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home>環境について>環境関連情報>環境経営・戦略・政策>多様化するESG情報開示基準

多様化するESG情報開示基準

2020-02-27

~本命と言われ始めたSASBスタンダードについて~

はじめに

日経ESGは、「SASB シュミッツユーリット ディレクター『投資家への開示、本命はSASB』~TCFDの開示はSASBに沿うものになる~」と題した2020年1月6日付けコラムの冒頭で、「ESG情報開示の枠組み『SASB』を採用する企業が2018年から増えている。SASBは投資家が望む情報の開示を企業に促す」と述べています。

本コラムにおいても、企業における投資家や金融機関などに対する「ESG関連の情報開示」については度々書いてきていますが、日経ESGのコラムでは「TCFDの開示はSASBに沿うものになる」と「SASB」(サステナビリティ会計基準審議会)なる団体、及び、同団体が公表している「SASBスタンダード」についての紹介を行っています。

また、ニッセイアセットマネジメントが月刊「資本市場」2019年7月号に寄稿したレポート、「多様化するESG情報開示基準等の果たす役割と課題~GRI・IIRC・SASB・TCFDの比較分析を通じて~」でも、SASBについて紹介しています。

GRI、IIRC、TCFDなどについては、過去において本コラムでも触れて来ましたが、今回は「今後企業におけるESG情報開示はSASBが本命で有り、TCFDの開示基準もSASBに沿うものになるだろう」と言われているSASBとを主とし、従来のGRI、IIRCやTCFDと何が違うのかについて読み解いて行きたいと思います。

筆者注)
・SASB(Sustainability Accounting Standards Board:サステナビリティ会計基準委員会)とは、財務報告基準を設定する非営利組織。サステナビリティ会計基準の開発と普及のために2011年に設立。
・GRI(Global Reporting Initiative)とは、企業、政府、その他の組織が気候変動、人権、腐敗などの問題への影響を理解し、伝えることを支援する国際的な独立標準組織。
・IIRC(International Integrated Reporting Council:国際統合報告審議会)とは、規制者、投資家、企業、基準設定主体、会計専門家、及び、NGO により構成される国際的な連合組織。
・TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連の財務情報開示に関するタスクフォース)とは、金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース。企業における気候変動による財務的な影響が予想される機会と脅威などの開示方法基準を提言。

企業における危機管理

2019年末に中国武漢市から発生した新型コロナウイルス(WHOがCOVID-19と命名)による肺炎が猛威を振るい、武漢市は2020年2月11日現在、事実上の機能停止に追い込まれています。これによって、武漢市から部品調達を行っている日本企業は国内工場の操業が難しい状況に陥ったところも出てきています。

本コラムでも、2013年5月24日付で「動物由来感染症について #1 中国で鳥インフルエンザがヒトに感染」、2013年8月26日付けで「動物由来感染症について #2 Zoonosis:ズーノーシス(人獣共通感染症)」、2014年8月22日には「動物由来感染症について #3 「エボラ出血熱」でWHOが緊急事態宣言」と題して、感染症を重要な環境問題として取り上げてきました。

従来の企業は「納期、品質、コスト」が企業の取組むべき最優先事項であり、従来の投資家や金融機関は企業のバランスシート、損益計算書、利益処分計算書、付属明細書、キャッシュフロー計算書等の財務情報を見て投融資を決定してきました。

しかし、現在では環境問題、社会的責任、ガバナンスなどの問題の発生により、企業が一夜にして危機的な状況に陥る可能性が出てきたため、今日、企業の長期的な成長のためには、ESG(Environment=環境、Social=社会、Governance=ガバナンス)などの非財務情報示を含めて判断することが必要だという考え方が世界的に広まってきています。

ところが、それぞれの企業がさまざまな情報を発信しても、投資家や金融機関がその情報を評価するためには、情報の項目や評価方法、評価基準などが一律でないと比較検討ができないという問題が生じます。

そこで冒頭に述べたニッセイアセットマネジメントによるコラム「多様化するESG情報開示基準等の果たす役割と課題~GRI・IIRC・SASB・TCFDの比較分析を通じて~」が持つ意味が見えてくると思います。

現在代表的なESG評価基準は以下の4つがあります。
(1)GRIスタンダード(GRI)
(2)国際統合報告フレームワーク(IIRC)
(3)TCFD最終提言書(TCFD)
(4)SASBスタンダード(SASB)

世界の標準化機関・団体が「ESG評価基準」を提案していますが、この中でSASBが本命になりそうだと言われ始めていますので、以下4つの基準を比較すると同時に、SASBの立ち位置を明確にしたいと思います。

企業におけるESG情報開示のためのスタンダード

近年企業にESG情報開示が求められるようになっていますが、現在いくつかの基準が公開されており、企業にとっては「どの基準を採用するべきか」が判断に迷うところだと思われます。どれが本命なのか判断に迷い複数の開示基準に対応しようとすれば負荷が大きくなる問題が生じます。

