行原則PRB、正式発足。日本大手4行含む世界131行で開始。NGOからは苦言も (sustainable japan、2019年9月25日)
  • 責任銀行原則への署名に関するお知らせ (三井住友トラスト・ホールディングス株式会社、2019年9月25日)
  • 責任銀行原則への署名について (みずほフィナンシャルグループ、2019年8月6日)
  • 国連環境計画で「責任銀行原則」草案 企業行動変容、金融に波及 (web版日本経済新聞、2018年12月17日)
  • 責任投資原則 (国連環境計画/国連グローバルコンパクト)
  • 持続可能な保険原則 (国連環境計画 金融イニシアティブ)
  • 国連環境計画とは (国際連合広報センター)
  • 日本UNEP協会とともに (日本UNEP協会)

注意

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