しかし、それぞれの開示基準はその提案の背景や目的が各々異なるため、その背景や目的を読み解くことによって、自社のESG情報開示をどのスタンダードで行えばよいかが見えてくると思います。

表1 各開示基準の立ち位置・提案背景

  主な開示・利用対象
一般ステークホルダー
(消費者、労働者、流通関係者、
サプライチェーン等)
特定ステークホルダー
(投資家や金融機関)
一般的な環境・社会・経済に
与える/受ける影響
企業の経営状況や財務状況に
与える/受ける環境・社会・経済的な影響
基本的な概念 枠組み提案 - ・IIRC国際統合報告フレームワーク
・TCFD最終提言書
細則実務提案 ・GRIスタンダード ・SASBスタンダード

冒頭にGRI、IIRC、TCFD、SASBの4つのスタンダードを紹介しましたので、各々の概要について述べてみます。

(1)GRIスタンダード

GRIスタンダードは日本語版が公開されていますが、GRIのウェブには「GRIスタンダードは、組織が経済、環境、社会に与えるインパクトを一般に報告する際の、グローバルレベルにおけるベストプラクティスを提示するための規準です。スタンダードに基づいて作成されたサステナビリティ報告書では、組織が持続可能な発展に対して与える、プラスおよびマイナスの寄与に関する情報が提供されます」と述べられています。

内容を見ると、経済・環境・社会について次のような項目が開示項目として挙げられ、それぞれ詳細が示されています。

【経済】
経済パフォーマンス、地域経済の存在感、間接的な経済インパクト、調達慣行などの一般論の他に腐敗防止、反競争的行為などの社会的責任

【環境】
原材料、エネルギー、水と廃水、生物多様性、大気への排出、排水及び廃棄物、環境コンプライアンス、サプライヤーの環境面のアセスメント

【社会】
雇用、労使関係、労働安全衛生、研修と教育、ダイバーシティと機会均等、非差別、結社の自由と団体交渉、児童労働、強制労働、保安慣行、先住民族の権利、人権アセスメント、地域コミュニティ、サプライヤーの社会面アセスメント、公共政策、顧客の安全性、マーケティングとラベリング、顧客プライバシー、社会経済面のコンプライアンスなど

このことから、GRIスタンダードは表1に示すように、対象を一般的なステークホルダーに置き、かつ詳細な解説を行っており、企業が発行する一般向けの「サステナブル報告書」などの作成基準として位置づけられるものといえます。

(2)IIRC国際統合報告フレームワーク

IIRCもウェブサイトに日本語版が公開されており、「国際統合報告評議会(IIRC)は、規制者、投資家、企業、基準設定主体、会計専門家及び NGO により構成される国際的な連合組織である。我々は、企業報告の次なる発展は、価値創造についてのコミュニケーションにあると考える。国際統合フレームワークは、当該要請に応え、将来に向けた基盤を築くことを目的として開発された」と示されており、GRIスタンダードとの違いは、対象が投資家を含み、フレームワークであるとしている点、即ち表1の対象を投資家や金融機関とし、ESG情報開示の枠組みを示したものと位置づけられます。

(3)TCFD最終提言書

TCFDについては、2020年1月15日付けの本コラム、企業における「気候関連財務情報開示」の流れ #2~気候変動に関連した情報開示の最新動向~と、2019年7月17日付け 企業における「気候関連財務情報開示」の流れ~ESGの先、TCFD提言とは~ でも解説しましたが、TCFD最終提言書は、「G20財務大臣・中央銀行総裁会議の要請を受け、金融安定理事会(FSB)が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)で作成されたものである」と定義され、企業が気候変動によって受ける財務関連の機会と脅威に関する開示事項を示していますが、IIRCと同様に具体的に実施するための細目はなく、あくまでもフレームワークとしての立ち位置を主張しています。

IIRCと比較すると、より対象を投資家や金融機関に特化し、また気候変動起因する機会と脅威を主体としている点が大きな違いと思えます。

(4)SASBスタンダード

表1に示すように、企業が投資家や金融機関など特定のステークホルダーに対して非財務情報を開示するときは、上で紹介したIIRCやTCFDという大きな枠組み(フレームワーク)と、具体的な取組み内容を規定する細則実務(スタンダード)がペアで必要になります。

SASBスタンダードは、TCFDフレームワークとベストの組み合わせとされるスタンダードで、今後企業の非財務情報開示基準の本命になると目されています。SASBスタンダードでは、11業種77産業にカスタマイズして開示項目と指標を示しているので、企業は投資家向けの非財務情報を開示するときの具体的なガイドラインとして利用することができます。SASBスタンダードの個別の内容は、別の機会に紹介したいと思います。

まとめると、GRIは一般ステークホルダーに対して開示するESG項目を具体的に示したスタンダード、IIRCとTCFDは特定ステークホルダー(投資家や金融機関)に対し非財務情報を開示するときの大きな枠組みで、開示すべき具体的項目を示すのがSASBスタンダードです。それぞれの違い、背景、立ち位置などがおわかりいただけたかと思います。

まとめ

(1)近年、企業は投資家向けに開示する財務情報(貸借対照表、損益計算書、利益処分計算書、付属明細書、キャッシュフロー計算書)の他に、非財務情報(ESG:環境・社会的責任・ガバナンスなど)の情報開示が強く求められるようになっている。中でも、近い将来予測されている気候変動による機会と脅威の分析などの環境問題によって財務情報に影響を与える可能性のある情報開示について強い要求が出てきている。
(2)これら企業における非財務情報を開示するに当たり、GRIスタンダード、IIRC国際統合報告フレームワーク、G20財務大臣・中央銀行総裁会議の要請を受け、金融安定理事会(FSB)が設置したTCFD最終提言書、昨年あたりから多くの企業が採用し始めたSASBスタンダードなどが公開されているが、企業としてどの基準を採用すればよいのかわかりにくい。複数の基準に対応しようとすれば負荷が多くなり問題である。
(3)以上の観点から、今回4つの非財務情報開示に関する基準について、その背景、目的、内容について評価を行った。
(4)GRIは、まだESGなどの用語もなく、非財務情報の重要性も語られていなかった2000年に、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する企業の情報開示基準として項目と指標を示したGRIガイドラインを発表したが、その後に具体的な開示基準を示したことから、GRIスタンダードとした。これは、対象を投資家より一般のステークホルダーとしたことから、この基準を用いた「サステナブル報告書」が企業によって作られ始めた。
(5)IIRC国際統合報告フレームワークは2013年に、財務情報と非財務情報を結び付け、長期にわたる価値創造プロセスを報告する「統合報告書」という新たな概念を提示したが、基本原則や要求事項の具体的な開示項目がないため、フレームワークと位置づけられた。
(6)TCFDは2017年に金融安定理事会が作成した。企業が投資家向けに気候変動によって受ける機会と脅威などを主体とした非財務情報の提供に当たってのガイドラインを示したが、IIRC同様に基本原則と要求事項は示されているが、具体的な開示項目や指標が示されていないフレームワークと位置づけられる。
(7)SASBスタンダードは2018年に11業種・77産業にカスタマイズされ、それぞれの開示項目・指標が具体的に示されており、企業が非財務情報を開示するための基準として有用である。
(8)2020年2月現在、多くの企業が「TCFDとSASBがコラボし、TCFDのフレームワークに従ったSASBの具体的な開示項目基準」を採用して投資家向けの非財務情報開示を行う方向にある。
(9)「SASBサステナブル会計基準」の概要については別の機会に本コラムでも解説したいと思いますが、もし興味があり、早く情報を得たい場合には、SASBのウェブサイトを閲覧して下さい。

引用・参考資料

  • SASB connects businesses and investors on the financial impacts of sustainability. (Sustainability Accounting Standards Board)
  • SASB シュミッツユーリット ディレクター「投資家への開示、本命はSASB」~TCFDの開示はSASBに沿うものになる~ (日経ESG、2020年1月6日)
  • SASBに聞いてみた! – SASBを知るための10の質問 – (KPMG)
  • SASB(サズビー)とは (佐藤泉法律事務所、2019年7月29日)
  • 【レポーティング】SASB(米国サステナビリティ会計基準審議会)を徹底解説 (Sustainable Japan、2014年10月5日)
  • 【アメリカ】SASB、SASBスタンダード全79業界の初版原案を公表。90日間パブコメ受付 (Sustainable Japan、2017年10月4日)
  • SASB サスティナビリティ会計基準 (CSR communicate、2016年6月1日)
  • 多様化するESG情報開示基準等の果たす役割と課題〜GRI・IIRC・SASB・TCFDの比較分析を通じて〜 (ニッセイアセットマネジメント、月刊資本市場、019年7月号)
  • 米サステナブル会計基準審議会(SASB)、11産業77業種の環境・社会の非財務情報開示基準を正式に公表。SEC財務報告書への開示、TCFDの気候リスク情報開示などに期待(RIEF) (一般社団法人環境金融研究機構2018年11月7日)
  • SASB(米国サステナビリティ会計基準審議会)の行方や如何に (ニッセイアセットマネジメント株式会社、2017年6月1日)
  • IIRCとGRIの共通点と違いは? (教えて!アミタさん)
  • GRI STANDARDS DOWNLOAD CENTER –日本語版 (GRI)
  • 国際統合報告(日本語版) (IIRC)
  • 企業における「気候関連財務情報開示」の流れ #2~気候変動に関連した情報開示の最新動向~ (日本バルブ工業会、2020年1月15日)
  • 企業における「気候関連財務情報開示」の流れ~ESGの先、TCFD提言とは~ (日本バルブ工業会、2019年7月17日)

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